テキ屋はツライよ③
よろしくお願いします
「・・ラッシャイー。・・ナンニスル?」←(野太い声です) こんな声をお客さん掛けるところから、その日の屋台が始まります。
本日の第1号のお客さんは常連のカミーラさんです。このカミーラさんは "アクアパレス " という高級娼館で働いている人気娼婦で、色々な意味でお口が上手なお姉さんでたまにお世話になってます。それに素晴らしい情報を売ってくれるお得意様でもあります。
「ん〜、カップWで〜チョコミントと〜、ラムレーズンにチョコソースをお願いねぇ〜」
「はいよ〜、チョット待っててね〜!」
「ア、ハ、ト、くぅ〜ん。最近お店に来てくれなくてぇ、お姉さん淋しいわぁ〜。色々と、お、は、な、し、したい事もあるからぁ〜、今晩あたり来てくれるぅ?」
「ヘイ!お待ちどう〜!オマケして200セムね!・・じゃあ屋台終わったら顔出すよ〜!夜の大鐘2ツくらいには行けると思うよ〜。」
「はい、コレお勘定ねッ!じゃあ〜絶対よぉ〜!?ホントに来てねぇ〜!バイバ〜イ」
と、いつもこんな感じです。・・・よっしゃぁぁぁぁ!今日はハッスル・・じゃなくて情報ゲットだゼ!
情報を提供してくれる人と美人と子供には当然オマケします、当たり前です。むさいヤローなんかにはびた一文まけません!これが正しい漢のあり方だと俺は強く思う!!←(欲望に忠実なだけです)
それからは、女性客中心に色々なお客さんが来た。もちろん男の客もいるし男の常連もいる。そんな男の常連でサウジという40歳くらいのおっちゃんがいる。このおっちゃんはアルマという高級娼館のマネージャーの1人でもあり護衛もやってるテンションの高いゴツイおっちゃんで、ちょくちょくお遣いで屋台に来る。
「オウ!兄ちゃん!いつもの4ツ、全部Wでくれや!」
「まいどっ!・・おっちゃん、またお遣いか?」
「そーなんだよ〜、またボスが来てなぁ。売り上げのイイ女のコ達と一緒に喰うんだってさ!」
「・・ふ〜ん、おっちゃんも大変だなぁ?」
「ま〜ナ!これも仕事の内だ!・・・それはそうと兄ちゃんにも教えとくぜ!さっきボスから聞いたんだけどよ・・・」
「何聞いたんだ?」
「・・貴族領経由で性質の悪い冒険者数人がこの街に来てるらしいんだわ。そんで、客商売してんなら注意が必要って感じだな。」
「ホイお待ちぃ!全部で600セニでいいぜ!・・性質の悪い冒険者ねぇ〜。ま、俺も気をつけるワ!」
「じゃあ600丁度な!おう、気をつけろよ?じゃあまた来るぜ!」
と言ってサウジのおっちゃんは店に帰って行った。・・・フラグが立たなきゃいいけど・・・・
ハイ!やっぱりフラグは立ってましたぁ〜!それもビンビンに!!
夜の大鐘1ツ(午後6時)は意外と忙しい。昼間に仕事してるやつらは仕事が終わり、これから帰るなり出掛ける時間帯で俺の屋台に寄ってくやつらも多い。そして夜の仕事をしてるお姉さん達は仕事前に甘い物をって感じで買いに来る人も多い。
そんな時間帯に、あちら側の奴らしき若い男女2人とその取り巻きの冒険者で若そうな、ヤローが3人に女が4人の集団が俺の店にやって来やがった!最初はあちら側の女が『あっ、クレープじゃん!』と言う第一声。そして男の方が『へえ〜、何でこんな所で売ってるんだ?まあいいや!お前ら、これ美味いぜ〜』と冒険者の女達を侍らせながら順番待ちしてる客を無視して、なおかつ客を恫喝して押し退けようとしやがった!
そこで黙って見てるほど俺は普通の人間じゃあ無いぜ?アウトローなめんナ!!
