8day5
食事をする、と言ってもここにたどり着くまでに見かけた死体から奪った乾パンではあるが。
「井上食べられるの」
「まあ、何とか」
そうは言ったのだが、さっきまで吐いており、胃の中は空ではあったが2枚ほど食べただけで限界であった。無理に食べてまた吐くこともないと思い、そこで食べるのをやめる。
「井上」
「いやお腹一杯で」
紗枝が心配そうに聞いてきたので、そう答える。
「まあ、あんなことがあったあとだから仕方ないか」
「と言うか食料ってどれくらいあるんだ、もしかすればここにいれば、日数達成できるとか」
八木はそう言ったので、気になり調べる。だがすぐにわかる。拾った乾パンの缶詰は残りは3つだ。
「無理だな」
「となるとうって出るしかないわけか」
「だが出たところで犬死にじゃないか」
犬がドアにぶつかり、音をたてているのが余計に大きく感じた。
「待つしかないのか」
「だが待っていても餓死するだけだぞ」
「じゃあ食われたいのか」
「それは」
答えなんか出るわけのない話が続く、互いにすることがないのだ。
「井上はどっちがいいと思う」
「どっちにしたって、助けが来ないとどうしようもないなら、楽な待ってる方がいいよ」
「なら私も待ってる方に賛成」
「と言うか多数決とってるのか」
「ううん」
「そっか」
けどもめる前に止めとく方がいいだろう、こんな閉鎖空間では険悪な空気が、わずかでも流れれば何かの問題を引き起こしてしまうだろう。
「2人とも落ち着いて」
「ああ、悪かったな八木」
「こっちの方こそ」
2人とも落とし所を探していたのか、すぐに止めた。空気はすぐによくなる。だがそれで何か解決するわけでもなく、ただ問題を先伸ばしにしただけだ。それが紗枝以外全員気づいているのか、無言を貫くしかなかった。そんな中空気を読まずに紗枝が口を開く。
「ねぇ井上、何か聞こえない」
「何かって、何」
「わかんない」
だが気になり耳をすます。犬がドアにぶつかる音に混ざり、かすかだが人の声のようなものが聞こえる。だがそれが聞こえてくると同時に大きな爆発音。
「何」
「なんだよ」
全員が武器を構える。だが変化はない。
「なあ」
「何、佐藤」
「ドアの揺れ収まってないか」
爆発音のあと、ドアは揺れなくなっていた。
「あの爆発に引き寄せられたとか」
その言葉と共にまたドアが揺れる。今度は人の声付きで。
「井上、まだ生きてるのか」
「斎藤」
助けが来た。




