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異世界 Ⅷ Ⅸ Ⅲ (マフィア) 仁義なき異世界LIFE !  作者: hikozaemon
黒歴史、チンピラ時代
17/22

俺の明日はどこにある?

よろしくお願いします



バルザと盃を交わした翌日の午後。日本でいえば午後3時のティータイムの時間帯にアハトの姿は花街の酒場通りより南側の、裏町にある12Kの集まる潰れた酒場の近くにあった。

その場所を見張るのに丁度良い食堂と酒場を兼ねる店があり、そこでは変装したロイやロクサーヌが雇ったゴロツキが窓際から12Kを監視していた。その店の前を通る際にアハトは窓際に居るロイに目線を送る、するとロイは1度だけ深く頷いた。アハトは頷き返すとそのままロイ達が居る店を通り過ぎ12Kの元へと向かった。


ゆっくりと歩いて目的の場所に進むアハト。潰れた酒場の扉に近付いた時点で絶技である魔力ゼロ空間を展開して、扉を開ける時には室内を魔力50%にする。

アハトが中に入った時には12Kの面々は、テーブルに俯し小刻みに震える者や床に倒れて苦しそうにする者、四つん這いになり汗を流しながらゼエゼエと息をする者など、とてもじゃ無いが抵抗など出来そうな者は1人もいない状況だ。アハトはテーブルに俯す赤髪の大柄な男に近付き、


「テメーがリーダーのズーブだな?」


と聞きながら両足に銃弾を撃ち込む。ズーブと呼ばれた男は『グガぁッー!』と叫びながらテーブルと椅子から落ちて床に転がる。そして魔力不足と銃で撃たれた痛みに耐えながらなんとか声を出す。


「・だ・・ダレ、だ・・?」


「オウ、俺はアハトってぇ(モン)だ。テメー等が色々やってくれた礼をしに来たワ!」


そう言ってアハトは魔力不足で抵抗の出来ない12Kのリーダー以外の奴等に近付いては弾を撃ち込んでいく。頭と心臓に2発づつ、ただの機械の様に淡々と作業をする。絞り出す様な悲鳴も許しを請う掠れた言葉も全て無視して沈黙のままに。

5回カートリッジを替えた作業もリーダー以外の最後の1人を始末して終わる。ズーブはしきりに何かを言っていたが魔力不足のせいか声は小さく聞き取れない。無論、耳を寄せて聞くなんて無駄な事はしない。アハトは誘拐用の特別な魔法の袋を出しズーブをその中に入れ、12Kのアジトでもあった潰れた酒場から外に出る。

扉を開け外に出ると、店の付近にはロイや雇われたゴロツキが中が見え難くする様に荷馬車や自分達で通行人の目から塞いでいた。アハトは短く『終わった』と言いロイが『後は任せろ』と言って2人は別れる。アハトはまだやる(・・)事があるのだ・・・・






◆◆◆◆◆◆






2日後、バルザと共に以前アハトがホルフに呼び出されたレストランに向かった。このレストランは帝国料理を売りにしていて以外と人気がある。そして時間は丁度昼時、本来なら店内はそれなりに混んでいる筈が今は4組の客とコンラートとその舎弟が1人しかいない。その4組の客は壁側に陣取っており、1つのテーブルに1人が座り護衛が後ろに控えるという形を取っている4組の客で、とてもカタギ(一般人)には見えない。

今はコンラートのもう1人の舎弟がホルフを呼びに行っているので、アハトとバルザは中央のテーブルに座り待っている。やがてバルザがコンラートや壁側の客達に話しかける。


「知ってると思うが、こいつはアハトだ。俺が是非にと頼んで、外兄弟ではあるが5分の盃を交わした兄弟分だ、皆よろしく頼むぜ!」


壁側の客、コルバート、バルバロッサ、ファシーノ、グレゴリ、の4つのファミリーの幹部達は兄弟盃の情報は知らなかったらしく多少の動揺がみられた。なにせこの大陸で『人斬りバルザ』と言えばアウトローなら誰でも知ってるビッグネームだ。しかもロクサーヌファミリーの先代の盃以外は一切の盃を断って来た男である。そんなバルザが外兄弟であっても盃を交わした事実は重い、しかも5分である。バルザに貸しや義理のあるアウトローやファミリーは相当数いる。それ等がバルザの願いを聞いて自分達と敵対する事を考えると恐ろしい話しである。

