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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第70回活動報告:追跡調査

追跡調査



活動報告者:山谷勇也 覚得之高校一年生 自然散策部 部員



「ここですか。オークたちの集落というのは……」


ラナさんがそういって足を止める。

目の前には陸竜に破壊しつくされた、オークの集落が存在していた。

そこは、僕たちが以前の調査の時に訪れたときのままだった。


「このたき火のあとは、コイク様たちでしょうか?」

「あー、いや、私は村に残ってたから、厳密に言うと、ゆーやとせんぱいかな?」

「はい。ここで僕たちはたき火をして一夜を過ごすことになりました」

「ええ。ここにいれば、陸竜が戻ってくるのではと思いったんですよ」

「なるほど。確かに、ここまで陸竜の足跡があれば、その判断に至るでしょうね。森の方はさっぱりわかりませんでしたから」


そんな話をしながら、ラナさんに先輩が陸竜に襲われた?迎撃した地点まで案内する。


「ここで、ヒビキ様は陸竜と遭遇して撃破したんですね?」

「そうです。といっても、いきなり現れたんで、慌てて魔術を撃って詳しい状況といっても何も説明できないんですけどね」


先輩はそういって苦笑いをする。

まあ、トイレの最中だったから仕方ないし、恥ずかしいことなんだろうけど、他の人たちからすれば、普通は死ぬからというやつらしい。

陸竜の痕跡も一気に爆発して燃やしてしまったため、一帯は黒く焼け焦げて足跡なども消失してしまっている。


「いえ、それよりも無事で何よりです。しかし、足跡を見るに、恐らく陸竜は1匹だったのでしょうね」

「わかるんですか?」

「絶対とは言えませんが、足跡の種類が1つしかありません。普通、陸竜ほどの大きい個体で複数いるとすれば、大きさにもばらつきが出るはずです。なので……」

「ああ、同じ大きさの足跡しかないってなると、1匹だけってことになるのかー」

「その通りです」


なるほど。

ラナさんや越郁の言うように、同じ大きさしかないから、基本的に1匹だけしかいないというは間違っていないと思う。

当時はそんなことを考えたこともなかった。


「はあ、言われてみれば納得の話だね。で、これからどうすんですか? この集落を詳しく調べてみるんですか?」

「いえ、これからは、集落地点の近くから足跡を探してみたいと思っています。そこからたどっていけば、どこから来たのかわかるかもしれません」

「なるほど。ここまでわかりやすく集落では足跡が付いているから、どこから来たかわかるかもしれないってことですね」

「はい。ご協力お願いします。まだ日は高いようですし、今日の内に集落から入ってきた足跡を見つけられればと思っています」


そういうことで、僕たち手分けをして集落の周りを探索することになった。

幸いまだ日が高いこともあって、日が暮れるころには入ってきたであろう足跡を発見することができた。

まあ、足跡はすでに新しいもので一週間近くたっているので、古い足跡の判別はなかなかできずに、怪しいものを見つけてはラナさんを呼んで確認するということになって迷惑をかけたのが反省点かな。

ということで、無理はせず、僕たちはまた破壊された集落で一泊することになった。


「本当に助かりました」

「いえいえ。ラナさんに頼りっぱなしで申し訳ない」


先輩が僕たちの代表で謝ると、ラナさんは笑いながら口を開く。


「頼りっぱなしといっても、魔物の調査なんてのは冒険者としては専門外に近いですからできなくても当然かと。それに私が助かったの事実です。こんな森の奥深くまですんなり来られたのは、コイク様たちが強かったことと、集落の場所を把握してくれていたおかげです」

「そういっていただけると幸いです」


ラナさんのお褒めの言葉を聞いて、少しはほっとした。

僕たちが森に一度入って集落の位置を把握していてよかった。

そうでなかったら、明日に予定が引き伸ばされていたし、ラナさんの足を完全に引っ張っていただろう。

まあ、お世辞という面も多少はあるだろうが、僕たちが心安らかだしいいことにしよう。


「しかし、こんな野宿で温かいシチューを食べられるとは思いませんでした。初日も驚きました。やはりすばらしいですね。干し肉や干した果物じゃないというのは贅沢です」


そういって、ラナさんは僕たちが渡したシチューをおいしそうに食べてくれるが、不意に動きが止まる。


「どうかしましたか? 何か変な事でも?」


僕たちはラナさんの動きが止まったことに警戒して、レーダーの魔術を使うが辺りに反応はない。

一体なにが?

