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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第75回活動報告:今後の方針

今後の方針



活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員



「「「かんぱーい!!」」」


そういって、私たちはアルコールを流し飲む。

あ、ここは異世界。

日本の法律は適応されないので、お酒を飲んでも問題ないのだ。

というか、文明レベルが中世ヨーロッパ程度の世界で、お酒の絡まないコミュニケーションというものの方が少ない。

だから、里中先生も否定しなかった。

というか、むしろ、お酒を持たせてくれた。


『いいですか。まだお酒を嗜まないあなたたちにはなかなか分からないと思いますが、お酒はただ高級と言うだけでなく、貢物としてもかなり重視されます。まあ、娯楽の一種というやつなのですが、相手の文明などが分かりやすいものなのです。入れ物、お酒の味、そういうモノで相手を計るモノなのです。ですから、飲酒は日本で過ごした期間が長い私としては、否定したいのですが、お付き合いの関係上飲めないというのは、逆に相手を不快にさせかねません。どうしても無理ならば仕方ないですが、多少、お酒を舐める程度には嗜むといいでしょう』


と、苦虫をかみつぶしたように言ってくれた。

まあ、私はお酒は好きだからいいけどねー。

堂々と、先生の前でお酒を飲むようなことはないけど、お正月とか、こう身内の祝いの席では子供にのめのめっていう家だしね。

ゆーやももちろん飲めるし、先輩もお父さんがワイン派だったらしく、それなりに嗜んでいるようで、この話は嬉しい誤算だった。

経費で飲み放題とかすげー!!

いや、しっかり釘は刺されているけど、こういう無事に帰れた記念で飲む分はいいだろう。


「うめー!! なんだこの酒!?」

「本当にすごくおいしいわ……」


そういって驚きをあらわにするのは、ドーザとサラ。

キンキンに冷えたビールが気に入ったようだ。

中身はちょっと高級のモ○ツ。


「……この日本酒というのはいいな」

「ええ。すごくたくさんの果物の味がするわ」

「どれだけ沢山の果物使ってるんだろうねー」


輝きの剣の皆さん、残念外れです!!

日本酒の材料はすべてお米!!

それだけで、あれだけ複雑な味わいが出るのです!!


「ほら、注いで!! 沢山よ!!」

「お、おい、落ち着けって、お前酔ってるんだよ」

「よってにゃんかいないわよ!! ほら、いもじょーちゅーを注ぎなさい!!」

「あわわ、ファオンさん、大人しく従いましょー」


以外なのが、ツーチが焼酎を飲んで壊れた。

最初はメイドが祝いの席でお酒を飲むなどと、まあ、使用人としては当然のことを言っていたけど、残念ながらお客を招いたちゃんとした祝い事でもないので、私たちは飲んでよしと言って飲ませた結果がこれである。

