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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第62回活動報告:晩御飯を食べたらねま……あ、忘れてた

晩御飯を食べたらねま……あ、忘れてた



活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員



「いただきます」

「「「いただきます」」」


そういって、私たちは全員で温かいご飯を食べ始める。


「おー、このシチューおいしー!! なんだ、ツーチたちもすごいね!!」

「ああ。この味が出せるなら大したものだ」

「ええ。すごいわね」


そういって、ツーチたちの作った料理をベタ褒めして、シチューとパンをガツガツ食べているのは、スィリナたち輝きの剣。

で、褒められたツーチたちはちょっと苦笑い。


「褒めていただき光栄ですけど……」

「パンはともかく、シチューはただルー入れただけだよな」

「あ、あははは……」


まあ、ルーを渡して入れるだけという必殺技を使ったから、ツーチたちにとっては自分の実力という感じはしないんだろう。

この世界にルーという宝物は存在しないからね。

ああ、厳密には「ルウ」が正しい言い方。

そして、インスタントカレールウを開発した日本人よよくやったという所だろう。

私たちにとっては十分料理なんだけど、ツーチたちからすれば、魔法のアイテムで作ったというのがあるんだろうね。

料理と料理じゃないという物の判断は一体どこでつくのだろうと、その時深いことを考えてしまった。

ま、そんなことがありつつも、美味しく晩御飯はいただいて……。


「はい。コイク様。お茶です」

「ありがとー」


ツーチたちから食後のお茶を貰ってゆっくりしていた。

あー、熱いお茶が美味しい。


「ふぅ。落ち着くねー」

「そうだな。色々あったが、こうやってコイクたちの家で一息つくのはいいものだ」


そういって、私とスィリナはのんびりしてて……。


「アノン。お菓子たべる?」

「おー。食べる食べる。ユーヤ沢山頂戴」

「はいはい」

「やったー。流石ユーヤ」


なんか、アノンは私みたいにユーヤにたかっている? 餌付けされている?


「しかし、ナーヤの回復魔術もすごいね。お肌の調子を整えるとかもあるとは思わなかったよ」

「何言っているのよ。ちぎれかけた腕を治すとかすごいことしておいて。でもまあ、褒められて悪い気はしないわ。お肌の状態をよくする魔術も長旅ならではってやつね」

「お手入れは大変そうだね」

「大変よ。砂漠とか、雪山とか極端なところでケアを怠るとすぐにカサカサになるんだから」


どうやら、お肌のことは世界が違おうと共通の問題らしい。

しかし、回復魔術の応用で、お肌のお手入れができるのか。

そういう方向性は考えたことがなかった。

つまり、ニキビ治療とかも簡単にできる可能性もあるわけだ。

すげー、お肌ケア道具いらない? 異世界万歳!!

いや、実のところ、私はそこまでお肌に悩んだことないけど。

ニキビと日焼けぐらい?

