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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第20回活動報告:金持ちになる

金持ちになる




活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員




私たちは冒険者ギルドの仕事をする一連の流れということで、不帰の森にいるオークの死体を取ってくるという仕事を受注して達成しようということになった。

いやー、なんかずるい気もするけど、さっさと現金が手に入るのはいいよね。

ということで、受付のラナさんにこの依頼を受注することを頼む。


「じゃ、この依頼を受けまーす」

「はい。もう一度依頼の確認をさせていただきます。こちらの依頼は不帰の森にいるオークの肉を丸々一匹分取ってくるというものです。お間違いないでしょうか?」

「はい。間違いありません」

「では、ギルドカードの提示をお願いいたします」

「「「?」」」


ラナさんの言葉に3人で首を傾げる。

ギルドカード? なにそれ?


「あ、失礼いたしました。ギルドカードの発行がまだでしたね。少々お待ちください」


そういって、ラナさんは慌てて席を立ち、奥の部屋から話し声が聞こえてくる。


『ギルド長。コイク様たちのランクは4でよかったのですか?』

『ああ、まだカードを作っていなかったな。そうだ。ランク4で頼む』

『わかりました。特筆事項などは?』

『ガーナン辺境伯と私の両名からの実力評価じゃな。戦闘だけならランク6と、ただし他の経験が不足しておりランク4と』

『わかりました』


カードねぇ。

会話から察するに……。


「たぶん、免許証みたいなものだろうね」

「あ、せんぱいもそう思います?」

「うん。あと身分証明書にもなるんだろうね」

「定番ですね。でも、こういうのは顔写真とか取らないと偽造とかが出そうですけどね」


ゆーやのいう通り、ただの名前だけの身分証なんてねえ。


「そこらへんはちゃんと対応していると思うよ。だってそうじゃないと、すでにそれが横行して、問題になってギルドは潰れていると思うし」


まあ、そりゃそうか。

そんなことを話していると、ラナさんが変な道具を持って戻ってきた。

なんていうか、燭台の蝋燭刺す部分がやたらと鋭くなってようなものだ。


「お待たせしました。こちらの道具で指に少し傷をつけていただき、受け皿に落ちた血液をカードに染み込ませて、登録が完了します」


あー、なんかお約束の血液登録ってやつか。

ラノベではおなじみのネタだけど、結構不思議だよね。

簡単に言うとDNAを取ってカギにしているようなもんでしょ?

案外超文明でも昔にあったのかな?

同じような疑問をせんぱいも抱いたようで、ラナさんに質問をしている。


「これは血液を染み込ませると、何が起こるのかな?」

「あ、すみません。血液に含まれる魔力を認識して、その魔力の持ち主でしか表示ができなくなります。なので身分証としても使え、依頼の記載やギルドでお金を預かることもできます」

「はー、便利ななんだねー」

「はい。魔力の反応する特殊な素材で使っているもので、その作り方はギルド独自のモノです。まあ、複製する意味もないんですけどね。個人でしか使用できませんし、カードは紛失した場合、予備のカードから再発行ができますが、その予備も本人がいないとできませんからね」

「ふぅん。リトマス試験紙みたいなものか」


あー、アルカリ性とか酸性に着けると色が変わるやつか。


「お金などは共同で管理するカードとかはあるのかい?」

「はい。ございます。パーティーを組んでいる人たちが共同資産として別枠でカードを作つことはよくあります」


ふーん。

結構融通はきくんだ。


「……このお金を管理するシステムは冒険者ギルドだけが?」

「いいえ。商業ギルドはもちろん、ほかのギルドはもちろん、国もお金の管理はしております。流石にお金を冒険者ギルドが牛耳っているとなると、問題になりますから」

「じゃあ、他の冒険者ギルドからのお金の引き出しも可能なのかい?」

「はい。もちろんです。そのためのカードへの金額記載ができるのですから。そしてお預かりしたお金を他の同業者に貸し出すことによって、新人などの装備の新調や、他のギルドではそのギルドでの特権を受けられたりと有効利用させていただいてもおります。まあ、利子が付きますが返済できないような額は貸付しませんし、お金が引き出せなくなるということはありません」

「……つまり、この世界では地球で言う簡易的な金融、銀行のシステムができているわけか」

「はい?」

「いいや、なんでないよ。あると何かと便利そうだし、さっさと作ってもらおうか」


そういって、せんぱいは差し出された燭台の鋭いやつにためらいなく指を押し付けて、傷を作り、血を流す。

うん。

見ている限り痛そうだ。

幾ら訓練で血を流しているとはいえ、意図的に自分を傷つけるというのはちょっとためらいがある。


「越郁。こわいか?」

「あー、まあ大丈夫だよ」


私がなかなか手を出さないを見たゆーやが心配し始めたし、ここは覚悟を決めよう。

剣を体に突き立てられるよりはましのはずだ。

そして、ぷつっと、針を指に食い込ませる。


「……いたい」


あれだ、切れないもので指を切る感覚?

