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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第57回活動報告:やはり森に異常あり

やはり森に異常あり



活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員



さて、ちょっと困ったことになった。

実は、昨日、せんぱいとスィリナ、アノンがオークの集団の移動跡を発見。

これだけなら、ようやく目標が見つかった。と喜べたのだが、追跡の結果、オークの集団は森を離脱。村とは違う方向へ移動したことが判明した。

ここまでなら、オークの集団はいないという結論が導き出され、私たちの仕事は終わりである。

今日にでも、狩人さんたちを連れて、その現場を見せればそれで終わりになる。

そう、仕事は終わりだ。

目的のオークの集団はいないのだから。

しかし、それは短期的な話だ。

この仕事の本質は村の安全を図って欲しいということ。

オークの集団がというのは、村を脅かす具体的でわかりやすい脅威であっただけだ。


つまり、オークの集団が逃げ出すようなことが起こっていることになり、森は現在非常に不安定であるということ。

いや、実際、何も起こらないという可能性もあるけど、そこを判断するのは私たちではなく、村長さんたち村の人々だ。

ということを村長さんたちに話すことになり、緊急村会議が開かれ今後について話し合いが持たれている。


「どうなるかなー」

「まあ、とりあえず。オークの集団が逃げたって現場までは連れて行くことになるんじゃないか?」


私のつぶやきに応えるのはゆーや。

まあ、その通りだ。

私たちが嘘をついているとは思わないだろうけど、現場を見ないと実感などもわかないだろう。

せんぱいたちが言った森に動物がいないという話もだ。

森の人たちがそのことに違和感を持たなければ、私たちの勘違いで終わる話ではある。


「でもさ、ユーヤ。そこまで連れて行って、おかしい。ってなると、どうするんだろうね」

「うーん。まあ、大まかに3通りだよ。1つ、このまま無視する。2つ、僕たちにさらなる調査を頼む。3つ、ギルドに更なる依頼を出す」

「2と3被ってない?」

「被ってないぞ、アノン。2つ目は私たちがオーク退治、調査の一環、つまり引き受けている仕事の延長で調べてくれという話だ。そもそも、オークの集団が逃げたというのはわかるが、別の集団の可能性もあるからな。で、3つ目は森に危機感を感じて大規模な依頼になる。おそらくはリーフロングの領主の依頼となるだろう。後方の森が不安定の兆しありという話だからな」

「あー、なるほど」


私が説明する前に、スィリナが説明してしまった。


「だけど、3つ目は結構証拠がいるから、やっぱり2つ目が有力かな」

「まあ、そうだろうね。無視という線も捨てられないけど、森で狩りをしないと村が立ちいかないから、動物がいない原因を突き止めようとするだろうから、無視はないと思う」


私の話に賛同するのは響先輩。


「3つ目に移る前に、私たちが調べてくれって話になるでしょうね。おそらく」

「ナーヤのいう通りだろうな。で、その場合はどうする?」


そう聞いてくるスィリナ。


「僕は構わないけど、越郁君や勇也君は?」

「私もいいよー。これで帰るのはアレだし」

「僕もいいですけど。ツーチたちは大丈夫かい?」


あ、ツーチたちの意見を聞くの忘れてた。

ゆーや、ナイス。

そして、ツーチたちに視線が集まる。


「私としては、構わないのですが、正直どう協力していいのやら……」

「だよなー。私たちはずっと待機だったし」

「森の奥深くまで調査となると、私たちはどうしたらいいんですか?」


ツーチたちは私たちの判断に問題はないと思ってはいるが、自分たちはどうしたらいいのか、判断が付かないようだ。

そりゃそうだ。冒険者じゃなくて、ただの付き添いか新人って感じで一緒にいるだけなんだから。

ツーチたちの実力を見るというのは、村に来るまでに見れたし、命令関係もここ二日、村に待機というのはしっかり守っているので、総合的に今までのツーチたちの評価は最高ランク。

