10day3
昨日は体調不良で更新できず申し訳ございませんでした
結論から言うと何も見付からなかった。水着はもちろんの事、食料や水、武器に弾丸に至るまで何もなかった。
「何もないな」
「井上、こんなのあったよ」
「こんなのって」
紗枝が持ってきたのは、金色に輝く、金属片。空薬莢だった。
「誰かこの辺りにいるのかも、他に何かなかった」
「後は何もなかったよ」
「そっか」
さらに言えば、寝床になりそうな所もなかった。
「後はあの中だけか」
「うん」
そうして船を見上げる。何を運んできたのかは分からないが、大型船なのだ、何かあるだろう。
「もし中が安全なら、あの船動かして海上に出た方が安全かな」
せっかく船があるのだ、活用できるならしておきたい。
「けど井上操縦できるの」
「出来ないけど、気合いで、どうにかできないかな」
せっかくこの辺りで唯一動きそうな船なので、活用しておきたい。それに動かなくても、船員室もあるので体を休めるにはちょうどいいだろう。
「なら入ってみようよ、井上」
「ああ」
荷物をまとめ、コンテナ船のそこに空いた穴を見つけたのでなかに入っていく。なかは真っ暗であり、何か液体が垂れる音が響いている。
「ライトつけようか」
「うん」
ライトで中を照らす。中は何もなく、いくつか水溜まりがあるだけだ。奥の方に階段を見つける。
「階段見つけた」
「井上は上には何があると思う」
「さぁ」
階段は金属製で歩く度に音が響く。もしゾンビが居たら集まってきそうだが、他に足音が聞こえない。だから何もいないのだと思いたい。
「誰もいないみたいだね」
「うん」
階段を登り続けるのだが、僕たち以外の足音が聞こえないまま、甲板に出てこれた。
「うわー、コンテナが一杯あるね」
「そうだね」
「後夕日がきれいだね、井上」
いつのまにか、時間がたっていたのか、もう夕方である。
「ひとまず、寝られる場所を探そうか」
そう言って甲板から再度船内に入っていく。今度は操舵室があるであろうもっとも高いところに続くところに入っていく。ドアのハッチを開くときまた大きな音がするのだがそれ以外には聞こえない。
「やっぱり誰もいないみたいだね」
「井上と2人きりだね」
中はやはり誰もいない。何となくだが幽霊船という言葉が頭をよぎる。
「井上ベッドがあったよ」
紗枝が適当にどこかのドアを開けたようで、呼んでいる。眠れそうな所があったのだ。今日はそこで体を休めようと思う。




