第17回活動報告:冒険者になろう!!
冒険者になろう!!
活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員
やったね!!
ようやく、ラノベやゲームの冒頭みたいになってきた!!
と、冒険者ギルドを見たときはそう思った。
でも、なぜか入る前に、3人が微妙な顔をして私を見てた。
……女性でも冒険者になることはそこまで不思議なことじゃない。ってことに反応して私を見て微妙な顔になった。
まあ、言わんとすることはわかるよ?
私は見た目、女性って分類になってないんだよね?
カテゴリー子供ってやつだよね?
というか、知れっと私を無視して中に入りやがった!?
「おーい!! 3人ともこっちみろやー!! なにか言いたいことあるんだろー!!」
あーん? 私が子供って言いたいんだろう!?
一発殴ってやるから、こっちに来なさい!!
そう思いながら3人を追いかけてギルドの中に入ると、そこには私たちが異世界にきたという証拠が広がっていた。
今までは、森の中で訓練や、魔物は見たけど、まあ精一杯だったし、この町に来てからも、亜人とかいうケモミミの人たちを見ただけで、中世ヨーロッパという装いなだけで、あまり異世界に来たという実感はそこまでなかった。
いや、喜んでたけど。あれだ。海外旅行のノリ。
だが、冒険者ギルドの中は違った。
まさにファンタジー!!
剣と魔法の世界って感じだった。
カウンターに、たぶん討伐した魔物の部位を持って行ってたり、大きい獲物を奥の部屋に運んでたり、剣の手入れをしていたりと、見どころ満載だ。
しかも、いかついおっさんだけでなく、ダザンさんのいうように女性もそれなりにいる。
残念ながら、ビキニアーマーという、素敵装備はつけていないけど、鎧とかは体に合わせて作るから、スタイルの善し悪しが見てすぐわかる。ぐへへへ……。
そんな感じで女性冒険者さんたちを見ていると、頭部に衝撃が走る。
べシン。
「あいてっ!?」
「なにやってるんだよ越郁。冒険者になるんじゃなくて、冒険者にセクハラしに来たのかお前は」
「どっちもだよ!!」
ゆーやのお嫁さん探しも兼ねてるんだからね!! 私のおっぱい枕も兼ねる美女か美少女を!!
「堂々というなよ」
はぁーとため息をつくゆーや。
いや、ゆーやにこそ、こういうスケベ魂がいると思うんだけどな。
ゆーやの好みも考慮したいしー。
あ、ゆーやの一番は私だからロリ系か。
うーん、流石に私のような魅惑の妖精ボディはいないなー。
しかし、私としてはロリ2に先輩1のスタンダードだとバランスというか、見てくれも悪いし、こう豊満ボディを1人欲しいんだよな。
なんつーか、全種類そろえたいじゃん?
「とりあえず、受付に行きましょう」
「越郁君、物色は後でもできるから、今はちゃんとついていこう」
「はーい」
ま、先輩のいう通り、まずは冒険者にならなくちゃ、勧誘もクソもないからね。
お金も稼がないといけないし、持ってきた塩とか胡椒を売るのは、情報を集めてからじゃないと目を付けられそうだし、まずは冒険者という手に職を得て、ここでの生活基盤を築かないと。
俺TUEEEでの注目やお金稼ぎはいいけど、日本からの物資で注目やお金を得るのは変なトラブル呼び込みそうだからね。
そんなことを考えている間に、ダザンさんが受付のおねーさんに話しかけていた。
「すみません。後ろの3人の冒険者登録をしたいのですが……」
「はい。では……」
受付はちゃんと一席一席で仕切られていて、なんというか銀行とかそんな感じに思える。
こういうところは似通うんだなー。
まあ、金銭の受け渡しがあるんだから当然か。
ということは、何か印鑑とか、拇印とか押さないといけないのかな?
いや、こういうところは、こう血を垂らして、スゲーカードが出てくるんじゃないかな?
「え? マンナ様の?」
「ああ、そうだ。少なくとも、ガーナン様や私たちは本物だと思っている」
あれ?
なんか話が変な方向に行ってない?