ここら辺が、体が小さい利点かな? 若いって意味で。

あ、あと、普通に子供料金でいけるってやつかな。

そんなことをしてくつろいでいると不意にドアが叩かれる。


「すーいーまーせーん!! ラナでーす!! お食事が終わったら冒険者ギルドの方へ来ていただきたいのですがー!!」


全員が顔を見合わせて、あ、忘れてた。って顔になってた。

正直このまま、家でゆっくりしたいって気持ちはあったけど、色々あったし報告しないといけないことは多いから仕方ないか。


「じゃ、ツーチたち私たちは行ってくるから、せんせいには夜遅れるって言っておいて」

「はい。かしこまりました」

「まあ、そこまで遅くならないように、何かあったら入れ替わりで報告に行くから大丈夫だと思うけどね」

「でも、話って長引くんですかね? 特に何もわかってないですけど」

「さあな。詳しいことを聞かれても分からないから、あったままを話すしかないだろうが」

「だよねー。面倒になったらスィリナに任せて私は先に帰ってねるよ」

「そうねー。スィリナには悪いけど、パーティー全員が寝不足で疲労状態ってのはアレだし、長引くなら私も帰るわ」


そんなことを話していると、ラナさんが怒った顔をして……。


「と・り・あ・え・ず、来てください!!」

「「「はい!!」」」


そんな迫力で言われたらいやとは言えなかったので、大人しくついていく。

すでに夜になっていて、町は静かだが、冒険者ギルドの方は人だかりが出来ていた。


「なんか人が多いね」

「それをコイク様たちがいいますか。仕事から帰った冒険者たちが、退治した陸竜を見て騒いでいるんですよ」

「「「あー」」」


納得しつつ、その人混みをかき分けて私たちは冒険者ギルドへと入って行く。


「お、帰ってきたな」

「あ、本当だ」


中に入ると、受付にいたドーザとサラがこっちを見つけて話しかけてきた。


「やっほー。サラとドーザも仕事終わり?」

「いや、一昨日には戻ってきていたわ」

「しばらくは休みでのんびりしていたんだが、まあ、ギルドには何か面白い仕事はないかと顔を出していたんだが、まあ、驚いたな」

「ああ、まさか、陸竜を倒してくるなんて」

「流石、マンナ様のお弟子様だな」


最近、せんせいだからって納得されることが多い気がする。

まあ、助かるんだけど、せんせいと同レベルと思われるのは心外だ。

せんせいはもっとすごくて、えげつない。


「で、2人も陸竜の死体を見に来た口?」

「呼び出された」

「呼び出された?」

「ええ。そこのラナさんにね。お昼に来た時に陸竜を見て驚いていると、夜にもう一度来て欲しいって言われたの」


そういわれて、ラナさんを見ると、頷いて返事をする。


「はい。私が頼みました。スィリナ様たちからのお話を聞く限り、ドーザ様やサラ様も一緒がいいだろうというギルド長のご判断です」

「一緒ってどういうこと?」

「それは、奥の方でお話しますので、移動をお願いします。ここでは人目を集めますので」


そういわれて気が付いたけど、他の冒険者たちも私たちのことを見ていた。

なんか「やっぱり」とか「信じられねえ」とか「死ぬぞ」とか不本意な事ばかり聞こえてくる。

冒険者たちに絡まれたのは、アノンだけとは言え、こういうのはあまり気分がよくないね。

他のみんなもそう思ったらしく、ラナさんに大人しくついていくと、ギルド長の部屋に通される。


「来たようじゃな」

「そのようだ」

「お、来たな」


なぜかそこには、モッサ冒険者ギルド長のほかに、商業ギルドのゼイルさんに、ガーナンのおっちゃんまでいた。


「あれ? ゼイルさんに、ガーナンのおっちゃんまでどうしたの?」


私がそう問いかけると、ゼイルさんが顔をしかめながら答える。


「コイク殿は本当に、ガーナン様をおっちゃん呼ばわりしているのだな。と、そこはいい。まあ来た理由は、コイク殿たちが仕留めた陸竜についてだ」

「がははは。コイクは相変わらずだな。そこがいい。しかし、まさかあんなものを仕留めているとは思わなかったぞ。後始末の指示を出して城に戻ってみれば冒険者ギルドの呼び出しだ。わざわざ足を運んでみれば驚いたぞ」


なるほど。

思ったよりも陸竜が出た件は大事になっているようだ。


「で、やっぱり陸竜の件?」

「ああ、そうだ。私は商業ギルド長なので取引をすることは多いが、この近辺に陸竜がいたなんて話は聞いたことがないし、ここまでのサイズがいたことに気が付かなかったのはおかしすぎる」