包丁でスパッとじゃなくて、こう厚紙とか、葉っぱでぞりぞり痛い思いをしながら切る感じ。

いたい。


「はいはい。治療するから指だせ」

「うん」


ゆーやに指を差し出すと、すぐにパクッと加えて血をなめとり、指を綺麗にしてから治療魔術をかけてくれる。

衛生面的には血を舐めとるっていうのはよろしくないんだけど、ここらへんじゃ清潔な布を探すほうが難易度高そうだしね。

私たちがもつ清潔な布をこの程度のことで使う理由もないし、ゆーやのなめなめ治療は私にとってご褒美なので問題なし。


「よし、傷は消えているな」

「ありがと、ゆーや」


うん。

刺し傷はちゃんと消えている。


「はぁー。流石マンナ様のお弟子様。回復魔術も使えるのですね。と、失礼しました。これをこうやってこちらのカードに垂らして……完成です」


なんか単純な気がするけど、記載されていた内容が消えていく。


「どうぞ持って魔力を流してみてください。記載内容に間違いがないかご確認ください」


ラナさんに言われてカードを持って魔力を流してみると、カードに書かれた内容が浮かび上がってくる。

へー、こんな感じになってるんだ。

冒険者ギルド身分証、一般冒険者、名前はコイクだけで、ランクは4。

預金残高はもちろんゼロ。

特別記載にリーフロング辺境伯とギルド長が実力を認めるという印がある。


「でもさ、これって記載いじられる心配とかないのかな?」

「そこは大丈夫です。お金を預けた引き出したは記録を取っていて、時間はかかりますがカードの記載された記録を照会をして不正がないかを調べます。そして、わかるかと思いますがカード自体に手を加えたりすると重罪、あるいは死罪になるのでご注意ください」

「なるほど。わかったよ」


まあ、当然か。

これを言い出すと、地球でも銀行員なら色々できるじゃないかって話になるし、信頼が大事だよね。


「さて、これでカードを手に入れたし、仕事、依頼は受けることができるんだよね?」


ああ、そういえばそんな話だったね。

すっかりカードを作っていて忘れてた。


「はい。ギルドカードの提示をお願いします」

「全員出すんですか?」

「はい。仕事に参加する全員でお願いします。パーティーを組んでていも個別で仕事することは多々ありますし、ギルドの評価も一人でやったのか複数でやったのかというのは大事なので」