「ちょ、ちょっとお待ちください。ギルド長に一度話を通します」
「ああ、それがいいと思う。彼女たちは一般でいいとはいっているんだがな」
「そ、そういうわけには……。とりあえず、少々お待ちを」
そういって、受付のおねーさんは奥の方へ行ってしまった。
だが、私は話を詳しく聞いてなかったのよく分からないので、ゆーやに聞いてみることにする。
「ねぇ、ゆーや。一体何がどうなったの?」
「いや、僕もよくわからない。先輩わかります?」
「確か、誰かの紹介がありますかって言って、ダザンさんが先生の名前を出したら血相を変えた感じだね」
「どういうこと?」
「さあ? ダザンさんいったいどうしたんですか? 僕たちは一般だとなにか問題でも?」
「問題ではないと思います。おそらくは実力が飛びぬけているのが問題かと」
「そういうことですか」
なぜかそれで納得したのは、先輩だけで私とゆーやはさっぱり分からない。
「どういうことですか?」
「えーっと、簡単に言うと、有能な人たちにはそれなりの役職をさっさと与えたいんだよ。冒険者ギルドでいうと、一番下っ端からじゃなくて、それなりの所から初めてもらって仕事をしてもらった方がいいと思ってるんだろう。そうですよね、ダザンさん?」
「おそらくそうです」
「えー? でも、別に腕っぷしだけで仕事って解決できるもんじゃないでしょう? ちゃんと礼儀とか、手順が必要な仕事もあるんじゃない?」
「ええ。そういうのも存在しますので、皆さんのいうことはよくわかるのですが……」
「そういうわけにもいかんのだよ」
ダザンさんの声を遮って別方向から声が入ってくる。
その方向から、受付の奥からおねーさんに案内されるように、おじいさんがこちらに近づいてきていた。
「ギルド長。説明をお願いします。私としてはお弟子様たちのいう通り、経験を一からしっかり積むべきだと思うのですが?」
「普通ならな。しかし、彼らの素性はガーナン辺境伯様にダザン君が保証しておるし、師匠があのマンナ様ならばなおさらだ。今まで厳しかった不帰の森関係の仕事を任せられる。あそこで採れるものはみな貴重だ」
「だから、ランクを最初から上げて、不帰の森の仕事を受けさせたいと? しかし、他の経験が不足していることや、他の冒険者の不満は?」
「経験に関しては、そういう経験が必要な仕事は除外する。他の冒険者の不満は不帰の森の仕事をこなすためといえば大人しくなるじゃろう。あそこに手を出せる冒険者は一握りしかおらんし、腕がなければ屍になるようなところじゃからな」
「しかし、彼らが仕事を受けてくれるとは思いませんぞ? わざわざ不帰の森から出てきたのは、こちらの国を知るためです。そのような元の場所に戻るような仕事を……」
「それは聞いている。ちゃんとメリットも用意する。まずは難しい仕事を頼むのじゃからそこから得る資金は多い。さらに希望する情報は問題のない限りこちらから提供する。無論、冒険者としてのサポートも厚くする」
ふーん。
私たちを美味しく使いたいってわけだね。
まあ、当然か。
ちゃんとそれ相応の見返りは用意してるみたいだし、見合っているかはガーナンのおっちゃんやダザンさんに聞けば判断ができるかな?