僕たちの知らない脅威でもあるのだろうかと、冷や汗をかいていると、ラナさんが口を動かす。


「いま、気が付いたんですが。私は必要でコイク様たちとこの森に潜りましたが、他の森の周囲を調査しているナラリーさんたちは、この暖かい食事を受けられないのですよね?」


何をいいだすかと思えば、ガクッときたが、大したことがなくてよかったので、素直に答える。


「そうですけど、それが何か?」

「……私がナラリーさんを筆頭に領兵さんたちや、輝きの剣やサラ様たちに恨まれそうだと……」

「「「あー」」」


食べ物の恨みを怖いというし、なんとなくわかる気がする。

ラナさんが強権を使って僕たちと料理を独り占めしたと。


「まあ、その程度でナラリーとか、スィリナ、サラが怒るわけないよ」

「……だといいんですが。とりあえず、なるべく早くこちらの調査は終わらせて、みんなと合流しましょう。ナラリーさんをあれだけみんなで注意しておいて、結果、私が恨まれて、調査が失敗とか笑い話にもなりませんから」


流石にそれはないと思うけど、調査が早く終わることには異論はないので、その日は早く休むことになり、夜の間に先輩が襲われるようなこともなく、無事に朝を迎えて、僕たちは足跡を追うことになった。



「ふぁー、昨日は特に何もなかったね。陸竜はともかく、ゴブリンはいたんだし、なにか来るかなーと思って警戒して起きてたのになー」


越郁はあくびをしながらそういう。

昨日は4人しかいないので、2人2人で別れて夜の警戒をしたんだけど、無事に何事もなかったおかげでただの無駄になってしまった。何もないのに夜起きているのは辛い。

越郁と僕は夜中に起きて、朝までそのまま警戒をしてそのまま移動しているので、思ったよりもきつかった。


「おそらくですが、陸竜があそこまで暴れていた場所ですし、下手な魔物は近寄ろうと思わなかったのでしょう」

「ああ、なるほど。わざわざ危険なところにこないってことですね」


地球でも聞いたことがあるな。

マーキングみたいなものだ。

その動物の臭いがあるところには近寄らないというやつ。

魔物も同じような修正があるというか、普通に人に近いゴブリンやオークは知能があるだろうからうかつには近寄らないか。

そんな風にラナさんから魔物を追う方法などを聞いていると、気が付けば眠気は飛んでいて、森の中をサクサクと歩いていた。


「ですが、思ったよりも陸竜が大きかったのが幸いしましたね。途中で足跡がなくなるかと心配していましたが……」


そうサクサク進んでいけるのは眠気がなくなっただけではない。

先輩を襲ってきた陸竜が大きかったので、森の中の足跡を簡単にたどれたことが大きい。

というか、木々をなぎ倒していた。


「だけどさ、よく考えれば当然だよね。こっそり近づいて来てたんじゃ、森の動物たちや魔物たちは逃げ出さないだろうし、よほど騒がしく入ってきたんだなー」


越郁の言うことは尤もなことだと思うんだけど、なぜかラナさんがその言葉を聞いて顔を険しくさせる。


「……あの、ラナさん何か気になることでも?」

「……コイク様の言う通りなんです」

「えーと、大騒ぎして陸竜が入ってきたという話ですか?」

「ああ、それは間違いないんですが、陸竜は基本的にヒビキ様が遭遇した時のように気配をしっかり絶つタイプの魔物なんです。竜種にしては陸をしかも身動きのとりにくい森の中を活動するタイプなんです」

「そうえいば、出会った時はいきなりだったし、不帰の森にいたドラゴンよりは一回りは小さかったな」


先輩が思い出す様に口にする。

そういえば、先輩が襲われた時も爆音で気が付いたし、不帰の森にいたドラゴンに比べたら確かに小さい。

つまり、陸竜は隠密型の魔物。

……となると、この痕跡があるのはおかしい?


