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3day1

 蔑む視線、言い渡された宣言、突き刺さる言葉、これは夢だ、裏切った後輩と裏切られた先輩の顔、そしてあれは。


「夢だ、夢なんだ」

 息が荒い、嫌な夢を見た。

「井上、おはよう」

「あ、ああ」

 そう言って手渡されるペットボトルの水をがぶ飲みする。

「井上うなされてたけど」

「いや、嫌な夢見て」

 詳細は話さない、だが紗枝は聞いてくることなく普通に会話をする。

「そうなんだ」

「ああ、ってごめん水こんなに飲んで」

 ペットボトルは500mlの物で今ので半分以上飲んでしまった。

「ううん、井上が落ち着いたならいいよ」

「本当にごめん」

「井上気にしないで、それじゃあおやすみ」

「おやすみ」

 そう言って紗枝がシュラフに入る。

「井上の匂いだ」

 そんな呟きが聞こえるが無視して、ガソリンスタンドの光の下で周囲を警戒する。高速とは言ったが橋の上にあったりするわけではなく両脇を山に挟まれ、その麓を走っている。だから道を塞ぎ立て籠ることは出来そうにない。だから警戒する人を立てておかないといけないのだが、何も現れそうではなく正直暇である。

「そう言えばスマホで地図とか見られるのかな」

 すっかり忘れていたスマホをポケットから取り出す。電源を入れるとそれはどこにでもあるような物だが違いはバッテリー残量の表示がない。

「充電する必要がないとか」

 ロックをはずし中を見ると電話と地図、それと設定しかできないものであった。せっかくだから地図を見る。地図は真ん中に0と書かれた町があり、その上下左右に太い道があり、その先に更に町があるようだった。更に言えばその上下左右の町も太い道路で繋がっている。はっきりと言えば真ん中の町を囲んで円を描いているようだ。そしてその地図に赤い点と細かい数字、これがたぶんシェルターだろう。

「現在位置の表示はっと」

 現在位置を表示すると、南に向かう太い道の上に青い点が表れる。

「5分の1位はこれたのか」

 だがわかったのはそれだけだ、それ以外は表示されず、また現在位置表示も1時間に1度だけであるようだ。スマホの電源を落とす。昨日使った銃に弾を込める。ウエストポーチの弾は後28発ほどだ。

「弾もどうにか集めないとな」

 100発、200発と言う3桁の単位で拾いたい、じゃないと弾のなくなってしまう。

「はぁ」

 足りないもの、必要なものは多く、安全は少ない。ため息しか出てこない。

「必要なものを考えるとデパートとかか」

 だがそう言った所は人がいるだろう、人とはできる限り一緒にいたくない。一匹狼を気取るわけではなく、変なリスクを負いたくない。

「だけど行くしかないか」

 物が多くあるところには人がいるのだから仕方がないと諦める。辺りを見渡す。紗枝は気持ち良さそうに寝ている、かなり幸せそうだ。更に自販機も。

「金ないや」

 ふと、破壊すると言う考えが浮かんだが、警報などが鳴ったら嫌なので諦める。お金の単位を見ると円であった。少しずつ夜が開ける。さあ活動開始だ。

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