尤もだね。

ということで、3人ともカードを渡して、オークの素材回収を依頼を受ける。

なんか数字を書いてハンコを押した。


「依頼は数字管理になります。詳細を書くのは大変ですからね」

「そうだね。で、依頼は完了しているんだけど、こういう素材の持ち込みの時とかはどうするんだい?」

「はい。あちらの素材買取りのところで確認になります。どうぞ」


そういわれて、私たちは素材買取りカウンターの方へ移動をする。

そこにはこう、筋骨隆々のいかにも強そうなおっちゃんが立っている。


「おう。お前さんたちがギルド長の言っていた3人だな。ドーザとサラを倒した腕前だ。いろいろと期待しているぞ。こういい肉とかあったら分けてくれ」

「もう、駄目ですよ。新人さんに催促しちゃ。サガンさん」

「ぬはは。ラナそういうな。俺の希望を聞いていれば上手い儲け素材の魔物とか教えてやれるしな。手数料だと思え」

「へー、なら不帰のオークの肉でいいかな?」

「おお、それなら文句なしだが、そんな上等なのがあるのか?」


いぶかしげにこちらを見るサガンさんだけど、その横にいるラナさんが依頼書を取り出す。


「サガンさん。依頼で書かれている素材の確認をお願いします」

「なるほど。仕事を受けた……って、さっき冒険者になったばかりだよな?」

「アイテムボックスがあるかね!!」

「都合よい依頼がありましたんで、依頼の受注から達成まで一連の流れを経験してみようかと思ったんですよ」

「なるほどな。いい心がけだ。そういうことなら、ものを見せてもらおうか?」

「ほーい」


とりあえず、依頼通り一体を出す。

買い取り窓口の奥には広い場所があってそこに素材とかを置くようになっている。


「ほう。見事なもんだな。首を落としたのか、しかも一撃か」

「えーと、解体とかできないんだけど、これって大丈夫かな?」

「解体は今回の依頼に含まれないから大丈夫だろう。まあ、解体が依頼内容に入っていてもこっちで解体する方が安定するしな。獲物はとってきたのに、解体でしくじって依頼をやり直しってのもあるからな。依頼での魔物の素材は安全の為に今回みたいに丸ごと持ってきて、専門の俺たちに任せる方がいい。依頼料にも含まれてるからな。二度手間はこっちも困るからな。あれだ、個人的に狩ってきたものは解体料金はもらうがな」

「なるほどねー」


幾ら素人が頑張っても、プロの剥ぎ取りより上等なわけないし。

そっちに任せた方がお得だよね。

そんなことを考えていると、サガンのおっちゃんはオークをよく見て触ったりしている。


「ふむ。依頼の素材としては文句なしだな。部位としては肉が欲しいだけだったから、十分だろう。ラナ依頼は完了だ」

「はい。わかりました。皆さんカードをお預かりしますね。少々お待ちください」


そういって、私たちのカードを預かったラナさんはカウンターの方へ戻っていく。


「あ、そういえばこの依頼の報酬みてなかった。いくらぐらいもらえるの?」

「えっと、たしか金貨10枚って……。あ」


せんぱいに話を振ったのだが、何かを思い出したように固まっている。


「先輩どうしたんですか?」

「なにか問題でもあった?」

「いや、僕たちはお金の価値をしらないから、金貨10枚といわれてもどのぐらいなのかよくわからない」

「「あ」」


そういえば、ここの貨幣の価値はさっぱりだ。

幸いというか不幸というか、町に来ていきなりお城直行だったしね。

買い物するどころか、換金する暇もなかった。


「なんだお前ら、金を知らないのか? いや、金自体は知っているみたいだが、何が買えるかとかが分からんみたいだな」

「……ええ。恥ずかしながら、今まで不帰の森にいたもので、貨幣というのは知っていますが、それがどんな種類があってどの程度のモノが買えるのかさっぱりわからないんです。よろしければ教えてくれませんか?」

「ああ、いいぞ。しっかり覚えてもらわないと、今後店を開くって話も聞いたし、不帰の森の素材を安売りされてはたまらん」

「じゃ、お礼にオーク上げるね」


私はそういって、もう一体オークを取り出しておっちゃんの前に置いた。


「もう一体持ってたのか」

「いや、あと100体近くあるね。半分はガーナンのおっちゃんに渡す約束」

「ひゃ、ひゃく!? な、なるほど、ギルド長が丁重に扱えって言ったのがよくわかる。流石はマンナ様の弟子だな」

「へへーん。と威張りたいけど、まったく私たちも先生には勝てないけどね」

「ま、肉は多少もらうが、オーク一体丸々はもらいすぎだな。適性価格で買い取る。そのついでに金もこまめにして見せてやろう」

「おー、ありがとう。おっちゃん」


おっちゃんが買い取り窓口の奥にある個室に鍵を開けてはいるのと同時に、ラナさんが入れ替わりに戻ってくる。


「あれ? オークが二体ありますね?」

「ああ、サガンのおっちゃんに上げた」

「はぁ、コイクさん。あんな冗談真に受けなくていいんですよ。ちゃんと仕事にあった対価はもらわないと」

「あ、いえ。サガンさんにお金の説明をしてもらうんですよ。そのために、オークの肉をお礼に渡して、残りの素材を報酬として受け取って、そのお金で説明してもらう話になっているんです」