いやいや、この手の口車に乗せられてやるのも癪だね。
ダザンさんとこのおじいさんが合わせて話しているって可能性もあるし、ちょっと吹っ掛けるか。
「そこはまあいいとして、おじいさん。私たちは先生みたいに腕を見せたわけじゃないんだけど、そこらへんはどうするの? 弱いかもよ?」
「ふむ。君がマンナ様のお弟子さんたちのまとめ役かね?」
「そうそう。この姿だからね。舐められると思って、ガーナンのおっちゃん、ダザンさんに頼んだんだよ」
「なるほど。確かに君の言う事も間違ってはいない。腕がどのくらい立つのかもしっかり見せてもらうからその心配はない。流石に無条件でこんな無理を押しとおそうとは思わんよ」
「じゃ、いいよー。といいたいけど、結局はそっちの都合だよね? メリットとか言ってるけど、それって基本的に用意して当然のモノだよね? こっちの希望とか聞くつもりはある?」
私が笑顔でいうと、おじいさんは少し固まったあと、すぐにこちらを見て笑って言う。
「……交渉事はなかなか上手いではないか」
「さてねー。欲張りなだけだよ。で、どうする? 僕たちの希望を聞く気はあるかな?」
「聞くのは構わんが、全部が全部叶えられるわけではないぞ?」
「そりゃそうだろうねー。ま、そこまで難しいものでもないよー。ちょっとした商会でも立ち上げたくてさ」
「商会? 店でも出すのか?」
「そうそう。ガーナンのおっちゃんや、ギルド長のおじいさんに情報もらうのもいいけど、店を開けば他の所の情報も自然と入ってくるでしょう」
「まあ、そうだな。しかし、店を開くとしても商品がないのであれば持たないぞ?」
「なにいってるんだよー。収入がそこまでなくても維持できるような仕事を回してくれるんでしょう? ああ、あと税金関係はガーナンのおっちゃんと話さないとね」
まあ、私たちのことを狩ってくれてるみたいだから税金免除で優先的に品物を渡すってところで手をうってもらえると思う。
「つまりだ。物件と、商業ギルドへの紹介状が欲しいわけか」
「何の手続きしたらいいかわかんないから、そこら辺全部サポートよろしく。あ、お金はこっちで稼ぐし、今すぐってわけじゃないから。で、どうかな? これが私たちの希望だけど? ダザンさんはガーナンのおっちゃんは許可してくれると思う?」
「そうですね。特に問題はないかと。不帰の森の品を販売するという事になるでしょうから、逆にありがいですな。商業ギルドを通さなくていい分、楽でしょうからな」
そうそう。
その商業ギルドを挟むと、色々持っていかれるだろうし、そういう利点もそっちにはあるんだよー?
あと、店を構えるってことで拠点もゲットできるし、店番のカワイ子ちゃんを雇わないとね!!
「……なるほど。そういう利点があるか、商業ギルドとは提携を組んでいるが、不帰の森の素材をそちらで直接購入できるわけか。商業ギルドに預ければいらぬ手順も多いからな」
「まあ、その分恨み買いそうだけどね。そこら辺のフォローも欲しいなー。ちゃんと商業ギルドにも回すことは回すけど」
「……お嬢ちゃんは一人でもやっていけそうじゃな」
「それは、私たちの要求は呑んでくれるってことかな?」
「……ああ。まあ、ちゃんと仕事ができる腕があればな。それを見せてもらおう。こっちだ」
「はーい。じゃ、行こうかゆーや、先輩」
「そうだな」
「うん。思ったよりも話がスムーズに進んでいいね」
そういって、ギルド長のおじいさんについていく。
と、しかし昨日の夜に3人で話し合った内容だけど思いのほか上手く行った。
先生の弟子ってことで特別扱いをしてくるなら、それを利用した仕事を頼まれるのも当然あるだろうということで、なら見返りに拠点を貰おうという話になったのだ。
もう当初の予定のこっそりというのは里中先生の暴れっぷりで不可能だし、利用できるのなら利用してしまえって方針に変わったんだ。
まあ、これから始まる腕試しが上手くいかないとダメなんだけどね。
「ここで、お弟子さんたちの実力を見せてもらおう」
ギルド長のおじいさんに案内されたのはやっぱりというか、訓練場みたいなところだった。
奥には、こう強そうなおっさんや、おねえさんがいた。
「具体的には、まずは魔術を……」
「待ってくれ、ギルド長」
説明をし始めたんだけど、奥のおねえさんが待ったをかけてきた。
「どうした? サラ?」
サラと呼ばれたお姉さんは、いかにも高そうな鎧と、剣を装備していて、騎士って感じの人だった。
残念ながら、エロビキニアーマーではなく、普通のハーフプレイトアーマーだけど。
顔は美人。いやーファンタジー色ってやつ? 髪が緑色でやんの。
それで肩ぐらいまで髪の毛を伸ばして切りそろえてる感じ。
と、そのお姉さんがどことなく不満顔でこちらを見ながら、ギルド長のおじい……面倒だね。ギルド長でOK。に話しかける。
「今回の仕事はマンナ様のお弟子様の実力を測れということだったと思うのですが?」
「そうだ。間違いない」
「後ろの2人はまだいいとして、この子は……」
そう私を見ながら、サラさんは口ごもる。
どう見ても見た目はプリチーな幼女だもんね。
今でも映画とか乗り物は子供料金でOKというか、勝手にされる始末。
もう、断るのも面倒だしそれで行ってる。
だからこそ、今後ゆーやには立派に女性として見られる相手がいるわけだったんだよね。
私がロリなんで、ゆーやが将来通報されそうだし、そこを補ってくれる相棒が欲しかったわけさ。
と、そこはいいか。
まあ、今回みたいに色々難色を示されるケースもあるわけだ。
見た目子供だから。
このサラさんはまじめな人なんだろうな。
冒険者は危険な仕事が多いし、私みたいな子供が働くのは、普通は難色を示すよね。
「えーっと、一応、私も後ろの2人と同じぐらいの年齢なんだ」
「え? もしかして、ドワーフ族かい?」
「いや、普通に人間だけど」
ドワーフっているんかい!?