「オイッ!他の客に迷惑かけてんじゃねぇーゾ、ガキ共!そんなクソみてぇなテメー等に売る物は無え!トッとと帰れやッ!!」
と店から出てスキルを使った一声をする。冒険者連中は『うッ』と少し退く。しかし男は少しビクッとしながらも
「・・はあ〜?俺等は客だぜ。それに俺とコイツは桜市側の人間でVIPなんだけどぉ?それに知ってとは思うけど俺等冒険者パーティー " クリムゾン、キャスター" だぜ?」
「そうよー。私達この国でもVIPだし!それに偉い貴族達とも仲がいいんだから〜。解ったらさっさととクレープだしなよ!」と続けて女の方も言う。・・俺は・・・・・
『こいつ等、イテぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』と心の中で叫んだ。
格好からしてチョッとキテるな〜とは思ったけど、そのパーティー名にウザいドヤ顔、それに喋る時にポーズ付けてトドメはJYO◯YO立ち!・・・おじさん、どう声かけていいか解らなかったYo!
俺は可哀想な人を見る目で奴等を見た後、歩いて一旦店の中に戻ってから防犯用グッズ取って来る事にした。ドスやチャカは何時でも取り出せるけど、そうそう道具を振りまわすのも考えモンだからねぇ。
俺が店に入ったのを『納得した』と勘違いしたのか取り巻きの冒険者連中が再度前に出て来て他の客に絡もうとする。しかし俺が中から出て来ると動きが止まった。俺は巻き込まれた客に向かって
「いやぁ〜お客さん達、悪いけどもうチョっとだけ待っててちょうだい!このアホ共『シッ、シッ』ってしてきますんで〜!もちろん今居るお客さんには無料でサービスするんで、芝居でも観るつもりで見守ってくださいネッ!」
と言って2つ持って来た防犯グッズの1つをを地面に置きもう1つを握り、一番近い男冒険者に向けてゴルフのスイングをする様に構える。そして " ヒュォン " という音と共に俺の防犯グッズで有る1番アイアンのエッジが冒険者の股間に炸裂した。
『マタンキィィィ!』という謎の悲鳴と共に内股になりながら俺のナイスショットを受けた冒険者は泡を吹いて気絶した。(男として痛みは解るので心の中で合掌!)
続け様に隣の冒険者の男の頭にゴルフクラブのエッジ部分を叩き込む!額から血が出て頭を押さえ喚きながら転がり回っている。そして間髪入れずに残り1人の男の冒険者の横面に少し曲がってしまった1番アイアンをフルスイング。『あグァ』という呻きと骨の砕ける鈍い音がした。
俺の1番アイアンは?マークみたいにグニャグニャと曲がってしまった!クッ!特価1万円ポッキリだったのに〜。・・・1つ解った事がある。『ゴルフクラブは安物では無くチタンを買え!』ということだ!!(注: この男は解って無いので無視してください。ゴルフクラブはゴルフボールを打つものです、良い子は絶対に真似をしないように!)
わずかな時間で冒険者の男達を撃退して、厨二クン(俺が勝手に命名)達を見ればポカ〜ンとしていて冒険者の女達はフリーズしてたから
「おいガキ共!人の商売邪魔してくれた落とし前はキチンと付けさせてもらうゼ♡」
とドヤ顔で笑いながら言ってやった。
厨二クンや女は直ぐに何かしようと魔力を練ったり魔術を展開しようとしてたけど、それは此処では出来る訳が無い。それよりも2人の身体が、かなり怠い状態で立ってるのがやっとという感じだ。・・・当たり前だ、俺は店から出た時にはすでに絶技(裏スキル)を使い出していたからな!
俺のこの絶技は俺の居る8000m3の空間内の魔力を、通常の量からゼロにまで自由自在に増減する事が出来る。ゼロになったその空間は向こう側と同じ条件になり魔力が全て無くなる。ネックは相手だけで無く俺もこの絶技を発動すると向こう側に居る時と同じになることだ。
【こちらの世界は生物を始めありとあらゆる全ての物に魔力が宿っている。構成する細胞、素粒子に至るまで染み付いていると言っていい。では染み付いている魔力が消えたらどうなるのだろうか?