素人としては上出来すぎるというのが、私たちの判断だ。


「森の深くの調査はにはツーチたちは連れて行けない」

「そうね。ツーチたちはこの昨日と同じようにこの村で待機してもらうことになると思うわ」

「無理してついてくることはないしね。何があるか分からないから、ここで待機が安全だよ」


私もスィリナたちの意見に賛成なので、頷いてフォローをしておく。


「ツーチたちが弱いとか役立たずって話じゃないからね」

「それは仕方のないことだから、別に気にしなくていいから」


ゆーやも一緒にツーチたちに言い聞かせる。

暴走するような子たちとはおもわないけど、言っておかないと伝わらないことってあるからね。


「わかっています。私たちが森に入ったところで、足を引っ張りかねません」

「というか、森は素人だからな。下手すると死ぬから、この村で待機が当然だな」

「お留守番してます。コイク様たちは安心して、森の調査にいってください」


ツーチたちは聞きわけがよく、昨日と同じで構わないと言ってくれた。

これで、一緒に行きたいと言われた困ったのだが、それもないので助かった。

そんなことを、話しているうちに村の会議が終わったらしく、村長たちが部屋に入ってくる。


「お待たせして申し訳ございません」

「いえ。お気になさらずに。で、話し合いの結果はどうなりましたか?」

「はい。とりあえずは、オークの集団が逃げたという痕跡を確認してからということになりましたので、今日はそこまでの護衛を頼めますか?」

「わかりました。護衛の人数は何人ほどでしょうか?」

「村長の私と、狩人2名ですな。村の方はマーロウの方に任せる予定です」


そいうと、村長についてきていた二名がこちらに頭を下げる。

この人たちが、ついてくる狩人さんたちか。

で、村の方はマーロウさんが守るってことか。

私がそんな風に納得していると、スィリナが話を続ける。


「3名ですか。うーん、となると、オークの集団を見つけた、私たち3人は一緒にいくとして、コイクたちから1人来れないか? 何かあればおとりで時間を稼げればと思うんだが」

