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10day2

「海だね」

「海だよ、泳ごうよ井上」

 たどり着いた南の町は南側に海が広がっていた。そして。

「暑いからいいでしょ井上」

 暑かった。始めに居たところを春だとすると、ここは夏だ、しかも猛暑に分類されそうなほど暑い。

「その前に着替えがいるか」

 登山するときに着るような服を着ているので、立っているだけで汗をかいてくる。だから最低限を残し脱ぎ捨てる。

「はぁ、涼しい」

 長いズボンにTシャツと言う姿になる、紗枝も同じような服装だ。

「お揃いだね、井上」

「そうだね、でこの脱いだやつだけど」

「持ってくの」

「いやここに隠しておこうか、持ってくと荷物になるし」

「分かった」

 そう言って衣服をまとめていく。

「でどこに隠すの」

「まあ道の端にでも置いておこうか」

 そうして、要らない服を道の脇の雨が当たりそうにない所に置き、さらにスマホを1台置いておく。忘れたときに見つけやすくするためだ。

「それでどこに行くの」

「海に行こうか、あのコンテナ船が気になるし」

「そうだね、けど私泳ぎたいなぁ」

「分かったよ、けどいってみてからね」

「うん、井上って優しいよね」

 そうしてバイクにまたがり、目的地であるコンテナ船、動いておらず、さらに言えば砂浜に座礁しているようなものではあるが、そこに向かって走り出す。

「水着とかおいてあるお店とかないかな、ねぇ井上はどんな水着が好き」

「どんなのって言われてもそんなに詳しくないんだけど」

「大雑把でいいから教えてよ」

「ならえっと…………ビキニとか」

「ビキニか、分かったよ井上、セクシーなの探してみるよ」

「いやひとまず」

「もちろん安全なところも探すよ井上」

 そんな話をしながら、海に向かう。道は1本道であり、ゾンビもいない様子なので大分早く着いた。日は真上にある。だからかなり明るい、むしろ眩しいくらいなのだが、たどり着いた海辺がひどかった。

「なにもないね」

「うん、ごめんね、私のビキニ姿見せられなくて」

 例のコンテナ船がお店などがあったであろう場所に突っ込んでしまっていた。さらに言えば壊れた船の残骸やらが砂浜に打ち上げられており、泳げそうな状態ではなかった。

「ひとまず、この辺りを探索してみようよ」

「……………うん、何かあるかもしれないしね」

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