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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第27回活動報告:見て見て

見て見て




活動報告者:宇野空響 覚得之高校二年生 自然散策部 部長




幸い、ツーチとファオンの不和はツーチの説得と、暴露によって霧散した。

よって、今、越郁君がツーチに詰め寄られているのは放っておこう。

ツーチがファオンを説得したご褒美ということで。

まあ、本音はあれを止められる気はしない。

ヘンタイってやつだね。実際見るのは初めてだよ。


「で、商業ギルドには全員で行きます?」

「うーん。どうしようかな?」


いま彼女たちを連れて行っても、説明もなにも、まずは僕たちが情報が欲しいからついてくる意味があるのかな?


「私としては、今後彼女たちに商店の手伝いを任せるつもりなのであれば、商業ギルドに連れて行って顔見せはしておくべきかと思います。不帰の森の物を取り扱うのですから、よからぬことを考える輩も出てくるでしょう。彼女たちの安全のためにも身内だと知らせておくのは重要かと」


なるほど。

ダザンさんのいう通りだね。

まだ、あの3人は修行もなにもしていなから、そういう心配もあるね。

ファオンは元冒険者とか言っているけど、ツーチやアンはそういう心得があるかわからないしね。

だからといって里中先生に指導していいと思えるほど、彼女たちへの信用は僕はまだない。

ここはダザンさんのいう通り、商業ギルドや冒険者ギルドに顔見せをして気を使ってもらうほうがいいね。


「ダザンさんのいう通りだと思うな。勇也君はどうかな?」

「僕もダザンさんの意見に賛成です」

「どうも。私の意見を採用していただき恐縮です。しかし、コイク殿はどうでしょうな」


そういって、3人で越郁君の方を見ると……。


「コイク様。どうぞ、私にコイク様のお世話をお任せください」

「いーやーだー。私のお世話はゆーやがするから大丈夫だよ!? というか、ツーチはそっちの趣味なの!?」

「いえ、コイク様に惚れただけですから」

「今目覚めたの!?」

「はい。コイク様の可愛らしさに心打たれました」

「なにか私が原因みたいになってない!? ファオン、ちょっと止めてよ!?」

「え? あー、コイク様。私には無理です」

「えーい、先ほどまでの自由奔放なファオンはどこにいったし!?」

「あわわ、一体なにが起こっているんですか?」


なんか、4人で楽しそうだね。

でも、なんかツーチと越郁君の姿が、奏と自分の姿が重なるんだよなー。

……まさか、奏でもそんな趣味なんてわけじゃないだろうな?

そう考えると体がブルっと震える。

奏ではいい友人ではあるが、そういう風には見られない。

流石に気になる男性も隣にいることだし、そういうことは彼としたい。

と、そこはいいか。

まだそうだとは決まったわけじゃない。

今は商業ギルドへ連れていくって話だ。


「そこの4人。じゃれあいはそこまでにして、そろそろ商業ギルドに行くよ」

「え? 3人も連れていくの?」

「今後、お店を任せることもあるだろうからね。ちゃんと顔見せをしておいた方がいいって話になったんだよ」

「あー、そうか。よし、じゃれあいはここまで。ツーチ、ファオン、アン出かけるよ」

「はい。かしこまりました」

「あ、はい」

「はい」


ふむ。

ツーチはすぐに切り替えたし、ファオンの為にふざけたって感じかな?

というより、ツーチは礼儀とか知識もそうだけど、元どこかの貴族様とかかな?

いま聞くのはあれだけど、流石にファオンやアンと差がありすぎるから、後で問いただしてみよう。

それからは早いもので、食器を片づけて、ダザンさんに商業ギルドへ案内してもらう。

場所は冒険者ギルドとはちょっと離れているみたいで、さっき買い物した露店市場の近くだった。

まあ、商品とか扱うだろうから、露店やお店が集まる近くじゃないと不便だよね。

建物自体は冒険者ギルドのように武器を背負った人が出入りせずに、静かなもの

だった。

そう、静かだった。本当に誰も出入りをしていない。


「あれ? なんでこんなに静かなの? 休み?」


越郁君も不思議に思ったのか首を傾げていると、ダザンさんが説明を始める。


「いえ。開いていますよ。忙しそうに見えないのは当然ですね。商業ギルドが忙しいのは、朝ですから」

「朝?」

「ええ。朝に前日までに仕入れた商品の卸し売りがあるんですよ。買取りも昼までには収穫して売りに来ますから、今はよその町から来た商人の商売契約とかそこらへんだけでしょう」


