4day2
荷物をまとめていると、紗枝が目を覚まし、食事をとろうとする。
「おはよう」
「おはよう井上。あれ、井上缶詰もうないよ」
「本当に」
今日の朝食は無しのようだ。一応バイクには1、2個しかおいていなかったので今日中に食料を手に入れないと、水しか口にできない状態になるだろう。
「今日はスーパーに行かないと」
「今日はスーパーに行くんだね、楽しみだなぁ」
どうしようもなければここで探すのだが、真っ暗闇の中で探し物をするはできる限り避けたい。と言うわけでリーダーに別れを告げる。
「すまない、邪魔をした」
「構わない、けど行くのか」
「部外者がいちゃ邪魔だろう」
「それは…………そうだな」
「井上が邪魔なの」
紗枝が口を挟むが気にしない。
「それじゃあな」
「じゃあな、スミス」
「スミス、僕が」
「ああ、その銃スミス&ウェッソンのM686だろう」
「そうなのか」
「知らなかったのか、まあいいか、じゃあなスミス」
「じゃあなリーダー」
そう言って荷物をまとめたリュックを背負い、安全地帯を出た。
「よしじゃあ上から出よう」
「うん」
階段を登る、中よりは外の方が明るいだろうから、少しは気楽に進めるはずだ。
「けど井上の事が邪魔だなんて」
「いいんだよ」
「井上がそういうならいいけど」
階段を登りきり5階の駐車場に出る。ここから外に出られるはずだ。ドアを開く際は細心の注意を払いながら静かに開ける。音もたてずに開き外を見るがゾンビはいない。
「ふぅ」
一息つき、同じように細心の注意を払いドアを閉める。やっと外に出てこれた。太陽が眩しい。
「ねぇ井上あれ」
紗枝が何かを指差す。死体だ、女の死体だった。首から大量に血が出ているので生きてると言うことはないだろう。見ていて気持ちのいいものではないが近寄る。
「井上、何してるの」
「いや何かないかなって思って」
「井上は動かないで私がする、あんなのに触ったら井上の手が汚れちゃう」
紗枝が小走りで近寄り、死体を漁る。
「おい、もしゾンビだったりしたら」
「あった、けどこれしかなかったよ」
血がついた状態で紗枝が。
「おい」
紗枝の足元のゾンビがうご。踏みつける、蟻を踏みつける用に顔を。
「井上があなたが見ていい人じゃないの」
ゾンビより紗枝の方が怖かった。
「はい、これ」
血の付いたスマホと拳銃だ、弾は入っていない。どちらもリュックに仕舞っておき、そのついでに着ていたワイシャツを取り出す。
「これで血を拭いたら」
「えっこれ」
「早く拭いた方がいい」
「………うん」
渋々と言った様子で拭き始める。すぐに綺麗になったのでそれを受け取ろうとする。
「えっと捨てようか」
「いや」
「えっ、けど汚れてるし」
「…………うん」
渋々と言ったように捨てる。それを放置して駐車場を進む、あったのは死体だけのようだ。ゾンビはいない。
「なぁ紗枝」
「何」
「さっき邪魔だって言われたのは仕方ないんだ。組織って言うのは部外者をいやがる、新しい流れもいやがる。それが善であれ悪であれ、だから怒ることはないよ」
「うん、ごめんね井上、気を使わせちゃって」
「いや」
「うん、私も元気出してくよ」
そう言ったときにお腹がなる、僕のじゃなくて紗枝の。
「お腹空いちゃった」
そう恥ずかしそうに言うと、バイクの元に向かった。




