5day2
目をつぶってみたが、眠くならず。辺りがだんだんと明るくなるのを待つ。だがそれにもすぐに飽き、LEDライトに付いているラジオをボリューム最低にして付けてみる。
「なんも流れないや」
どの周波数に合わせても無音だけであった。わずかに聞こえたりするわけでもなく、ずっと無音だ。充電していないことも考えてみて、手回しで充電をしてみるが変化はない。更にいじり続けるが変化はない、だが空は明るくなってきたので紗枝を起こす。
「紗枝起きてくれ」
「井上、おはよう。えへへ井上の顔が近いや」
「隣で寝たんだから当たり前じゃ」
「それでも嬉しいの」
「まあ、いいや。それで呼ばれてるんでしょ」
「うん私についてきて」
そう言ってベッドから抜け出し、紗枝に続いて部屋を出た。部屋の外は廊下であり、何部屋もありそうな所であった。
「こっちこっち」
辺りを見渡すために立ち止まっていたためか、紗枝が先に進み非常口と書かれた看板の下にいる。多分エレベーターが止まっているので階段しか使えないのだろう。
「確か5階にいるはずだよ」
そう言って階段をおり始める。ふと今いる階を確認したら7階に寝かされていたのだ、そこでふと気になる。
「なあ僕の事運んだのは」
「私が運んだよ、安心して井上、井上の事は私以外さわってないから」
「す、スゴいな」
男だからそれなりに重いはずなのに、それを1人で運んだと言う紗枝にかなり驚く。
「あっここだよ」
5階へと着く、ここは少し騒がしそうだ。人が何人も行き来している。その合間を縫うように進んでいき、ある部屋に着く。そして紗枝がその扉を開くと、男が一人だけいた。
「やあ、君が井上だね」
「そういう君は」
見た限り大学生のようだ。
「ここの代表をやってる石井だ」
「代表、ってことはここに多く人が」
「ああ500人ほどいる君と横にいるバーサーカーも含めてだが」
「バーサーカーって」
隣にいる紗枝を見ると、少し怒っているようだ。
「まぁそれも含めて言いたいことを簡単にすると、調査隊が君たちを2人の頭を撃ち抜かれた死体の流す血の中で見つけて助けたから、その礼ぐらいして欲しい」
「血の海って」
「安心して井上は汚れてないから」
「いやそのことじゃ無いんだが、まあいいかそれで何をして欲しいんだ」
「バイクが欲しい、とは言いたいがそれをいったら殺されかけないから、調査を頼みたい」
「調査ってなんの」
「ああそれは」
「石井調査班の斎藤からだがガソリン満タンのタンクローリーを鍵つきで見つけたらしい」
「そうか」
「だがゾンビに囲まれて脱出できない」
「なら救助を」
「それが行動範囲を超えていて近くに誰もいない」
「そうか、なら井上救助を頼むそれが礼だ」
拒否権はなかった。