普通に飲んでたから、全然様子はかわらなかったけど、口を開けばぶっ壊れていたのだ。

まあ、色々溜まっていたんだろうなと思う。

とりあえず、今は放っておこう。それだけ、ツーチに負担をかけた自覚もあるし、ファオンも、アンもちゃんと対応している。

本当に嫌そうだったり、状況的にまずそうなら、ゆーやや先輩がまずとめるだろうからね。


「でも、これから村の件ってどうなると思う?」

「村というより、森の方はおそらく、さらに詳しい調査が進められるだろうな」

「そうね」


私の質問に答えてくれたのは、スィリナとサラだ。


「じゃあ、それに私たちもまた参加?」

「いや。陸竜がいないのは確認できたからな」

「それに、他の領地へと踏み込むことになるから、調査をするにも挨拶とか情報提供とか色々あるからね。私たちへの協力はないでしょう」

「元々、このリーフロングにいる冒険者たちは、不帰の森に対しての戦力だからな。リーフロングを収益、防衛を担う高ランクの冒険者を向かわせるのはな……」

「今回は、あくまでもリーフロングの領地での出来事だかららね」

「なるほど……」


これ以上は私たちはあまり深入りしようがないということか……。


「じゃ、これからは、スィリナたちと一緒に不帰の森にでも行く?」

「そうだな。元々、そのための事前訓練の為に村に仕事にいったからな」

「あ、そうだったんだ。なら、私とドーザも行こうかな。ついていっていい?」

「私はいいと思うけど?」

「私も構わない。今回の旅でサラとドーザの実力もわかったからな。この3チームなら安心して不帰の森に行けるだろう」


よーし、色々楽しくなってきたねー。

そう思っていると、後ろからゆーやとせんぱいがやってきて……。


「越郁。時間足らないぞ?」

「残念ながら、もうあと10日もない。まあ、日にちを調整すればいけるだろうけど」

「あ」


そうだった……。

私たちのGWはもう終わる寸前だった。


「ん? ああ、そうえいば報告に戻るとか言ってたな」

「まあ、ヒビキのいうように調整できるなら、合わせるわよ? そんなに一月も待てとかいう話じゃないんでしょう?」

「えーと、どのぐらいになるのかな?」


私はそのまま、ゆーやとせんぱいに質問を投げる。


「そうだなー。不帰の森の仕事ってどのぐらい日にち取られるかだな」

「そうだね。その時間で色々変わるね」

「ということで、不帰の森の仕事って一体どれぐらい時間かかるの?」


そして、再び私は質問をスィリナとサラに投げる。


「仕事の内容によるな」

「まあ、長くても一か月ぐらいかな? それ以上だと、食料が持たなくなるから。でも、基本的に貴重な薬草と魔物討伐ぐらいだから、長くても1、2週間ね」

「それ以上日にちが長くなると、薬草などの採取系はしおれて役に立たなくなったりするからな。魔物討伐も対象を一週間かかっても見つけられないなら、ギルドに報告しないといけないからな」

「あー、そっかー」


そんなものなのか。

なら、結構いけるんじゃないかな?


「ねえ、せんぱいそうなると、次の休みに行けるんじゃないかな?」

「そうだね。休み明け、先生に報告して色々して6日間ほどは向こうに時間がとられるけど、その後は、また一か月ぐらいはこっちにいられるね」


普通に通学して、土曜日の午後からの泊まり込みで、午後6時に授業が終わって、部活動と考えて、それから丸一日で24時間、24日分って感じか。

次の日の午後6時に戻る計算だね。

と、この予定を聞いたスィリナとサラの反応はと言うと……。


「6日間ぐらいなら、待つわよ?」

「私もだ。たった6日間待つだけで、コイクたちの力が借りれるのは、ありがたい」

「そうそう。不帰の森に行くんだから、確かな戦力はありがたいわよね」

「ああ、6日間は別の依頼を受けてもいいし、時間を潰してもいいからな。今回の仕事もかなり稼いだし、元々、たくわえがないというわけでもない」


どうやら、どちらとも問題なしようだ。


「じゃあ、6日後にみんなで不帰の森の仕事受けるってことでいい?」

「いいわよ」

「かまわない」


こんな感じで飲み会中に次の予定を決めたりして、有意義な晩御飯だった。



そして翌日……。


「「「昨日は大変失礼をいたしました!!」」」

「「「あ」」」


そういって、頭を下げるツーチたちのことを忘れていたことに気が付いた。

不帰の森に行くサラやスィリナたちは普通に6日後でいいのだが。

訓練をしているツーチたちのことを全然話し合っていなかった。

というか、訓練しているのは、せんせいなんだし、ここはせんせいに話を聞きに行くしかないね。

そんな感じで、多少難しい顔をして話していたのが原因かはわからないけど、ファオンとアンが深刻な顔をして近づいてきて……。


「あのー。コイク様。ツーチは悪気があったわけじゃないから、その……私たちも止められなかったし……」

「昨日酔っぱらって、仕事をしなかったことの処罰は、軽くしてもらえないでしょうか……」


あー、そういえば、ツーチが飲んで荒れてたね。

まあ、私たちが止めるような酒乱ではなく、ただファオンやアンに対して溜まっている不満をちょっというぐらいで、ファオンやアンもちょっとはウザかったようだけど、迷惑をかけているから、苦笑いしながらもツーチの言いたいようにさせていただけだ。

私たちに迷惑をかけたわけじゃない。


「気にしてないよ。昨日は飲み会だし、私たちが料理するって話だったからね。で、いま思い出したのは、ツーチたちの修行の件なんだ」


私がそういうと、ツーチたちの顔が真っ青になる。


「わ、私はともかく、2人だけはお許しください!!」

「すいません!! 今度からあんなことがないようにします!!」

「……お、お願いです!! ず、ずでないでぐざい!!」


3人は必死に頭を下げて、許しを請う。アンなんて泣いている。

おや? 私、気にしてないっていったよね?

