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異世界 Ⅷ Ⅸ Ⅲ (マフィア) 仁義なき異世界LIFE !  作者: hikozaemon
現代編 愚者の仕事
19/22

裏切りの曲

よろしくお願いします

予定通りにバーズギルドで期限の無い討伐系や採取の依頼を受け、旧街道に入るアハト一行。2日程魔物を狩っては宿に帰るという行動し、3日目には山に入りバーズからの消息を消した・・・




ファリアム公国とギノ王国の国境にもなっている高い山々。その麓から少し離れたところに、セリアム王国に源流が有るカラナ大河が流れていて、その山々と大河の間に1本の道が通っている。


人の背程有る草に色々な形をした大小の岩。木々は覆い茂り陽の光は木々によって遮られ、人々によって踏み固められた土の道。そんな環境が悪い薄暗い道を、山側の方に3キロ程離れて監視している人物達がいる。

先発した集団の監視担当の女魔術師。後発集団担当の騎士崩れの男。そして道に仕掛けた、アハトから貰った向こう側の監視グッズやエルフ特有の精霊魔法を使い情報を確認する女舎弟。

この3人はアハト達から離れ先行して監視を行っている。確認が取れ次第アハト達と合流して全員で話し合いで決まった場所で仕掛ける事になっている。


女魔術師本人の妖艶な雰囲気は変わら無い。しかし、ローブを始め服装は深緑色の物に変えられ香水もしていない。騎士崩れの男もそうだ。チェーンメイルの上に鎧を着ているが両方とも黒色の物に変えられ、顔はフェイスペイントで黒く塗られている。


女舎弟は、エルフが好んでよく着る森の妖精をイメージした様な緑色の服装をしている。ただし、多少の露出がある普通の物とは少し違い全身を覆うタイプになっていて色も濃い。

さすがにゴル◯服は汚れるうえに、別の理由からもこの服装にしているようだ。・・本人は凄く未練がありそうだったが・・・・

この3人がここまでしているのには、もちろん理由がある。

的は候補とは言え勇者のタマゴ達である。一般の人間より魔力や身体能力が高くスキルなども有り厄介な存在だ。覚醒前とは言えどんなチートで察知されるかわかったもんじゃない。ゆえに皆慎重になっているのである。




時間が過ぎ、あと1、2時間ほどで陽が落ちようとしているその場所に1つの集団が近ずいて来る。

3人は慎重に気配を消して自然と同化する ーーーーーー


先頭は冒険者で男女3人づつの6人のパーティーのようだ。『なかなか良いパーティーだ。B、いや、実力はAに近いBといったところか・・』騎士崩れの男は油断なくそのパーティーを見ながら思う。


その後ろからは、4人の騎士に護られ3人(・・)の勇者候補達。そして2台の荷馬車を守る騎士2人。さらにその後ろからは30名程の集団がいる。こちらは、いかにも品の良い馬車が5台、従者や御者も身綺麗な服装をしていて、護衛の騎士達は過美な装飾をした実用性のなさそうな鎧を身に付け、ハデさだけの武器を所持している。全体の進行速度あまり早くは無い。


その集団を見つめる3人は『『『こいつ等じゃ無い』』』と思いつつも最終確認をする為に慎重に近づく。


集団まで、あと500メートルに迫った所で3人は息を潜めて様子を伺う事にした。



勇者候補の一団が少し進んだ所でその進行が止まり、勇者候補の護衛と思われる騎士の中で『隊長か?』と思われる壮年の男が大きな声で叫んだ。


「これより半刻程、休息を致す!」


その言葉により冒険者や、勇者候補を守る護衛騎士達のピリピリとした空気が和らぐ。


逆にその言葉に緊張を高めたのは監視している女舎弟達3人であった。


『気付かれたッ?』『さっきの言葉は、こちらに攻撃をする合図か?』『・・・・』

と自然に武器に手が伸びる。が、弛緩した空気に武器から手を離し監視を再開させる。


冒険者達は6人で輪を作り座って休んでいる。高ランクの冒険者らしく休んでいても油断無く周りに気を配っているようだ。


護衛騎士達は2人づつ休むようだ。勇者候補に着いている護衛騎士は、勇者候補達と何やら話しを始めいている。すると、品の良い馬車から降りてきた貴族らしい初老の男と、こちらも貴族と思われる若い男2人が勇者候補の所に合流して話しを始めている。


何やら勇者候補の内の2人の少女にオーバーな仕草をしながら話している2人の若い貴族。

乾いた笑いと笑顔で少女達は対応している。


残りの勇者候補は黒髪の少女。

その少女に貴族の初老の男が欲望の顔を隠しもせず話しかけるが、頭を下げ移動されてしまう。貴族の男は『フン!』と鼻息荒く馬車に戻って行った。


壮年の貴族に頭を下げ、長い黒髪を揺らしながら歩いている勇者候補の少女は美しく真面目で優しそうな顔をしていた。その少女が集団から山の方に、ほんの少し離れてスマホを取り出し操作を始めると


曲が流れ出した


その曲は悲しい曲の筈なのに、特に日本人には海外の曲なのに、なぜか心が奮い起つ調べ。


勇者候補、冒険者、騎士達も話しを止め聞こえてきた曲に耳を傾ける。



2、3分程で音楽を止めて、若い貴族に絡まれている少女達の所に向かう黒髪の少女。

その顔は潜んでいる3人には確認する事が出来なかった。



集団から距離を取り山裾辺りまで戻って来た3人。


「・・的は決まったナ!」と騎士崩れの男


口の端を上げ笑顔を作る女魔術師。


女舎弟は向こう側の通信器具を使いアハトに連絡をする。


「・・・ハイ、そうです。サインが有りました。・・・・・・・・・ええ、アニキが言った通り流れました。・・鎮魂歌(レクイエム)が・・」









お読み頂きありがとうございます

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