お金は大事だ☆Yo!
よろしくお願いします。
ロクサーヌファミリーに聞いていた物件仲介商人(不動産屋)に幾つか紹介してもらい住む家を借りたアハト。
月に銀貨2枚の家賃。こちらや向こうの交易品を門を使って運ぶだけでかなりの金額が稼げるアハトとしては安い値段である。
さて、突然だがここでお金について少々説明したいと思う。
アハトの住むセリアム王国の通貨呼称は基本Seniである。ただし、上流階級の者達や公式な取引などでは、畏まってSeniamuと言う場合もある。
貨幣の種類は高額順で、白金貨、小白金貨、金貨、小金貨、銀貨、小銀貨、銅貨、半銅貨、小銅貨の9つである。日本の生活を基準に貨幣の価値を円で表すと、
白金貨→500万 小白金貨→200万
金貨→50万 小金貨→20万
銀貨→5万 小銀貨→2万
銅貨→5千 半銅貨→1千
小銅貨→100円
くらいになり1セニは約10円である。例えば金貨1枚だと5万セニになる。
王都などの発展した都市では金貨1枚で4、5人の家族が余裕で2ヶ月生活出来る。
しかし、日本との交易では貨幣価値が大きく変わる。通貨とは経済力、軍事力などの国の力の付加価値でレートが決まる。高水準文化の日本と中世レベルの異世界とでは為替レートは日本側に有利が当然で、日本側は貨幣に含まれる金銀銅の含有率プラス多めな手数料で設定している。さらに日本側は白金貨と銅貨での取り引きはしていない。白金貨は金の他にミスリルやオリハルコンが少量使われている。これは偽造防止の魔法を使う為と高額な鉱物であるミスリルやオリハルコンを使う事により貨幣価値を上げる為である。しかし日本にしてみれば混ぜ合わせた鉱物の塊の硬貨よりも別々に貰った方が便利なのである。また銅貨は、鉱物としての価値や金額が細かくなるので取り引きをしていない。そんな訳で日本との為替レートは次の通りである。
金貨1枚→10万円
小金貨1枚→2万5千円
銀貨1枚→5千円
小銀貨1枚→1千円
ボッタクリに見えるがセリアム王国としては自国に門が有り、セリアム王国を通さなければ品が買えない独占貿易の嬉しい状況なので為替レートについては基本的に問題は無いのである。
日本から持って来た荷物を魔法の袋から出して荷解きや準備をするアハト。充電式の大型携帯バッテリーをセットして、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、TV、などの家電も設置していく。
異世界の情緒ゼロで現代日本人の部屋の様になった快適空間にアハトは『ウン、ウン』と満足気である。いくら『異世界、素敵大好き〜』であっても不便なものは不便、事実は曲げようが無い。『現代日本人ナメんな!』である。(ちなみにアハトは後日、キッチン、トイレも大改装しました。)
さて拠点も出来たとばかりにアハトは出掛ける。公園通りの屋台で軽く腹を満たして目的の場所に向かう・・そう、お約束とも言うべき冒険者ギルドに!!
裏町通りを抜けそのまま表町通りに入り、中央通りにあたる黄金街道まで進めば大きな十字路の交差点がある。その角の1つに在る大きな建物がディザイアシティー冒険者ギルドである。午後の大鐘1つ(午後2時)過ぎにギルドに着いたアハトは早速入り口に向かう。
以前ディザイアシティーに来た際にロイに街を案内して貰い、ついでにギルド見学はしていたアハト。とは言え入り口の辺りから中を見回した程度だが・・・・『だって、しょうが無いじゃん!怖かったんだもん‼︎』アハト談である。
ガラスが上部にだけ取り付けられた大きめのドアを開けて入る。微妙な時間のせいか広いギルドのホールには十数人程しか人はいない。逆にギルドスタッフの方が多いくらいだ。
ロイから聞いた話だとホールの真ん中辺りに在る掲示板がベテランや上級者向けらしく、壁際に在るのが下級者向けの依頼らしい。どうやら『弱え〜ヤツは端っこ行ってろ!』的な感じらしい。
アハトは、まずはホール全体を見渡してから上級者向けの掲示板の方へと向かう。何やらギルドスタッフから注目されている気がしてから気が付いた。
『あ!俺、昭和チンピラスタイルだった。』と、このスタイルに忌避感が薄くなってきているアハト。
某、人型決戦兵器のパイロットの様に『逃げちゃ駄目だ!×3』と開き直って上級者向けの依頼書を眺めながらゆっくりと受付けへと歩いていく。受付けを見渡し『ケモミミは無いか〜』と思いながら1番近い受付嬢に
「・・あの〜、初めてなんで登録したいんですが〜・・」
メッチャ普通に話しかけるアハトはやっぱり日本人なのである。
「ハイ。初回登録ですね?他の商業ギルドや魔法ギルドなどには登録していますか?」
とショートカットで小粋な美人のOL風お姉さんが対応してくれる。
「いえ、してないです。」
「それでしたら1番か2番の窓口で対応しますので、そちらの方へと回ってください。」
役所的な対応だった!