何か、不味い言い方したっけ?

ちょっと、自分の発言に自信が持てないプラス、自分でこの事態を収拾できそうにないので、ゆーやとせんぱいに視線を送る。


「あー、落ち着いて。越郁がいっただろう? 別に罰するとかいう話じゃないから。ね? 先輩?」

「ああ。そうだよ。まあ、昨日のことは使用人としては失格だから、今後は気を付けること。お酒を飲むというのも接客仕事の一つだし、お酒に飲まれないように注意するのは人として当たり前だよ?」


せんぱいの言葉に、3人ともすみませんでした。といって、云々頷きつつ話を聞く。

あー、あれか、ちゃんと怒ってないからダメだったのか。

それで、次の話題のつもりで言った、せんせいとの修行というか訓練の話になったから、その取り止めとか想像したんだろうな。

アンに至っては捨てられると思っている。

だれが、ロリ巨乳を捨てますかって!!


「ごめんごめん。誤解させちゃったね。まあ、でも、せんぱいのいうように、失態だとおもったのなら、これから気を付けようね。で、せんせいの修行の方だけど、ほら、僕たちはこの仕事が終わったら一度、戻るって言ってたじゃん? せんせいもなんだよ。となると、その間、ツーチたちはどうなるのかなーって」

「あ、ああ。そういうことですか」

「よ、よかったー」

「よがっだでず……」


どうやら、何とか事情を理解してもらえたらしい。


「まあ、恐らく、当分はお店を頼むことになると思うけどって、そういえば、お店の方はどうだったの?」

「はい。そちらの件については、こちらに……」


ツーチはようやく本来の調子に戻ったのか、僕たちが毎日書いておくようにと言った日報を手渡される。

まあ、基本的に、作ったパンは全部ゼイルさんに渡しているから、内容は派遣された人への指導ってことぐらいだろうと思っていたのに……。


「ん? 収支? 黒字になってる? 仕入れに小麦粉? ジャム?」


なんだろう? なんか知らない項目が付いている。

ツーチのお小遣い長も兼ねている?

いや、でも、そんな細かなことまで書けとも言っていないし、黒字とかどうやって出るんだよ?


「えーと、誠に勝手ながら、ゼイル様に試作のパンを試食していただいたところ。私たちの腕でも十分に売れるとおっしゃられまして……」

「そうそう。小麦粉とかジャムを仕入れてもらって、うちで作ってゼイルさんに卸してたんだ」

「あ、あの、売れ行きはいいらしいです」


ほぉー。

まあ、意外でもないか、私たちのへっぽこパンでも売れるんだから。

ツーチたちは真剣に横で学ぼうと頑張ってたし、出来てもなにも不思議じゃない。

そんな風に感心していると、私の手にある日報をのぞき込んでいたせんぱいが感想を言う。


「ふむふむ。パン作りを教える方も、順調のようだね」

「あ、はい。3人ほど派遣されてきましたけど、かなり物覚えがよくて、それもありまして、4日前ほどから、ゼイルさんやモッサさんに試食してもらって、OKが出てから出荷させていただいております」


なるほど、そこまでしっかりして、黒字になったわけか。


「えーと、ちゃんと給料もだしている?」

「はい。ユーヤ様のご指示通り、予定通りの手間賃を日当で出しております」


ゼイルさんは、こっちがお願いするから、こっちで出すとか言ってたんだけど、私たちもツーチたちの面倒を見てもらったりするかもしれないし、最終的にはパン屋の業務委託もあるだろうから、やる気を引き出すためにも、私たちからも給料を出すことにしたのだ。


「稼ぎもこの4日で、仕事にでていた約15日分の諸経費は稼げてるね」

「はい。十分に稼げております。それを支払って尚、お金が余りました」

「話はわかった。で、問題はこれからのことだ」


せんぱいがそういって、改めてこれからどうするかをみんなで話し合うのであった。





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