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異世界 Ⅷ Ⅸ Ⅲ (マフィア) 仁義なき異世界LIFE !  作者: hikozaemon
現代編 愚者の仕事
18/22

アウトローに笑いは必要か?

よろしくお願いします。


現代編です。

【これはアハト達がマーシーズBARに集まった後の仕事の話です、愚者の集まりの続編になります】


アハト達のターゲットはセリアム王国の隣国、ファリアム公国の勇者候補達である。国の事を少し説明すると、ファリアム公国とセリアム王国は遠い縁戚関係に有る。200年ほど前にセリアム王国国王の弟が小部族ばかりにのこの地に入り統一をし公国を立ち上げるに至る。互いに皇族や臣下の婚姻による結びつきが進み現在では "近所に住む親戚の叔父ちゃん" 状態と言っていいだろう。


また、この大陸の事も説明すると、このクラレンス大陸は銃身の長い銃の側面を右側から見る感じで存在する。

引き金の上部辺りからグリップまでの全体の約3分の1がクラセウス帝国である。

引き金の辺りがドリーブ皇国。そしてクラセウスとドリーブの隣にこの大陸を分断する様にセリアム王国がある。セリアムの隣国は北からハイキネン公国、ファリアム公国、ギノ王国、トロス共和国、である。

ハイキネンとファリアムの国境は半分ほどが高い山々によって遮られている。その高い山々を源流とする大河がセリアムを通りトロスへと流れる。ギノとトロスの国境はこの大河である。

ギノとファリアムの国境線になっている山々はセリアムまで続き、その山々とトロスの国境である大河の間に西に細く伸びるギノの国土がセリアムと繋がっている。





ファリアム公国の勇者候補は推定30人ほど。その中である(・・)条件を満たした者達が9人いる。その9人に対して桜市側より会談の申し込みがあった。ファリアム公国としては今迄直接の会談がセリアム王国との外交問題等の所為で出来なかった事もあり今回は勇者候補を送る事となった。3人は自国に置き、残り6人の内3人はファリアムから直接セリアムの王都に行き王や貴族との謁見をする事となり、残り3人はギノ王国を訪問したのち旧街道を通りセリアムの王都で直接向かった3人と合流し王都から桜市に向かう街道上の貴族達を訪問しながら桜市に向かう事になっている。これはファリアムから公式にセリアムへと発表されせセリアム側も承認し歓待の準備を始めているそうだ。

しかし真実は、ファリアムとしては出来れば桜市と直接取引をしたいのである。なにせ、せっかくの美味しい話もセリアムを通すと旨味も半減するどころか話事態を奪われてしまうのである。ファリアムはこの期に桜市とのパイプを作ろうと本気になっていた。故に自国に置いているハズの3人の勇者候補をギノ王国訪問団に紛れ込ませセリアム王国のバーズの町で密かに別れて桜市に直接行かせる秘密行動を取ろうとしていた。

その情報を掴んでいたアハト達にしてみれば彼等一団が桜市に入る前、さらに言えばセリアム王国に入って面倒な事になる前のギノ領内で密やかに終わらせたいのである。それにはターゲットが国境を越える寸前で仕掛けるのが一番良い。


そんな訳でアハト達はディザイアシティーを出て5日程でギノとの国境が1番近いバーズの町に来ていた。

運河と大河を渡る為に、それぞれ検問に1日づつ時間を取られたが順調に来ていると言っていいだろう。


バーズの町で2組に分かれて宿を取り、アハト、女舎弟、騎士崩れの男の泊まる宿の一室に集まった面々。アハトが皆を見ながら口を開く。


「道中話したとうり、(マト)は後、4、5日すれば国境近くに現れる。ギノ領内の峠道で殺る。」


「・・で、前の集団と後ろの集団、どっちなんだい?」と腕を組みタバコを吸いながら確認してくる女魔術師。


「前の集団がある場所を通る時にサインが有れば後ろ、無ければ・・」


「そいつ等って訳かい〜。・・身内(ファリアム国内)の裏切りってところかねぇ〜」タイミング良く言葉を被せてくる女魔術師。煙を吐きながら、何処か遠くを見ている。


「・・ここからは一旦、王都に向かう旧道方面にバーズギルドの依頼を利用して向かう。」

アハトは疑問には答えず話を続けるが一旦、言葉を切る。


「・・そして、山に入り足跡(証拠)を消してギノの" ある場所 " へ行く・・という事ですよね?」

不良シスターの言葉に『正解。』と短く答えるアハト、そして嬉しそうに微笑する不良シスター。


「ギルドでは臨時パーティー届け、出すのか?」瞑目していた騎士崩れの男が片目だけ開いて聞く。


アハト達は皆、冒険者ギルドの資格(ライセンス)は持っているが基本、1匹狼のアウトローだ。仕事(・・)をするのに便利であればパーティーを組むという程度である。まるで、車を所有して無いのにガソリンスタンド会社のクレジットカードを持ってる人の様な感じだろうか。