4つのファミリーの幹部達は、なぜ2日前にバルザが以前より自分達が進言していた互助会の設立を認め、これから起こる事の承認を取った真意がなんとなく解った。バルザは今を考えロクサーヌの1人娘を守る為に我々の要求を聞くという肉を切らして、アルバッケンのホルフという骨を断ちに来たのだと。そして今後の大きなトラブルは桜市という巨大な後ろ盾を持つアハトを引き入れる事により対処しようとしていると、たとえロクサーヌファミリーが巨大な後ろ盾の所為で潰れたとしてもシャルロット・ロクサーヌが残る為に。

ある程度理解した4つのファミリーの幹部達は今後の方針の変更を考えている。互助会が出来た事によりディザイアシティーへの本格的進出の足掛かりは出来たが、大手ファミリーの力を背景に力押しや抗争がアハトの存在により直ぐには出来なくなった。ゆえに幹部達はホルフが来るまで今後の方針を考える事になった。


コンラートの舎弟が迎えに出てから1時間程経ちようやくホルフがやって来た。ホルフは店に入るなり機嫌が悪い声で怒鳴る。


「昼間からなんだ!コッチはまだ寝てたんだぞッ!!・・それに俺の子分共が居なくなっちまった事にテメー等が関係してんじゃねぇ・・・・・」


「そっちの事情なんざぁ知らねぇんだよ!俺はアルバッケンファミリーにロクサーヌファミリーとして話しがあって来た。まずは俺の5分の兄弟でもあるアハトの話しを聞いてもらう。」


ホルフの言葉に被せ有無を言わさぬ迫力あるバルザの言葉にホルフは小さく『・・5分の兄弟?』と呟くのが精一杯であった。その呟きにコンラートがホルフに耳打ちをする。アハトはホルフやコンラート、その舎弟達4人を限定で魔力ゼロ空間を20%で発動し威圧スキルも開放して話し出す。


「・・ホルフさんよ〜、アンタが使ってる12Kの奴等が色々やらかしてくれてなぁ、それで聞きゃあアンタに命令されたって奴等は言ってんだワ。一体ど〜なってんだよ?オ"ッ?」


「・・そんなの俺は知らね〜な〜。確かに12Kの奴等に仕事はくれてやってるみてぇだけど、俺の若い者がやってる事だからな〜、俺はそんな奴等にあった事もねえよ!」


語るに落ちてるなと思いながらアハトは拉致してきた12Kのリーダーであるズーブを特別製の魔法の袋から床に出す。1回切れているズーブへの魔力ゼロ空間の絶技を40%でもう一度掛け背中を踏みつける様に蹴りを入れてホルフに言う。


「じゃあ、コイツが嘘言ってアンタの名前を出したって言うんだナ?・・だったらコッチで落とし前付けてイイんだよなぁ?」


「・・・あっ、ああ!俺はそんなヤツ知らね〜ぜ・・」


「ホ、ホルフさんアンタに命令されてやったんだ!お、お願い、たす、助けてくれ!」


ズーブは魔力不足で動きずらい身体をホルフの方になんとか向けてホルフの顔を見ながら懸命に助けを求める。


「こう言ってんだけどよぉ〜、本当に知らね〜のかぁ?」


「し、知らね〜って言ってんだろ!それとも俺が嘘い・・・・・・」


「じゃあ!・・コッチでヤラせてもらうワ。」


アハトはホルフの言葉に被せるように言うと椅子から立ち上がりズーブの側まで寄った。ズーブの後ろから髪を掴み立たせて、さらに髪を引っ張り顎下から首の全体が見える様に頭を後ろに倒す。そして懐からスラリとドスを抜き刃を横にして喉仏の上に添えるとゆっくり力強く切り裂いていった。切り裂かれているズーブの手足はビクビクと痙攣し傷口からは血が勢いよく噴き出して辺りを血に濡らす。血が逆流したのか口と鼻からも血は流れ顔も血に染まっていた、見開かれた光の無い目をしながら・・・。