この世界、案外キチンとしてんだなぁ〜などと思いながら1番窓口に回る事にする。
1番窓口の受付嬢は若いコで多分18歳くらい?かな。可愛いけど美人の委員長みたいな感じだねっ!そのコが俺に気付いて声をかけられる前に
「他のギルド登録はしてません、初回登録お願いします。」
言葉のキャッチボールは不要とばかりに端的に話す俺。お〜いキミ!口が少し開いてるよー。
「・・初回登録ですね、それではこちらの書類の氏名の部分だけ記入してください。もJi・・」
「字はかけます。ペン貸してください。」
ククククク、また被してやったゼっ! ど〜も委員長タイプのコを見るとイジワルしたくなるんだよねー。『ナニ、こいつ!』って顔してる、一瞬眉間に皺が寄ったの、俺は見てたからネ!
「それでは、幾つか質問をするのでお答えください。」と委員長ちゃんが言い質問が始まった。
まあ質問は、今は何処に住んでいるか、魔法は使えるか、メインの武器は何か、初級以上の計算は出来るか、などだった。で、平べったい楕円の水晶みたいなのに触れて、『これで登録は完了です。カードが出来るまでの間に説明を聞きますか?』と聞いてきた。もちろん即答で
「いえ、結構です!」
・・・会話終了!
「・・・・・・・」「・・・・・・・・」
・・・待つのもツレーな(汗)
結局、5分くらいで冒険者カードが出来てきた。え?その間?もちろん無言だった。しかもカウンターから逃げなかった☆Yo!
「では登録料は2千セニになります。」
澄ましているけど、『ようやく終わった』感が出てるよ、キミィ〜。お楽しみはこれからだよ!ククククク
「・・最初に登録料の事、聞いて無いけど?・・・まあ、いいや・・」
と言って金貨(5万セニ)を"ピシャン " とカウンターに置いてやったゼ! ホレホレ!さっさと釣り寄越しナ!
『うっ』て感じでサイドの引き出しから釣りを出して
「以上で登録は終わりです、ありがとうございました。」
あ〜あっ!やっちゃったね〜、いくら早く終わらせたいからって『何か質問はありますか?』って聞かないとダメでしょ〜。隣の受付嬢も『あっ』って顔してるよ!さて、とりあえずは・・
「・・あの〜、依頼の事で聞きたいんですが・・・」
うわー!モロに顔に出しやがったよこの委員長ちゃん!さっさと帰れ的な感じで!!
「依頼でしたら、壁際に在るボードを見てGランクの依頼を受けてください。」
ハイッ!ミス2つ目〜。『どんな質問か?』を聞かないとマズイよね〜⁉︎それに『依頼の事で』であって、『依頼を受ける』とか『依頼の受け方』とは俺は一言も言って無いからね!
・・・さて!"機は熟した " って感じでソロソロ始めますかぁ〜!!
俺は座って居た椅子が倒れる様に立ち上がり、音が響く様に手のひらでカウンターを叩いた。そして大きな声で叫んだ。
「オイッ!このギルドじゃ、依頼を出すコトが出来ねぇーのかァ?・・それとも何か?まだ依頼内容も聞いてもねーのに、俺の依頼はGランクだとでも言うのかぁ?ア"ア"ぁん?」
お読み頂きありがとうございます。