「これ、偽物ってことですか?」

「いえ、これは確かに陸竜の痕跡です。ちゃんと地面が露出したところには足跡もしっかりありますから。大きさもヒビキ様が倒した陸竜と一致します。ですが、先ほど言ったように陸竜の様子がおかしいです。こんなに慌ててなぜ森の奥深くへ来る必要があったのでしょうか? 地元なら、ここまで荒らす必要はないはずなんです」

「……確かに、ラナさんの言うようにおかしい点はあります。ですが、そうなると、陸竜は外から来たということになりますが」


僕がさらに問い詰めようとすると、先輩が後ろから話しかけてくる。


「まあ、ここで話し合っても仕方がないよ。わかりやすい目印はあるんだし、これをたどっていけばおのずと答えがわかる。そうでしょう? ラナさん」

「あ、はい。ここで考察しても仕方がないですよね。まずは確実な証拠を見つけないと。すみません。先を急ぎましょう」


そういって、ラナさんはすぐに陸竜の足跡を追っていく。

いや、かなり早めに追っている。

先ほどとはペースが違っていた。

それを見た先輩が……。


「……どうやら、本当にきな臭いことになってきたみたいだね」

「というと?」

「ラナさんのあの慌てように普段の陸竜ならありえない行動。たぶん、自発的に行動したわけじゃないんだろうね」

「じはつてき?」


先輩はかなりオブラートに言ったしまった為、越郁が首を傾げてしまう。


「自分から森にやってきた来たにはおかしいってことだ。というか自分の森ならここまで暴れる必要はないだろうって話」

「ああー。この様子で外部からなんらかの理由でやってきたってのはほぼ確定したってこと?」

「おそらくね。しかも、自然的というか自主的な移動という可能性は低いだろうね。静かに動く魔物がここまで暴れるのは野生動物などではよほど混乱している時にしかないことだよ」

「まあ、そうでしょうね……」


よほど、陸竜にとっては異常事態が起こってこんな足跡を作り上げたわけだ。


「まあ、僕たちにできるのは、ラナさんの調査作業に協力することだけどね」

「でも、なんか色々判明した時はどうするんですか?」

「その時はラナさんたちの方から、協力要請が来るだろうね。僕たちが勝手に動いていいことじゃない」

「そっかー。というか、協力要請があっても私たちは学校始まるしねー」

「そこもある。先生と色々相談しないといけないね。ついでに中間テストもあるしねー」

「うへー」


これからは僕たちも本当に色々ある。

こちらだけに構っていられないのも事実だし、先輩が言うように国が関わる話に僕たちが出しゃばるわけにもいかない。


「さ、予想の域をでない話はここまでで、ラナさんの護衛に気を配ろう」

「「了解」」


そのあとは僕たちももくもくとラナさんの進む先にいるゴブリンたちを数匹狩ったりして安全を図った。


「昨日に比べて、ゴブリンなどの魔物が戻ってきてますね。小動物も見かけました」

「あ、私も見た。リスみたいなのが顔だしてたね」

「鳥もみたね」


僕もちょっと小さいけど猪を見た。

つまり、森が元に戻りつつあるとみていいのだろうか?


「詳しい判断は村の人たちがするべきでしょう。あとは、陸竜が他にいないかをしっかり調べることが大事です。まずはこの足跡をちゃんと調べましょう。あと少しのはずです」


ラナさんにそう言われて、僕たちは森の調査をづつけていくと、小一時間ほどで……。


「あ、森が途切れてる」


越郁がそういって指を指す方向には確かに森が途切れている。


「行ってみましょう。足跡もそちらに続いていますし。広場でなく、森の外周だといいんですが……」


そして僕たちはその場所へと足を踏み出す……。

そこには何があるのか。


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