なるほど。

地球みたいに、明かりがあり、安全で移動手段があって24時間ずっとってわけじゃないから、朝から昼まで、陽が出ているうちに大体のことは終わらせるわけだ。

どうりで売っていた野菜はどれもしなびているわけだ。

水につけて復帰させるという面倒な手順がいるわけだ。

今は、もう店じまい寸前という所だろう。


「なるほど。しかし、商業ギルドで手続きなどをしているということは、この商業ギルドは国が管理しているというわけですか?」

「ああ、間違いではありませんが、国というより、商業ギルドが置いてある町が管理しているようなものですね。商業ギルドという場所がないと、城や領主館に手続きへくる商人でごった返しますから」

「あー、そりゃそうか」

「税金の確認などもありますからね。そういう専門の人を集めて、管理させているのが商業ギルドという所ですね」

「ということは他国の商業ギルドとはあまり関係はないということですか?」

「そうですね。各個で独立しているようなものです。しかし、そこは商売も関係してくるので、流通を取り扱うために隣の国ぐらいまではどこの商業ギルドも伝手はありますね。まあ、国同士が険悪だったり戦争状態だと流通は止まりますけどね」


それはそうだろう。

売るとはいえ、敵の国に自国が得た物資を渡すわけがない。戦争が長引く要因になりかねないからね。


「と、長話はここまでにして、中に入りましょう」


そういうことで、7人で商業ギルドの中に足を踏みいれる。

中には一人二人商人らしき人が、カウンターの職員さんと何かを話しているだけで、他はガランとしている。

冒険者ギルドのように埃っぽくはない。

まあ、商人たちがそういう身なりに気を遣うのか、それとも人がいないからなのかは分からない。

内装は冒険者ギルドと同じような感じだ。

まあ、基本的なギルドの仕事は変わらないから、同じような作りになるんだろう。

違うといえば、飾ってあるツボや絵などは高そうだ。

冒険者ギルドは特にそういう物は飾ってないからね。

そんなふうに見学をしていると、ダザンさんが受付の人と話していると、奥からお爺さんが出てきた。


「これはこれは、ダザン殿」

「ゼイル殿。わざわざ申し訳ないです」

「いやいや、で、そちらの若者たちが例の?」

「ええ。こちらの3人が、マンナ様のお弟子様である、コイク様、ユウヤ様、ヒビキ様です。で、こちらが、ゼイル殿と言って商業ギルドのギルド長を務めておられます」」

「「「どうも」」」


紹介されたので、お互い挨拶をする。

まあ、予想通りギルド長だった。

冒険者ギルドのモッサギルド長と同じぐらいの年齢だろうか?

しかし、この町のご老人はしゃんとしているね。

職業柄といったところかな?

