2話 歴史が変わろうと人間の本質は変わらない
「・・・俺達何してんだろうな・・・」
「・・・うん」
妹に誘われついいつもの様にやってしまった後、後悔のような、罪悪感が沸いてくる
「っま、まぁ最後までやってないわけだし、大丈夫、だろ・・・」
「!う、うん、そう、だね!」
最後までやらなかったからセーフだと俺は思った、それに対し妹も頷いた
「・・・にしても、お前いつも普通の時は兄さんって呼ぶのにこういう時はお兄ちゃんなんだよな・・・」
妹は普段、何も甘えてこないときは兄さん、だが甘えてきたリ先程のようにキスをせがんでくる時はお兄ちゃん、と変わったヤツ
「う、うん・・・なんか、ね兄さんよりお兄ちゃんの方がいいやすいし、お兄ちゃんの方が親近感というか、・・・なんかそっちの方がいいの!」
「・・・そういうもんなのか」
妹は説明するのが面倒になったのかやけくそに言ってきた、にしても親近感って兄妹なんだから親近感もなにもない気がするんだが、と思っていた時に
「おい!仕事の時間だぞ!」
「!はい」
「!は、はい!」
この人は俺達が働いている場所の上司らしき人、3年前世界が崩壊したため、食糧問題が起きている、海外から食料を輸入できるわけでもない、店があるわけでもない、だから俺達は畑を耕す仕事をしている、と言うより無理やりやらされている、そうしないと生きていけないからだ
「ふっ!!ふっ!!」
「ふっ!ふっ!」
「おい!!腰に力が入ってねぇぞ!!なんだその腰は腰!!」
世界が崩壊し、日常が消えた今皆は変わった、どういうふうに変わったのか、それは他人に対し非常に冷たくなった、みんな自分の事だけを考え生きている、その為溜まったストレスを俺達、他人にぶつけている
「っは、はい、すみません」
「ったく!おい!そこの女もだ!!」
「っす、すみません・・・」
俺達はこの上司らしき人に毎日毎日蹴られている、蹴られるたび俺達はストレスが溜まる、ストレスの原因はこれだけでもなく食料の問題もあった、俺達は今まで平和な暮らしをし腹いっぱい飯を食えていた、でも今は腹八分も食べられていない、そのおかげで毎日カリカリしている
「ったく、さっさとやっとけよ」
上司は仕事はしないわ手伝いもしない、それだけならまだ三年前もあった事、そしてそのストレスのはけ口は俺達だけでもなく、他の人達にもそうしているその為誰かしらキレては互いに殺し合いが始まる
「・・・はぁ、妹大丈夫か?」
「う、うん兄さんこそ大丈夫・・・?」
「・・・大丈夫は大丈夫だがすっげえストレス溜まって胃に穴が開きそうだ、胸糞悪ぃ」
俺達兄妹のストレス発散、それは畑を耕す鍬だ、鍬で土を叩きつけストレス発散している、こんなんでストレス発散できるわけないと思うが結構できている、それともう一つ、妹とのキス、変な話だと思うがこれもかなりストレス発散、と言うより安らぎが与えられる
「ふっふっ!」
「・・・ねぇ、兄さん」
「っあ?なんだ?」
「・・・仕事終わったら、今日も、いい・・・?」
「・・・あぁ、いいよ」
この事については妹自身も思っている、俺とのキスで安らぎを覚え精神を落ち着かせてくれる、つまり薬みたいなもんだ、娯楽ともいえるかもしれない
「ほら、これが今日の夜飯だ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
仕事を終えた俺達はパン、水を貰う
「明日もちゃんと働いてもらうからな」
「はい」
「・・・はい」
この今の世の中でこの上司はまだましな方だった、他の者達を見ると随分と酷い有様だ
「おらっ!!ちゃんとやれや!!」
「ひっぃぃぃ!!」
「す、すみません!!」
他の上司らしき人達はみな自分の部下を思いっきり殴ったり蹴ったりとひどい扱いをしている
「あ?てめぇ何様だ?あ?」
「!す、すみません!!」
「女のくせに調子こいたことしてんじゃねぇぞ!!おらっ!!」
「っいたっ!?」
「!!妻に手を出さないでください!!」
「・・・てめぇも俺に口を出すか・・・」
「!!っすみません・・・」
三年前、腐った世の中だったが今はもっと酷い、今は規律がないため何をしようが勝手な話になっている
「・・・酷いね」
「・・・あぁ、あんな事したってもうあんな平和な世の中なんて戻ってこないのにな」
勿論の事だがそんな所を俺達は見て見ぬふり、三年前なら警察に通報したり他に手助けをしてもらうとかするが今はそんな自衛組織は何も存在しない、他人も信用できない、だから俺達は見て見ぬふり下手したら自分達が殺されるからだ
「・・・あの時、私達って凄い幸せだったんだよね・・・特に意識してなかったらから幸せだと思ってなかったけど・・・」
「モグモグ、あぁ俺達人間は本当バカな生き物だよ、幸せな日常にどっぷりつかって好き放題した結果がこの有様だ、哀れな生き物だよ」
上から目線で言っているがこの事については俺達にも言える事、自分達こそ平和の中にどっぷりつかっていた一番の生き物だ
「・・・あの頃はよく不倫とか浮気だとかテレビでやってたけど凄く平和、だったんだよね」
「ゴクゴク、ふぅ、だろうな今なんで不倫も浮気もクソもねぇからな、生きるだけで精一杯、と言うか不倫も浮気もクソだろうが」
俺はそう言いながら妹にツッコミを入れた、理由としてはすっげえ暗い雰囲気になってるから
「・・・ははっ、そう言えばそうだね、みんなよく不倫とか浮気とか出来てたよね他人の気持ちなんて考えずに」
「あぁ、本当自分勝手だよな、今のこの生きてる連中と変わんねぇぐらい自己勝手だ」
そう言いながらも俺はなんとなく前とあんまり変わってないんだなと周りを見ながら安心した、暴行、暴力、それが日常茶飯事に起きている事については除外するが