「お金の説明?」

「ええ。僕たちは今まで森住まいでしたからね。いまラナさんが持ってきている金貨10枚といわれても何が買えるのかとかがさっぱりなんですよ」

「ああ、なるほど。すいません。私が気を使うべきでした」

「じゃ、サガンさんと一緒に説明お願いするよ。お礼はオークのお肉で」

「うーん。そういわれると断れませんね」


そんなことを話していると後ろからサガンさんが戻ってくる。


「ラナも俺と変わらんな」

「ち、違います。こ、これは私に依頼があったわけでして……」

「わかったわかった。それでこれが、一般的に使うお金だが」

「一般的には通貨といいます。種類は……」


そこからラナさんが説明しつつ、サガンさんがお金を並べてくれる。


基本的には10進法で通貨の価値、ランクが上がるみたいなのは日本と同じで助かる。


金貨:一般的に使われる通貨の中では一番高いもので、大体これで一月は人が一人生活できるぐらいのモノらしい。

サガンさん曰く、いい剣ぐらいは一本買える金額らしい。

ラナさん曰く、宿だと、安宿なら10日、食事つきとかいい宿なら5日分ぐらいとのこと。

よくわからん。

先輩曰く大体10万円ぐらいではないかといっていた。


銀貨:金貨の10分の1の額で、先輩のいう通りなら、これが日本でいう一万円札になる。

サガンさん曰く、これで最低の安物一つの武器は買えるそうな。

ラナさん曰く、銀貨1枚で一人暮らし一月自炊するなら食費ギリギリらしい。

まあ、一万円なら頑張れば、一月自炊はいけるかな?


銅貨:銀貨の10分の1の額。先輩のいう通りなら、日本でいう千円札。銅貨なら10円と思ってはいけない。

サガンさん曰く、矢一本、投げナイフ一本の価格。毎回思うけどなんで武器が基準なんだろう。

ラナさん曰く、お店や市場で銅貨1枚のモノは高め。服なら銅貨数枚が適正。まあ、千円の食材とか高いよね。服は納得の価格。いや、学生の私には高いけど。


鉄貨:銅貨の10分の1の額。先輩……めんどうだね、大体100円玉と同じぐらい。こっちでは銅より鉄の方が価値が安いみたい。

いや、たしか地球でも銅の方が価値が高かったっけ?まあいいや。

サガンさん曰く、ちょっとした酒が鉄貨数枚で飲めるらしい。今度は酒が基準か。

ラナさん曰く、この鉄貨一枚~五枚ぐらいで買える食材が基本的にはお買い得というか平均価格らしい。まあ、500円以上の食材は高いと思うよね。


石貨:鉄貨の10分の1の額。これがこの世界での最小単位の貨幣。日本で言う10円玉。

サガンさん曰く、これで買えるものは……ほぼないらしく、存在する意味はよく分からないらしい。

ラナさん曰く、これでお店による売っているもの安い高いが測りやすいから楽なそうな。あと、この小銭を溜めて貯蓄する人も多いとか。うん、なんか子供の小銭溜めるとか、そういうやつね。


「さて、まざっとこんなもんだな。金貨10枚ならかなりいい武具が買えるな」

「家賃とか、食費も含めて、まあ4か月5か月はいけますね」

「おお、それなりに大金じゃん」


つまり、100万円!!

というか、この金貨を管理局の方に持って行ったらどれぐらいの額で引き取ってくれるんだろう?

数枚とっておいて、先生に頼んでみようっと。

私がそんなことを考えていると、せんぱいは他に考えがあるのかさらに質問をしはじめた。


「なるほど。なら商店を開くにもお金が必要ですし、このオークはどれぐらい引き取ってもらえますか? 流石に全部はだめでしょう?」


ああ、そうか。

お店とか買うし、そこの金額ねん出しないといけないのか。

でも、100体のうち半分売っていいって言われてるし、えーと、最低金貨500枚!! つまり5000万円!!

金持ちじゃね!?


「いや、いけるぞ。生もの用のアイテムバッグはあるからな。売れない素材ならともかく、不帰のオークなら需要は高い。1000でも買い取るぞ。それぐらいの蓄えはギルドにはある」

「そうなんですか。ならよろしく頼みます」

「よし。わかった。と、言いたいが、一応依頼になるかどうか確認してもらうといい。素材だけ売ってもらってもいいが、それだと損だからな」

「ああ、そっか。ラナさん頼めますか?」

「はい。ギルド長に話して依頼で処理できないか確認してきます」


そういってラナさんが確認しに行った結果、不帰のオークは50匹分依頼で処理してもらって、こんど不帰の森の討伐依頼を成功させたらランク5になるという約束までついた。

なんでもオークをここまで倒せるならランク5になって貰たほうが便利がいいそうな。


が、そんなことよりも、一気に私たちは大金持ちになったわけだ!!

これで家も安心して借りられるし、学生の身分で家を持つことになるってわくわくするねー!!




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