そんなことを考えていると、ゼイルギルド長は僕たちの方を見て不思議そうに首を傾げる。


「なるほど。で、後ろの3人は?」

「ああ、彼女たちは先ほど購入した奴隷ですね」

「ほう。こちらに連れてきたということは、彼女たちにも任せるつもりかな?」


そういって、僕たちを見てくるゼイルギルド長。


「うん。そうなんだ。ま、なにかあれば助けてやってね」

「お嬢ちゃん、商業ギルドがただで動くと……」

「あれ? 不帰の森の素材はいらないんだ。じゃ、仕方ないかな」

「わかった。彼女たちのことはできる限りフォローさせてもらおう」

「うん。助かるよ」


おおう。越郁君容赦ないね。

いきなり不帰の森の素材を引き合いにだすとは。


「で、ここに君たちがダザン殿の案内で来たということは、商業ギルドへの登録かな?」

「そうそう。あと、不帰の森の素材以外にも何か売れるものがないかとか、聞きにきたんだ」

「不帰の森の素材だけでも十分だと思うのだが……。まあ、いい。立ち話もなんだし、上の部屋で話そう」


そういうことで、商業ギルドの二階にある、ギルド長の部屋へと通される。

中は、綺麗にされていて、お城のガーナン辺境伯様の執務室に負けず劣らずといった感じだ。

流石商業ギルドといったところか。

冒険者ギルドのギルド長の部屋は言ったことないから比較はできないけど。

で、目に着くのが、机の上に積み上げられた紙。

冒険者ギルドの方でも依頼を探した時、常時依頼とか受付の人に見せてもらったが、質はそれほど良くないが茶色い紙に書れているのだ。

そう、紙がそれなりに普及しているみたいなのだ。

地球ではヨーロッパ地方に紙が一般的に普及したのは15世紀ぐらいだから中世が終わり近世に近いところだったはずなんだけど。


「なんだ、ヒビキ殿は紙が珍しいか?」

「ああ、いえ。冒険者ギルドでも見ましたが、紙が一般的に普及しているかと思いまして」

「ああ。まあ、契約とか大事なものは羊皮紙だ。だが、昔と違って、羽ペンで書いても引っかからないし、にじまない、改良がくわえられて、それで安価に生産もできるから、今はこっちに切り替わっている」

「なるほど、ちゃんと加工技術も研究されていて、紙を作っている場所も存在するわけですね」

「そうだ。で、何か気になったか?」

「いえ。先生から報告を書いておくようにといわれていたので、紙を自前で生産するのかと心配していましたが、その心配はなさそうで助かりました」


と、適当にごまかす。

紙の作り方が商売にならないかなと思っていたが、これだと先にある紙の生産者の仕事を奪うことになるからね。


「ほう? その言い方だと、ヒビキ殿は紙の作り方を知っているのか?」

「知っていますよ。でも、すでに生産者がいるのなら競合して問題が起こるでしょうし……」

「いや、自前で生産できるのなら、リーフロングの新しい名産になる。紙の生産自体追いついていないんだ。こっちに流れるのは質の悪い紙が多いからな」


ん? なんか変な流れになっているね。

ちょっと、修正をしよう。


「まあ、そういう話しも含めて、商業ギルドへの登録の件を先にお願いできますか?」

「ああ、すまない。ちょっと急ぎすぎたようだ。しかし、本当にすごいな紙の作り方もしっているのか、マンナ様のお弟子様は」

「自給自足だったからねー」


越郁君がそう答える。

まあ、自給自足の練習はもちろん実践もしたからできるけど、基本いつでも日本へ補給に行けるからそこまで意味はなかったけどね。


「で、登録だけど、なんかガーナンのおっちゃんやモッサのじいちゃんが色々手続きしたとか言ってたけど、どうなってるの?」

「モッサのジジイはいいとして、ガーナン辺境伯様をおっちゃん呼ばわりとは、なかなか肝が太いなコイク殿は。まあいい、登録の方はすでに受けつている。だが、かなり変則だ。領主と冒険者ギルド長からの連名の許可証で、どんな店をやるのかも詳しく話さず商売の許可だけ出した状態だからな」


そりゃー、ものすごい適当だね。

日本じゃありえない、中世ヨーロッパの領主権限とかが強いからできる芸当だね。


「で、どんな店を開くつもりだ? 店の場所は知っている。あそこなら、どんな店をやるにしてもひとまずは困らないだろう。だが、逆に何もしないなら無駄に広いだけだな」

「そこそこ、とりあえず、不帰の森の素材を扱うって話は聞いているよね?」

「ああ。モッサのジジイから、今度から頭を下げてやれば売らないこともないとかふざけたことを言ってたな」

「でもさ、結局商業ギルドに税金とか払わないといけないならあんまり意味がないんじゃない?」

「いや、そうでもない。まあ、そんなことをするつもりはないが、不帰の森の素材の売買に結構な額の税金をかければ、コイク殿たちが店で売るには割が合わなくなる。そうなれば、冒険者ギルドに売り渡した方がましということになり、不帰の森の素材は今まで以上に冒険者ギルドが握ることになる。それは避けたい」


なるほど。

だから、商売の許可をだしたのか。


「基本的に、商業ギルドとしては不帰の森の素材に関しては、税金をかけるつもりはない。いつも冒険者ギルドから仕入れる時は手間賃としてかなりふんだくられるからな。コイク殿たちが仕入れてきた素材をそのまま税金のことを考えず、それなりの額で売ってもらった方が、商業ギルドとしても助かるわけだ」