「・・・・ウ〜ン、どうする?」それまでハキハキ答えていたアハトにしては、珍しく悩んでいるようだ、逆に皆に聞いている。


「・・このメンバーで冒険者の仕事だったら、AランクどころかSランク位なら超ラクショウ〜だけどさぁ〜、ギルド行くとマーク(尾行)付きそうで面倒くさくない?アニキぃ〜?」女舎弟が『ガチ面倒クセぇぇぇー‼︎』と言わんばかりの渋い顔をしている。


「・・それに、裏の懸賞金狙いの、ハイエナ(ハンター)達も出てきそう・・・面倒はイヤ。・・」

目は普段と同じで糸目だが、口が波打っている女剣士。


「まあ、俺達の値段(懸賞金)もまた(・・)上がったからなぁ〜」苦笑しながら騎士崩れの男が言う。


「えっ?マジかよッ!?」と少しだけ目を大きく開き、おもわず素の言葉が出る不良シスター。


「・・この前、仮面をした口数が少ない紳士(顔を隠した暗殺者で深い情報は無い)と夜中のデート(深夜に襲われ返り討ち)と洒落込んでねぇ〜。その時に貰ったお土産(暗殺者が所持していた物)がこれさァ〜」

まるでジェントルマンな貴族に舞踏会に誘われ、素敵なプレゼントを貰ったかのように話す女魔術師。続けて、

「アタシもまだ詳しく見てないんだよねぇ〜」と言いながら微笑を浮かべ魔法のバッグから1枚の紙を取り出す。


不良シスターと女舎弟が " ガバッ " と素早く身を寄せ、女魔術師から"お土産"を受け取り紙を見る。2人の後ろからは女剣士が『どれどれ〜』といった感じで覗いている。


その紙には似顔絵は無く、名とその隣に数字が書いてあった。それを不良シスターが読み上げる。


「・・・、騎士崩れの男は生きたままだと、金500(金貨500枚)、首だけなら金200(金貨200枚)ですね〜」


地は引っ込み聖職者モードに戻った不良シスター。


「・・え〜っと、オレは首なら金80で〜、なるべく傷付けずに捕えると金200かぁ〜。チョッと安い・・んっ?アレッ?・・追記事項に・・えっ!・・・おっ、オぉ、オレの持ってるゴル◯服一式が、きッ、金300ダとぉォォォォ〜‼︎‼︎」←(後半、メッチャ プルプルしてます。)


クスクス、クスクス「良かったじゃないかい?服だけでも認められてさぁ〜」と爆笑を堪えて頬を若干引き攣らせながら女魔術師が言えば、


「ギャッハ、ハ、ハ、ハハハー。・・ゴっ、ゴ、ゴル◯服が、金300‼︎ ハ、腹イテぇぇぇ〜!」


またまた地が出た不良シスターである。


「・・大丈夫。マニアが欲しいだけだと思う。・・でも、女舎弟がゴル◯ヘアーにしたら倍率ドン!さらに倍‼︎・・ガンバッ!」←(メチャ、イイ笑顔でサムズアップ中の女剣士)


「・・・眉毛も忘れずにナっ‼︎」←(普段、散々イジられてるのでココぞとばかり悪ノリしてみる騎士崩れの男)


「・・モミアゲも・・ネっ!」←(またもや女剣士。Wサムズアップ中。)


「ブッハハハハハ! お、女舎弟が、ゴ、ゴル◯ヘアー&ゴル◯モミアゲに眉‼︎‼︎ にッ、似合う!似合うヨッ‼︎ そ、そんでもって、『俺の後ろに立つな!』とか言っちゃってさ、ヒ、ヒャハハハ、ハさ、叫びてぇぇ〜、みんなに教えてぇぇぇぇー‼︎」