「ゼイルのいう通りだな。仕事でコイクたちが行った村の森に、そこまでも大物がいたなんて話は聞いたことがない」

「私もじゃな。ということで、もう一度、スィリナたちに話を聞こうということになったんじゃよ」


あれか、事情聴取みたいなものか。

そういうことで、今度はスィリナとアンナだけでなく、私たち全員話を聞いてきて、村や森で起こったことを詳しく話した。

と、言っても、ただ静かな森を歩いて、森の深部で一泊してたところに、せんぱいがトイレ覗かれて、トカゲの丸焼きを作り出しただけとしか言えないんだけどね。

だけど、ガーナンのおっちゃんたちは話を聞いてやはり変だと頷きあった。


「やっぱり変だな。こんな大物が食っていける森じゃない。陸竜は餌がそれなりに豊富じゃないといけないからな。まあ、餌は魔物でいいとしても、飲み水があそこにはない」

「ですな。あの森に水源があったという話は聞いたことがないですな」

「となると、やはりどこからかやってきたということになりますが、近場に陸竜が住む場所などないですし……」

「「「……」」」


そんな話をして、3人とも沈黙する。

色々深刻な問題があるのかもしれないけど、私たちはさっぱりなので、沈黙していると、サラとドーザが私たちに話しかけてくる。


「しかし、見事なものだわ。陸竜をあそこまでボロボロにしてしまうなんてね」

「だな。流石は不帰の森から来ただけはある。マンナ様のお弟子様って感じだな」


そう褒めてくれるが、実際に倒したのはせんぱいなのでなんとも言えない。

そこで、思い出したのだが、ギャグとばかりに一瞬で倒されて、私たちも陸竜の強さはよく知らない。


「そういえば、せんぱい。陸竜ってどのぐらいの強さだったの?」

「ん? あー、言ったと思うけど、反射的に魔術を撃ったら死んだから、よく分からないんだよね」

「おいおい。陸竜っていえば、本来であれば、町で指折りの冒険者たちが集まってようやくだぞ」

「それを、反射的に放った魔術で一撃とはすごいわ」


2人の反応を見る限り、やっぱり陸竜ってのは強い魔物みたいだ。

でもさ、不帰の森のオークたちよりは強くないから、あの森がどれだけ無茶苦茶かってわかるよね。

あそこに放り出した女神かなんか知らないけど、いつか会ったらとっちめてやる。

そんな会話をしていると、ガーナンのおっちゃんたちからの視線が集まっていることに気が付く。


「どうかした?」


私がそう聞くと、おっちゃん、おじいちゃん方はお互いに顔を見合わせて頷く。


「どのみち、このままでは判断が付かないのは事実だ」

「ですな。森へ再び調査隊を送ることになるでしょう」

「その時に、必要なの戦力。何者かの意図があろうと、それを乗り切れるほどの戦力があれば、調査隊の全滅を心配する必要はないですね」


おお、なんか話が進んでいるようだ。

それなら、もう私たちは必要ないかな。

これはあくまでも、ガーナンのおっちゃんの領地で起こった問題だから、私たちが勝手に首を突っ込んでいい話ではない。

ということで、私は手を上げて話しかける。


「じゃ、なんか話はまとまってるみたいだから、私たちは帰るねー」

「ちょっと待ってくれ」

「ん? なに?」


なぜかガーナンのおっちゃんに呼び止められる。


「この陸竜が出たところを調査したいと思っているのだが、その際に、一緒に案内してくれないか?」

「そうじゃな。何かあっても陸竜程度ならコイク殿たちならなんとかなるじゃろうし」

「店のことは気にするな。ああ、パンの準備だけはしてくれれば引き続き、商業ギルドの方で販売をする」

「はい?」


どういうこと?

私が首を傾げていると、スィリナが説明してくれる。


「ほら、言っただろう? 私たちを案内にして調査したほうがやりやすいって話だ」

「ああ」

「それに、コイクたちや私たちがいれば、モッサギルド長のいう通り、陸竜程度なら気にしなくていいからね」

「なるほど」


私たちを案内役と同時に護衛戦力として使うってわけか。

スィリナもアノンも特に嫌って顔はしていないから、あとのメンバーの意見をと思って振り返る。


「別にいいと思うよ。まあ、問題はパンをまた作らないといけないってことだね」

「ああ。結構大変ですね」

「まあ、それは私たちも手伝うわ。で、依頼料もそれなりに入るんでしょう?」


と、せんぱいにゆーやも納得したところで、最後にナーヤがちゃんとお金の話をする。

確かに、ここまで色々こき使われて、お給金無しはやってられないね。

私たちの視線が集まっていることに気が付いたガーナンのおっちゃんはすぐに返事をする。


「そうだな。案内と調査に参加してくれるなら、依頼料金貨300。前払いで100枚に、陸竜をさらに討伐したなら、さらに300枚追加でどうだ?」


うん。

金額を言われても相場がわからんから、スィリナに視線を向けると頷く。

どうやら、適正価格らしい。


「じゃ、それでいいよ。詳しい話はまた明日ね。もう寝るよ」

「ああ。こっちも色々まだ話し合うことがあるからな。明日は城の方に来てくれ」

「あいよー」


さて、まずは寝よう。

久々の我が家のベッドだ。






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