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3話 今の常識は昔では非常識

「ふぅ、ご馳走様でした」


「モグモグ、兄さん食べるの早いね」


「こんな生活してるからな、早めに食べておかないと消化もしてくれねぇからな」


畑を耕している、と言っても野菜類は何も育てられていない育てられている物は精々ジャガイモ、人参、他少しだけだった、まさに昔戦争をしていた時代と同じだ


「・・・そう、だね・・・」


「あぁ・・・畑を耕して、まぁ体を動かしてるだけまだましだよな、食物繊維なんて全くねぇからずっと便秘気味だしな」


この状況で体すらも動かしていなかったらと思うと気が気じゃない、ただでさえストレス、他野菜が足りていない今のこの状況、下手したら便が詰まって死ぬ可能性まである


「モグモグ、私もべ、便秘気味」


「・・・まぁ、男と違って女だからな、余計そうだろ」


便が出るのは二日に一回、食べている量が少ないのもそうだがやはり食物繊維を摂取していないのが一番だ


「ゴクゴク、水のおかげでもあるかもしれないね」


「・・・そう言えば水って便秘に良いんだったな」


と言いたい所だが今は水を綺麗にする機械すらも使われていない、つまり今飲んでいる水は菌まみれということ、体にめちゃくちゃ悪いだろう、全くここまで不便になるとは思いもしなかったな


「うん、・・・でも、やっぱり三年前よりは全然おいしくもないけどね」


「・・・だろうな」


「ご馳走様でした」


こんな非日常な生活になっても前の平和な世界と同じで毎日やる事は同じだ、だから妹と話す内容も毎日ほぼ同じ、でも今ではそれすらも心地が良い状況


「・・・よし、明日も早いからな早く寝るぞ」


「うん」


俺はそう言い食器を片付けに行った、と言っても食器を洗う係りらしき人がいる、その人に洗ってもらうんだがな


「んじゃ、今日もがんばれな」


「頑張ってね」


「はい!ありがとうございます!兄さん妹さん!」


その食器を洗う人とは俺よりも多分年下の女、年齢は多分14歳ぐらい名前は知らない、と言うより教えてもらえない理由は知らないがでもなんだかんだ友達の様な親しい関係でいる


「おい!話してる暇があったらとっととやりやがれクソガキ!!」


「っ!!す、すみません!!」


俺達と会話している事がばれたのか後ろから蹴りを入れられ驚いている、普通だったら申し訳なく思うがこんな汚れた世界なのか俺達は見慣れている、そしてそんな見慣れている自分に怖いとも思う



「はぁ~疲れたな」


「ふぁ~ぁ・・・うん・・・」


そしてその場所から約5キロ離れた宿谷(仮)らしき所で俺達は寝ている、つまり寝床だ今は季節が夏の為薄い毛布で助かっているが冬は厳しい状況、凍死する人も現れる事がある


「・・・ねぇ、お兄ちゃん」


「!・・・なんだ?」


「・・・いい?」


「・・・いいよ」


朝、昼、夜、と計三回食事と同じでキスをしている、理由としては安らぎを得るため、精神を落ち着かせるため、そして先程言った通りストレス発散の為人間の三大欲求の一つだ



「・・・ふぅ、兄さん・・・」


「っ・・・おい、それはやめろ」


「・・・うん、ごめん」


「・・・許す」


妹はキスをする為いつも俺の布団に入り乗っかってくる、そしてキスをした後、俺は一応年齢的にも青少年、思春期真っただ中、あれが反応してしまう、そしてそれを触ってこようとする、でもそれはダメだとこんな生きていくのにも必死なこの世の中に新たな命は要らないと思っている、ただ犠牲者が増えるだけだから


「・・・話しは変わるんだけどさ兄さん」


「?ん?」


「…もし、仮に、仮にさ今のこの世界がまた、平和な世界に戻ったらさ・・・」


「…あぁ」


「っ・・・わ、私とけ、結婚して・・・?」


妹、こいつは正真正銘俺の妹、義理の妹でもなく、誰かの妹でもなく、家族、たった一人の血のつながりがある妹、つまり何が言いたいのかそれは


「…俺達、兄妹だぞ?」


「…わかってる、でも私兄さんが好き、大好き、愛してるの」


「…兄妹は結婚できねぇって規律があったはずだが・・・?」


「・・・こんな終わった世界に規律なんてないよ?」


「平和な世界が来たら規律が作られと思うけどな?」


「・・・例えもし平和な世界が来ても人口はとても少ないよ?つまり兄妹で子供を作っても全然問題ないと思うよ?寧ろ歓迎されると思う」


・・・確かに、その事については同意だその結婚してはいけないや子供を作ってはいけないや、それはあくまで平和だったからこその規律、こんな非常事態でそんな規律は作られるとは思わない、寧ろ人口が少ない今逆に歓迎される場合もある


「家族内で作った子供は血が濃すぎて駄目だとか言ってなかったか?」


「っ…兄さんはそんなに私とこ、子作りしたくないの・・・?」


「…別にそんな事は言ってないだろ、お前は十分魅力的だよお前と子共作りたいと思ってるよ」


そんな三年前までは絶対思っても口に出してはいけない、と言うよりありえなかったが今となっては気持ち悪さも差恥も何もない、これが本心、本性なんだ


「!!じゃ、じゃあ!」


「…でも、それとは違うだろ?」


「…え?」


「俺達の勝手な欲求で、自分達の勝手な娯楽の為に子供、作れないだろ?」


「!そ、それは・・・」


「勿論妹がそんな事を思ってるとは思ってねぇよ、それに今回のこの災害、と言うより怪物が出てきたのもすべて人間が好き勝手やった結果がこれなんだ、自分達の欲求だけで簡単に命は作っちゃだめだと俺は思ってる、それにお前の体の負担も尋常じゃねぇだろうしな」


そう、例え平和な世界がまた訪れたとしても医療や食料が発達しているとは限らない、ただでさえ食糧不足なのに子供なんて生めるわけがない、栄養失調で子供どころか本人すらも危うい、そんな危ない事、兄が、俺が許すわけがない


「・・・ごめんなさい、兄さん私頭湧いてた」


「…こんな事で励ましになるとは思えねえけど動物ってのは生命の危機を感じると子を残すって言うよな?」


「え、う、うん」


「つまりお前は人間として、動物として本能でそう感じ取ったんだ、仕方がねぇって事だよ、それに寂しいってのもあると思うしな」


「!!お兄ちゃん・・・!!」


「っ!お、おい!一日三回って決めて!」


こんなどうしようもない事に納得してくれた妹に俺は感謝した、でもそれと同時に三年前、平和な世界だった人口密度が異常に多かったあの時代で何故小孫を残そうとしたのか俺は不思議に思った















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