3day4
「階段にはいないね」
「うん、スピーカー無いみたいだし」
階段は物静かなものだった。
「そう言えば井上、どうして階段使うの」
「すぐ逃げるのに便利だからかな」
「そうなんだ、井上って色々考えてるんだね」
「後エレベーター使うとゾンビの中に放り出されるかもしれないし、エスカレーターだと音しそうだし」
そんなことを小声で話ながら進む、階段は真ん中に柱があるので踊り場に出る度に先を見て安全を確認する。ゾンビはいなさそうだ。いたらいたらで逃げるしかないのだが。
「けど井上、ふたりっきりてお店見て回るなんてデートみたいだね」
「ああ」
適当に聞き流す。だが急に腕に何かが触れる。
「っ」
声がでなかった。要するに生き残れたと言うことだ。
「頼む、驚かせないでくれ」
紗枝が腕に触れていただけであった。
「ごめん、井上」
紗枝はばつが悪そうだ。
「怒ってる」
「怒ってないけど、心臓に悪いからやめてくれ」
心臓がばくばくいっている。
「本当だ」
紗枝の手が胸に触れている。
「はぁ」
何も言わないでおく、静かに移動したいからだ。
「ふぅ」
「行こうか」
「うん静かにだよね」
そう言って静かに移動を再開する。その後は問題もなく移動できた。目的の4階にたどり着く。だがこの階だけ様子がおかしい。音がしないのだ。それにドアが閉まっており、さらには。
「鍵がかかってるよ」
「みたいだね、誰かいるのかも」
「えっ」
「まあ、生活しやすそうだし」
そう言ってノックする。ノックが帰ってきて金属音。鍵が空いたようだ。中にはいる。
「ゾンビじゃないな」
膝の裏に衝撃を受け、膝を付き。後頭部には銃を突きつけられる。3人以上はいるようだ。目の前の男が話しかけてくる。
「ああ」
「………そうか、なら安全地帯へようこそ」
そう言われた。
「ここは下で音楽が流れてるから少し位なら音をたてられるが騒がしくするなら処分する、それと入場料をいただこうか」
「なんだ、食料か弾か」
「いや女だ」
男の目が紗枝の方を向く。
「えっ私」
「なら入らないよ」
「お前に拒否権があるとでも」
「お前の態度に苛立ってるやつらがいるんじゃないか」
「そんなやつはいないさ、こいつがあるからな」
そう言って男は銃を見せる。AK47だ。
「それにデスゲームだぜ、お前も楽しんだんだろう」
「いいや」
なんとかならないか考える、だが力のない僕には何ともならない。
「はははっこいつは面白いな」
「井上どうしよう」
どうしよかと言われても、どうしようもない。だが救いは来る。ポケットに振動。
「おい誰か地下に調査をやったのか」
「いいや俺の方にも来てるぜ」
僕にも来ている、つまりは一斉に来てると言うことだ。
「早くお前らもとれ、うるさくなっちまう」
そう言われ電話をとる。
「やっほー、久しぶり。まだまだ生き残ってる人は大勢いるし、立てこもってるのも多いよね、だから行動しなくちゃならないように今から電気を止めます。いやー難易度上がるねけど安心して電話の機能は止めないし、発電所にたどり着き復旧させるともとに戻るから、それじゃ楽しくやりましょうか」
そう一方的に言われ電話が切れる。光が消える。下から聞こえるわずかな音が消える。
「銃を下ろせ、抵抗できるだけの武器はあるのか」
「…………………ああ」
こっちに向けていた、銃を下ろす。救いは来て、最悪の状態は抜けられたが、余計にひどくなったような気がする。だがこんな状態でも騒ぐものはいないのが唯一の救いだった。




