27day4
今夜もまた雪の降る屋上でスナイパーライフルを構えていた。
「ううっ寒っ」
急に暖かくなったりはしないのはわかってはいるのだが、寒かった。
「あなた、これ使わないのは」
「いらない、もらったら寝ちゃいそう」
昨日、と言うか今朝からの改善点なのかビニールシートと断熱シートが渡されているのだが、使うと寝そうなので使うわけにはいかなかった。
「今日で終わってくれるといいんだけなぁ」
「それは無理じゃないですか、盗んだ物が食料なのでもしかしたらもうやってこないかもしれませんし」
「かもな」
メンバーも昨日と変わらず僕と紗枝、それに鬼怒川に部下的な人の4人だ。
「はぁ本当に無駄かもなぁ」
スコープで倉庫の様子をうかがいながらそう呟く。
「ならあなた帰ろう」
「そう言うわけにもいかないよ、一応仕事だし」
なんの変化もない倉庫を眺めているだけだとしても仕事は仕事だ。そう割りきらないとやってられなかった。
「そうだコーヒーでも飲みません」
「いやいいや」
鬼怒川コーヒーを進めてくれたが、今日はそう言う気分じゃなかった。
「あなたがいらないなら私もいいや」
「そうですか」
「また今度いただくよ」
そう言って倉庫を眺める作業に戻る。
「はぁせめて雪だけやんでくれないかな」
倉庫から目を離し、雲を見る。雲は灰色で、しかも途切れそうではなかった。つまり雪はやむ気配がない、そう思うだけでいやになってくる。
「あなた人が」
紗枝がそう叫ぶ。だから僕がスコープを覗き直すと、そこには倉庫の正面から入ろうとする男たちがいた。
「軍の関係者じゃないか」
「ええ、たぶんそうですね」
だが覗き続けて違和感を覚える、入口の軍関係者と揉めているのだ。同じ軍のなかでもめるなどあり得るだろうか、そう思い鬼怒川に訪ねようとしたとき、衝撃が走る。
「あなきゃ」
紗枝の方を見ると、部下のような男に銃を持った腕ごと背中の方に捻られていて、更に言えば僕は鬼怒川に押さえつけられていた。
「すいません黙っててください」
そうしてまた後頭部に冷たいものを押し付けられた。