やったね。ゆーや、永遠のロリもいるよ!!
ハーレムがはかどるね!!
「ふむ。体格に恵まれなかったのか。しかし、いかに魔術が秀でているとは言え、体力がなければ冒険者はやっていけない。ギルド長そこらへんはどう考えているのですか?」
「だから、そこらへんも含めて腕試しするんだよ。腕試しの内容を最後まで聞きなさい」
「あ、失礼しました」
「まあ、君の気持もわかるがね。だから、しっかり腕試しをして判断するんだよ。と、すまないね。えーっと……」
「越郁です。うしろの男がゆーやで、女が響」
「そうか。ギルド長のモッサだ。改めて謝らせてもらうよ。コイク君。サラ君には悪気はないんだ。ただね。彼女自身、今では凄腕のランク6だが、ここまで上り詰めるに苦労したんだ。だからこその忠告かな」
「大丈夫ですよ。悪意がなかったのはわかりますから。ありがとうございますサラさん」
「あ、いや。こっちが焦ってしまってすまない」
「で、モッサさん。ランク6ってどれぐらいすごいのかよくわかんないんだけど?」
「ああ、その説明もしていなかったな。冒険者ギルドでは冒険者の実力を測るために、ランクという制度を用いている。1から10まであり、一番なりたての冒険はランク1、最高位がランク10というわけじゃな」
「んー、ランク6のすごさがよくわかんない。真ん中ぐらいじゃないの?」
「そうだな。ランク6以上の7、8、9、10は冒険者ギルドはもちろん町や国から認められるような大仕事を成功させた者だけがなれるランクなのだよ」
「あー、そんな大仕事がそうそうあるわけないし、実質最高位ってこと?」
「そうだな。サラ君はリーフロングの冒険者ギルドではトップクラスの冒険者チームのリーダーの一人じゃ。無論、もう一人の腕試しの試験管であるドーザも同じランク6で、不帰の森の探索許可を得ておる稀有な冒険者よ」
そういわれて、奥のいたおっさんがこっちにくる。
まあ、なんというか、わかりやすいぐらいのパワーファイターって感じ。
大きな大剣と大盾にフルプレートアーマー、所謂、全身鎧でいかつい。
が、兜の中からのぞかせる顔は愛嬌のある感じだ。
「よお。なんか、挨拶がおくれたが俺はドーザだ。サラと同じようなことは言いたくないが、あんまり向いているとは思えんし、厳しくいくぞ。悪く思うなよ?」
「ん。それぐらいの方がやりがいがあるからいいよ。ドーザのおっさんも気を使ってくれてありがとね」
だが、ドーザのおっさんは私の返事を聞いた後、膝を落として、両手をついた。
なんで?
「……なあ、サラ。俺とお前はそこまで年が変わらないのに、なんで俺はおっさんと呼ばれるんだろうな」
「……そのひげとか、行動ですね。もうちょっと、若々しい姿をすればいいのに」
あ、地雷踏んだ?
だって、顔おひげもさもさで、おっさんにしか見えないんだもん!!
というかサラさんとほぼ変わらんの!?
サラさんどう見ても、20代前半ぐらいだよ?
「あー、えっと、失礼かもしれないけど、サラさんちなみに年齢は?」
「今年で18です」
うきゃー!?
このスタイルと落ち着きようで18!?
というか、何この格差!?
私があと約3年したらこの姿に追いつけるってか!?
と、憤慨するのは後にして、次はドーザのお……にいさんに話を聞こう。
「で、ドーザさんは?」
「……20」
「「「ええっーーー!?」」」
と、私だけでなく、ギルド全員が驚いていた。
皆も知らなかったんかい!?
なんか、俺TUEEEする前に全部持っていかれた気がする……。