8day2
かなり長い間、ぼおっと天井を眺める。何も考えずにただ一点だけをながめる。それだけで時間を潰せていた。
「井上、何してるの」
「なんにもしてない」
「そうなんだ、なら井上私とお話ししない」
「いいよ」
紗枝が話しかけてくる。
「なら井上1000万手に入ったら何に使うの」
「考えてない、紗枝は」
「私は、色々と必要なもの買っていきたいなぁ」
「そっか」
特に何も考えることなく紗枝に言葉を返していく。
「なら井上は何か欲しいものないの」
「ない」
こんな感じで、紗枝と会話をしていく。いや会話と言うよりも、むしろ紗枝から尋ねられたことを答えているだけであったが。そんなことをしていると、八木とサブマシンガン持ちが目を覚ましたのか体を動かす。
「うっ俺寝てたか」
「今、何時だ」
2人ともいつのまにか眠っていたようだ。だが時間を尋ねられ、僕自身も気になったために、スマホを取りだし時間を確認する。
「今6時」
いつの間にか5時間もたっていた。
「そうか」
「まだ救助は来ないのか」
「来てないな、来てるのは犬だけ」
そう言ってドアの方を指差す、まだドアに体当たりしているのか一定間隔で揺れていた。
「はぁそうか」
「けど助けなんて来るのか」
「使いたがってたし、来ると思うよ」
ため息しかこぼれない。
「まあそうだよな、俺たちが持ってきたガソリンだけじゃあ、発電機をずっと動かせるわけないんだし」
「そうだよ、だからせっかく出来た安全地帯なんだから体を休めとこうよ」
「あの角田みたいに」
そう言って八木は寝転がっていた角田を指差すと同時に角田は血を吐く。
「なっ」
「おい」
サブマシンガン持ちが角田を壁に持たれかけさせた。
「うっ、ううっ、うっ…………すま"…ない"」
声が聞き取りにくくなっている。サブマシンガン持ちが確だの服をめくる。そして見た。足の太ももあたりに赤黒く染まった包帯を。
「これは」
「かま…れだ」
想像ではあるが、角田は犬に噛まれたらしい。これを見てしまったので、その想像が間違ってるとは言えそうになかった。その角田はポケットに手を入れ、拳銃を取り出す。その動きは大変遅いものであった。
「だの…む、ごろじで…ぐれ」
「俺が」
サブマシンガン持ちは銃に手を伸ばせない。
「くそっ、なんなんだよこのシュミレーションはよ」
八木は怒りをあらわにする。
「井上」
だから僕がその銃を手に取る。
「あ"り"が」
構え、角田の頭を狙う。角田の顔を見てしまう、その顔は血に染まり、見るに耐えなくなっていた。
「どう"」
引き金を引く。轟音が響き、薬莢が飛び出し、スライドが下がりきったままで固定。力を失った角田の死体が横に倒れる。そして薬莢が地面とぶつかり、かん高い音をたてた。そして吐いた。
「井上」