「あー、それなら、私が行こうか?」

「じゃ、僕とナーヤさんが居残りか。大丈夫ですか?」

「ええ。構わないわよ。村は私とユーヤ、そしてツーチたちに任せておきなさい。と言っても何もないと思うけど」


そりゃそうだ。

森の異変のせいで、近くの森には動物が見当たらない。魔物も含めてだ。

そんな中で、村に何かある可能性は低いよね。


「では、今日中に確認を済ませたいので、すぐにでられますか?」

「ええ。構いません。いいか、みんな?」


スィリナがそう聞いてみんな頷く。

すでに朝から会議をしていて、もうすぐお昼といった感じだ。

早くしないと、森にいる間に日が暮れてしまう。

ということで、さっそく私たちは、村をゆーやたちとマーロウさんに任せて、森へと向かうことになった。



「……疑っていたわけではないのですが、本当にここまで何もないと不気味ですな。どうだお前たちは?」

「いえ、村長。こんなのは初めてです」

「鳥も、動物の気配もない。静かすぎる」


村長さんたちから見ても、森の静けさはやっぱり異常らしく、辺りをきょろきょろ警戒しながら歩いている。


「やっぱり、いつもこんなに静かじゃないんだ?」

「ええ。動物は見つけるのは困難ですが、鳴き声すら聞こえないというのは、おかしすぎます」


私の質問に狩人さんが答えて、もう一人の狩人さんも同意見のようで頷いている。

確かに、鳴き声も聞こえない森ってのはへんだよね。

そして、あることに気が付く。


「あ、そういえば、狩人さんたちが森の異変を知らないっていうと、オークの集団を見かけたときは、森に異変はなかったってこと?」

「ええ。その時は普通に狩りをしていましたから」

「あの時は、狩った獲物が近くになくて助かりました。下手に近ければ血の臭いで気が疲れて俺たちが襲われていたかもしれませんでした」

「なるほどー。その時までは普通に動物がいたってことなら、ここ最近一斉にいなくなったってことだよね」


私がそういうと、スィリナが頷く。


「そうだな。私たちが来る間に、森の生き物が移動したという事だろう」

「そうなると、短時間のうちに結構な数が移動したんでしょう? 村の人は気が付かなかったの?」

「いえ、村の方はいつオークの件で慌ただしく、森に近づくのは禁止にしていましたし」


あー、なるほど。

そりゃ、森の様子に気が付くわけないよね。

村の方向に動物たちが逃げ出すわけもないだろうし。

追われているならともかく、自主的に避難したような感じだしね。

そんなことを話しているうちに、オークの集団の跡が見つかった地点に到着する。

その近くで、森が切り開かれていたことに対して、驚いていた村長さんたちには私たちが目印で切り倒したと言ったら、ホッとしていた。

怒られたらどうしようかと思っていたが、そういうことはなくて助かった。

ついでに、実力は本物なんだといういい方向に納得してくれたのも幸いだと思う。


「これが私たちが発見したものなのですが、そちらが発見したモノと同じでしょうか?」


スィリナがそう聞くと、狩人さんたちは頷いて同意する。


「じゃ。これで間違いないわけだ。あとはこれをたどっていって、森の外に行ったのを確認しよう」


アノンがそういって、そのあとはオークの集団が抜けて行ったと思われる道をたどること2時間ほどで、森が途切れ草原の方へと何かが通った獣道のような跡が続いていた。


「確かに、確認しました」

「間違いなく、俺たちが見たオークたちは草原の方に逃げたみたいだ」


狩人さんたちは、そのあとを見て納得した様子だ。

しかし、村長さんの方は難しい顔をしている。


「……ふむ。確かに、オークはいなくなっているようですが、森の様子がおかしすぎますな」


村長さんはそういって、森を見つめる。


「とにかく、今後のことを話し合うために、一度村に戻りましょう。もうお昼も過ぎています。ちょっと急いで帰らなければ夜の闇に取り残されます」

「そうですな。まずは帰ってこのことをみんなで相談するのが先ですな」

「帰りはどうするの? 森を突っ切るの? それともここから森の外周をグルーっといくの?」

「いえ、流石に外周を回っては確実に日が暮れてしまいます。それは避けたいですし、森の中の様子を帰り道でも確認したみたいので、ご迷惑かとは思いますが、護衛をよろしくお願いしたいます」


と、言われて、私たちは再び森の中を、辺りの様子を探りながら進んでいくことになった。


「でもさ、本当に静かだね」

「だねー。私も言われるまで気が付かなかったけどさ、これって動物が息をひそめてるとかいうレベルじゃないよね」


私がつぶやいた言葉に、アノンがそう返す。


「アノンもエルフだから、やっぱりこの森って変にみえる?」

「いや、正直に言うと、こういう森の異変があって動物たちの移動ってのは、全くないってわけじゃないからね。季節によって移動する動物もいるし、ここの森のいつもの状態をしらないから、私としてはなんともいえないかなー」

「まあ、そんな簡単にわかれば苦労しないよね」


せんぱいのいう通りだね。

簡単にわかれば苦労しない。森といっても、ここはアノンが知っている森ではないのだから、判るわけないか。

この森の動物とか魔物の分布を知っているわけでもないからね。

ということで、普段取れる動物とか魔物とかを聞きながら、森を抜けてギリギリ日が暮れる前に村にたどり着いた。

すると、村の入り口にゆーやとナーヤさん、ツーチたちが出迎えに来てくれた。


「おかえり。どうだった?」

「ナーヤ、ただいまー。森の方は全然静かなままだよ」

「ただいま。アノンのいう通り静かなままだな」

「オークの方はどうなりましたか?」

「オークの方は村長さんたちに確認してもらったから、大丈夫だよ、勇也君」

「でも、森の方は未だに変なままだから、村長さんたちはこのまま会議だね」

「はい。すみませんが、皆様はまだ村にいてもらっていいでしょうか?」

「いいですよ。流石にこれは変だし、しっかり話し合ってください。私たちからリーフロングの領主様に話を通すこともできますので」

「おお、流石は高名な冒険者様たちですな。ご領主様とお知り合いとは」


スィリナがこうして話をまとめてくれたおかげで、私たちはすんなりと、休めるのであったが、森の方はどうなるんだろうな? と思うのであった。




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