切り裂いたアハトは持っていた血塗れのドスを近くのテーブルの上に刺し、直ぐさま首の切り口に手を突っ込んだ。店内には肉を強く触る『グチュリ』という音が何度も響き切り裂いた傷口から舌を引っ張り出し、それをホルフを始めこの店に居る全てに見せる様にしてアハトは言う。自身も返り血を浴び赤く染まりながら・・・そう、アハトがしたのはコロンビアネクタイ。過去のコロンビア政争で頻繁に行われ、また現在でもコロンビア系マフィアで使われている報復と警告の見せしめ的な残虐な殺し方だ。


「・・俺の大事なモノに手を出したり、俺に手ぇ出すとこうなるぜ・・・・・・・・・・・・適当な事を言う舌はこうだってナ!ホルフさんよぉどうだ?シャレが効いてるダロ?」


ホルフにも血が飛んだのか顔や服が少々血に染まっている。アハトが切り裂き出したあたりから歯がガチガチとぶつかり身体はガタガタと震えているホルフ。ここでバルザが懐から1つの便箋を出し、便箋の中から3枚の紙を出す。そして震えるホルフを見てコイツに言ってもしょうがないとばかりにコンラートの方を向き口を開く。


「昨日の時点で『アンダーコンファレンス』と言う互助会がディザイアシティーに出来た。参加ファミリーは、ロクサーヌ、コルバート、バルバロッサ、ファシーノ、グレゴリの5つだ。そして『アンダーコンファレンス』の決議決定第1号がアルバッケンのディザイアシティー参入への不認可だ。これはノースコサトラやアルバッケン本部にも魔法通信で先日に通達してある。」


3枚の紙、アンダーコンファレンスの参加証、アルバッケン不認可の決議書、アルバッケンへの抗議及び賠償請求書をコンラートに渡しバルザは更に言い募る。


「通達魔法が使える魔術師を呼んであるから本部に確認を取ってみろ。全て事実だと解る筈だ」


そう言って他の幹部達が座るテーブルへと目を向ける。するとグレゴリのテーブル付近にいた男がこちらに来て、木の箱の表面に鏡が貼ってある様な物をテーブルの上に置き小さく呪文を呟き出した。


コンラートは鏡部分を触り何かを念じる、すると鏡に人の顔が映り出した。ときにブレたりノイズが入ったりして画像は悪いが音声はしっかりしてる昭和のテレビという感じだろう。鏡に映った人物が言う。


「・・・コンラート幹部、聞こえるかね?・・昨日行われた緊急最高幹部会の決定はディザイアシティーからの撤退だ。・・それとホルフ幹部は昨日付けで絶縁処分となっている、身柄はロクサーヌの方々の自由にしてもらえ。それときちんと事後処理を・・・・」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ!なんでだよ!ぜ、絶縁って!お、親父は・・親父が許す訳ねえだろ!」


さすがに絶縁処分と聞いて慌てて通信魔法具に叫び出すホルフ。


「・・お前の父親のワーレンは昨日の時点で大ボスの命によりシノギの8割程没収と今回の賠償金の支払い命令、そして2つ降格して唯の幹部になった。もちろんお前の処分も大ボスの命であり最高幹部会の決定でもある。・・・大ボスは大層お怒りだ、父親のワーレンが生き残れたのも運が良かっただけだ。・・では幹部コンラート、事後処理をきちんとして戻れ、以上だ。」