なるほど。結果的に安く仕入れられるってことか。


「無論。店で売らなくて、商業ギルドに素材を売ってくれても構わない。その方がこっちとしてはありがたいが、そんなことをすれば冒険者ギルドとぶつかるからな」

「でもさ、それだと、なんで冒険者の人たちは冒険者ギルドで素材売るの? こっちで売ったほうがもうかりそうだけど?」

「そうでもない。不帰の森の素材ならともかく、他の素材は商業ギルドの連中に安く買いたたかれるだろうな」

「ああ、そういうことか。なんか冒険者ギルドでそんな話聞いた気がする」

「こっちとしても、揉めたくはないからな。基本的に商業ギルドでの冒険者からの素材買取はしていない。だが、コイク殿たちが持っている不帰の森の素材ならうけつけよう」

「いいの?」

「モッサのジジイに威張り顔をされるのは悔しい」


なにか、深い因縁でもあるのかな?

ま、そこは後日でいいとしよう。


「でも、そうなると基本的に不帰の森の素材は冒険者ギルドか商業ギルドが卸先になって、店を構える意味がないですよね?」

「そうだ。ユウヤ殿のいう通りだ。正直、出店の許可は上からの命令でだしたが、あの広さの店に置くようなものはあるのか?」

「そこを聞きに来たんです。何が足りないとか、商品的にあったら助かるモノとかですね」

「ふむ。何か気持ちだけで店をやろうとしているのではないのだな。ちゃんと計画性があって結構だ。まあ、お三方の実力なら普通の冒険者でも食っていけるだろうが。と、すまないな。何を売ったらいいか。なかなか難しいなというか、周りに考慮するというのが不思議だ。なぜそんなことを聞く? 売るものがないわけではなさそうだが?」


そりゃそうだよね。

普通は売れるものは一個だけだろうから。


「うーん。簡単にいうとね。これなんだ」


僕がどう話したものかと悩んでいると、越郁君は迷わず、カバンから紙を取り出す。

所謂、500枚入りのコピー用紙だ。

日本ではワンコインで買えるぐらいのお手軽なものなのだが、この世界ではきっと……。


「なんだこれは?」

「ここを、こう破いてっと」


越郁君はコピー用紙の包装をびりびりと破り、中身を取り出して、ゼイルギルド長に無造作に渡す。


「ほい」

「ん? これは紙か?」

「そうだよ」

「これほど白い紙は見たこともない。書いてみても?」

「見ての通り沢山あるからいいよ」


そういわれてすぐに羽ペンを机から持ってきて紙に文字を書き込む。


「滲みもない。ペンの滑りもいい。そして何より白い。すごいな、この紙は!! しかも均一の大きさでこんなにある!!」

「で、これを格安で売っていいと思う?」

「……なるほどな。こんなものを売り出せば、今売っている紙の価値が暴落する。これは高級品としておいてほしい」

「でしょう?」

「しかし、これを粗雑に扱ったということから、これを簡単に手に入れられるのか?」

「ま、先生の所からだけどねー」

「なるほど。マンナ様の技術というわけか。それを聞き出すわけにもいかんな」

「そんな感じ、ある程度は供給できるけど、限界はあるって感じ。お金に変えて、先生にも送らないといけないから。まあ、大量に用意できるものあるけど、この紙みたいに、相場が崩壊するとまずいものってあるでしょう?」

「……道理で、ガーナン様やモッサのジジイが手厚くもてなすわけだ。わかった。そっちが売ろうと思っているものを見せてくれ。精査しよう」

「おー、助かるよ」


越郁君のおかげで、日本から持ち込んだ商品予定の物を商業ギルドの長といっしょに精査することになったが……。


「まだあるのか?」

「色々持ってきたらねー」

「流石に多すぎたね。数日に分けたほうがいいかもね」

「まあ、全部見せるとは思ってませんでしたし」

「なあ、コイク様。これってここでいいのか?」

「こら、ファオン。商品なんだら雑に扱わないの!!」

「あわわっ!?」

「アン殿。落ち着いて」


うーん。

にぎやかだね。







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