腹を抱えて脚をバタバタさせながら転げ回っていてさらに地が、というより本性が出てきている不良シスターであった。


「ひっ、ヒデエぇー‼︎、皆んなしてっ!・・うぅ〜・・・ア、アニキィ〜」←(涙目です。メッチャ涙目です。)


涙目ダッシュでアハトに抱き着く女舎弟。左手を背中に回し、右手で女舎弟の頭を撫でるアハト。

この時、女舎弟は涙目のうえアハトの胸に顔を埋めていたのでアハトの顔を見ていない。

アハトは我慢していた。それはもうスンゲぇ〜我慢していた!このメンバーで女舎弟以外にゴル◯の事を詳しく知っているのはアハトである。ゆえに、かなりツボに入っていた。しかし、過去に向こう側でも女性に苦労した経験を持つアハトは "グッ"と我慢していた。我慢し過ぎて、牛乳飲んだら鼻から噴き出させることが出来るくらい変な顔になっていたが・・・


笑いも少しはおさまり、懸賞金が多少は気になっていたアハトは、女舎弟の頭を撫でながら騎士崩れの男に目配せをして顎をしゃくる。

騎士崩れの男が続きはとばかりに読み出す。


「・・女魔術師は捕縛も首も俺と一緒だナ。」


「まあ〜、そんなモンだろうねぇ〜。・・しっかし、女のアタシと捕縛も一緒ってアンタ、どんだけオイタ(・・・)したんだい?」


『フッ』と苦笑いをして、何か思い出している感じの騎士崩れの男。女魔術師もそれ以上は何も突っ込まない。続けて騎士崩れの男が言う。


「・・・おッ! 女剣士は凄いゾ‼︎ 首が500で捕縛が1000だゾ‼︎」


「へぇ〜、大したもんじゃないかい。・・ココ最近じゃあ10本の指に入るんじゃないかい?極悪人だねぇ〜!」新しいタバコに火を付けながら女魔術師が言う。


「・・・照れる・・。」(ポッ)

頬を染め頭を掻く女剣士。極悪人と言われたのに本気で照れている様だ。そして照れを隠すように女剣士が続きを促す。


「・・アッくんは?・・」


「・・・アハトは・・・・・値が付いて無い!」


「ハアぁッ?」「・・ゑ?・」


笑いから復帰した不良シスターも女剣士も思わず驚きの声を上げる。


「・・値は付いて無いが、特記事項にこう書いてある。…『時価』っと‼︎」


「「「時価 !?」」」


つい、アハトもリピートしてしまう。・・・アハトは目が点になりながら思う。

『俺は寿司屋のネタじゃねぇぇぇええ‼︎』『俺はマグロかッ?それとも江戸前でヘイ、ラッシャイ!でクルクル回るお寿司の女体盛りなのかッ⁉︎』←(只今、脳内が非常に混乱してマス。)


可笑しそうにクスクスと笑う女魔術師。悲しみの向こう側からバットエンドになる前に無事帰還した女舎弟は、アハトに抱きついたまま顔を上げ『アニキなら何でもアリだなぁ』とアハトを見つめるその顔は、泣いていた為 化粧は取れ 目は充血し まぶたは腫れ 鼻水もチョッぴり出ていて、お嫁に行くのが5年は遅れる顔であったとか・・・


(後日、その事を騎士崩れの男から指摘された女舎弟はマジ切れして、騎士崩れの男のお宝専用の魔法の袋を中身諸共消滅させたらしい。お宝を消滅させられた騎士崩れの男は、三日三晩慟哭し今まで自分を慰めてくれたお宝の葬儀をすべく教会に向かい、神父やシスター達に笑顔で追い返されたとか・・・合掌!)




不良シスターと女剣士が騎士崩れの男から紙を渡され2人で見直す。


「本当に時価って書いてありますね・・」聖職者モード復活の不良シスター。


「・・で,も・・」と女剣士。続きの言葉は不良シスターが紡ぐ。2人の声は少しだけ震えていた。


「・・・さらに、こうも,書いて,あります・・ね。『生きて捕縛する必要無し。よって確実に殺害し首のみを証とする。』『クラレンス暦425年(今年)4月現在、金貨10,000枚と帝国準男爵位を用意する』 『目標の死が確定するまで本件は永久に有効である』と・・・・」








お読み頂きありがとうございます。

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