アハトは呆然とするホルフに近寄ると思いっきりブン殴った。倒れたホルフの腹や頭に蹴りを入れ、しゃがんで頭を掴み床に何度も打ち付ける。歯は折れ鼻は曲がり顔面血塗れになったホルフの頭を離し立ち上がるアハト。ホルフは床に転がり痙攣した感じでフガフガ言っていてアハトは銃を取り出し『何言ってんのか解んねぇよ!』と言い股間に1発撃ちこんでコンラートに向けて言う。


「コンラートさんよぉ、このクソはいらね〜からアンタが持って帰りなヨ?事後処理して戦犯連れて帰りゃ〜アンタも多少はメンツが立つだろ?」


「・・・いいんですかい?」


「ああ、そのかわりキッチリと事後処理はして貰うゼ?それにアンタに個人的な貸し1つだ!・・・それと、そこのクソ早く治療しねぇとヤバイんじゃね〜の?」


「・・・解りました、貸しといてください。事後処理はキチンとしますんで。」


コンラートの舎弟がホルフを治療院に運ぶ為に連れ出しコンラート自身も皆に頭を下げ店を出て行った。


「とりあえず終わりましたね・・」とアハトが言う。


「ああ、・・でもこれから始まるんだ」とバルザが言い


「・・ええ、始まりますね・・」アハトも肯定した。






1週間しない内にアルバッケンの息のかかった店や人はディザイアシティーから居なくなった。そして2ヶ月後にコンラートが賠償金の金貨1000枚を持ってやって来た際に、アハトは魔法の袋から一辺が30㎝の立方体の箱を8個渡している。ホルフの消えた子分の人数も偶然か8人であった・・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆




ついに二つ名が付いたアハトです。まあバルザさんみたいに色々な人が知ってるって感じじゃ無く、アウトローを中心とした一部の人達に知られてるようです。その名も『ブラッドタイ』血のネクタイという意味だそうです。もう好きにすれば?という心境です。なぜならば二つ名の事は起こってしまった過去の事で、今現在起きている大変な事態に比べれば大した事ありません。今起きている事は、昼に起きて顔を洗い歯を磨き着替えて姿見の前に立った時に起きました。俺は出かける前には姿見の前に立ち威圧スキルを発動してアウトローらしいかチェックしているのですが、今日は威圧スキルを使うと・・・・・


「なんじゃ、コリぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


と思わず叫んでしまいました。そして超ダッシュでムーさんの所に向かいました。




俺は被っていたバンダナを取り


「ムーさん!髪が変形しちゃったよぉぉぉぉぉぉ!」


今の俺の髪型はパーマがかかりリーゼントになっている。しかもリーゼントはドリルの様に螺旋を描き尖っていて尖端は刺さりそうな程だ。まさに昭和のツッパリのスーパーリーゼントみたいな髪型を見たムーさんは


「あっ!レベルUPしたんですね!じゃあ調整しましょう、調整。」


と言って俺を調整ルームに引き摺って行きました。

調整が終わると、なんと!髪型が元に戻ってました!しかも角刈りになる前の普通の髪型にです。髪は長い友達とは良く言ったものです。別れて2度と会えないと思っていた友達と再会を果たした心境になりながらムーさんに尋ねます。


「何で元の髪型に戻ったの?」


「あ〜、先輩の今度のレベルだと髪は普通の人と基本的に変わらないです。ただ、上位スキルや気合を入れてスキルを使うと髪型が色々(・・)と変形します、だから安心してくださいネ!」


「何を安心しろと!?・・それに色々(・・)って何?色々って!?」


「え〜まずですね〜、お約束のパンチパーマ!」


「ひぃぃーー!」


「アフロもありますよ!」


「ギャァ〜〜〜!」


「最初の角刈りもあるし・・あっ、そうそう!スキンヘッドもありますよ、勿論タトゥー入りで♡」


「NOォォォぉぉおおおおお⁉︎イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


・・・・・・アハトの明日に幸あらん事を祈る・・・




お読み頂きありがとうございます。次話より現代編に戻ります。

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