答えは、形成されている物が形や性質を保て無くなり細胞の死や、別の魔力無い物質へ変化してしまう。そして生物なら生きる為に必要な細胞の死が多くなれば・・後はお解りだろう。】
もっとも魔力をゼロにするにはかなり面倒くさいし疲れるので、だいたい50%〜20%減くらいのを使ってるけどね〜。ちなみに今は50%です。これ以上はメンドイから嫌!
厨二クンが魔法を諦め剣に手を伸ばそうとしたので近くにいた女の方に近寄り髪を掴んで地面に倒す。
「イ、痛ッ!何すん・・」
ゴン!という鈍い音が鳴る。それは俺が女の言葉を遮るようにしゃがんで女の顔をブン殴ってやった音だ。そして懐からチャカを出して銃口を厨二クンに向ける。
それから真上にチャカを向けて上空に1発威嚇射撃をした後
「ガキィ〜調子に乗ってんじゃあねぇぞア"ア"ン?テメー弾くぞゴラァァァ!!」
厨二クンは剣に伸ばした手がそのままだったので、俺は足元で怯えている女の口の中に銃口を突っ込んでやった!
「魔法が使えねぇテメーが剣を抜くのと、俺が引き金を引いてこの女の頭が柘榴みて〜にフッ飛ぶのとどっちが早〜かなぁ?んん〜?」
「ヤ、止めてくれ!解った、解ったから!此処にはもう来ないから、だから止めてくれよ!」
厨二クンが剣から手を離したから、女の口からチャカを抜いて腹の辺りを蹴り飛ばして厨二クンの方へ女を転がしてやる。女は腹を抱え血の咳をした後、気絶したみたいだ。
そして俺は絶技を厨二クン限定で35%にする。
両膝両手を地面に着いて肩で息をしだす厨二クン。俺はもう1つの防犯グッズの釘バットを拾い厨二クンに近寄る
「・・・何が解ったか知らねぇけどよ〜、俺はテメー等を許すなんて一言も言ってねぇゼ?それに落とし前がまだなのに帰れるわきゃ〜無ぇだろうがぁ!」
俺はバットをゆっくりと大きく真上に振りかぶる。そして恐怖に怯える厨二クンの顔を見ながらバットを振り下ろした。
そして滅多打ちに!
基本向こうからコッチに来るやつ等は結構ハイスペックな奴が多い。そのうえ黒い物体Gの如きしぶとい生命力してやがるから、このくらいヤッとかないとガチで安心出来ねぇ〜!!
厨二クンにヤキ入れてから冒険者の女達に使っていた絶技を解いて冒険者の女達に言った。
「おい!そこに転がってる奴等とテメー等のギルドカードと身分証、それと魔法の袋に有り金全部置いてけや!そしたら見逃してやる!・・俺は気〜短けぇからよサッサとしねーと気が変わるかもしれねぇゼ?」
冒険者の女達は『ハ、ハイ!』と言って必死に厨二クンや女、冒険者の男達からギルドカードや袋そして金を取り出していき自分達の分も取り出すと俺が顎をしゃくった所に置いて、自分達だけで此処から行こうとする、だから俺はこう言ってやった!
「お〜い、ねえちゃん達!そこのゴミ共も一緒に持って帰ってくれや!俺は屋台やってるからよ〜汚ねえゴミが近くにあると困るんだワ」
奴等が居なくなってから客の方を向いて
「すみませんでしたお客さん達。俺は不器用なもんでこんなやり方でしか、お客さん達と屋台を守る事が出来んのですわ。大変お騒がせして申し訳ありません!こんなんで宜しければまたウチの屋台に寄ってやってください。」
そう言って両手を両膝に置き足を開いて腰を落とし、俺は頭を下げた、任侠流の口上と侘びの動作で。
こんな事がたまに起きる俺の屋台。そして俺の異世界生活のほんの一幕だ。
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