3day3
「やっと着いた」
高速を降り、町中を進み、立体駐車場付き5階建て大型デパートにたどり着く。
「井上お疲れさま」
「町並みもきれいだったしよかったよ」
道路が車で塞がれていると言うことや火災が起こっていると言うこともなく静かなものだった、電気も通っているのでどこかに閉じ籠っているのが多いのだろう。つまりゾンビを引き連れている可能性がある。辺りを見渡すが動くものの気配はない。
「ゾンビいないよな」
「居ないみたいだよ」
「ならここにバイクを止めておこう」
そう言って、デパートの正面玄関に止め、エンジンを止めて鍵を抜く。
「まあこれだけでいいよね」
「井上早く行こう」
更にリュックを背負い準備は完了する。
「よし行こうか」
正面玄関の自動ドアは電源が通っているのか、入ろうとした僕たちに反応して自動で開く。
「何もいませんように」
開いた先は普通のデパートの用に案内板がある。
「やっぱり地下もあるのか」
外からは7階建てにしか見えないのだが、案内板によると地下1階に4階建て、5階は駐車場になっているようだ。
「食料品は地下みたいだね」
「アウトドア用品は4階か、離れすぎでしょ」
上と下両方に行く必要がありそうだ。更に音をたてずにドアを開き、中を覗く。
「ゾンビがいっぱいいるね」
「うん」
中を覗くとゾンビが大量にいた。
「けど大音量で音楽なってるからそっちに集まってるよ」
紗枝がいったように特定の場所にゾンビが溜まり、その場を離れようとしない、たぶんその辺りの天井にスピーカーがあり、そこから音楽が流れているのだろう。
「ならあれに近寄らないように移動しようか」
「けど上と下どっちに行くの」
「火の方が大事だから上行こうか」
「うん」
食料はここじゃなくても手にはいるが、ガスコンロはそんなに簡単に手に入らないだろう。だから確実に確保しておきたい。
「絶対の音をたてないでね」
「うんわかったよ」
そう言って中にはいる。ドアをゆっくりと開き、そしてゆっくりと閉める。音はたてないように慎重に。
「はぁ」
中に入ると陽気な音楽と呻き声がして、楽しいとは言えない環境だが、そんなことは気にしていられず、足音をたてないようにゆっくりと慎重に歩く。こんな環境で襲われれば確実に死ぬ。抵抗できるかもしれないが一瞬だけだろう、だから1歩1歩に命がかかっていると言っても過言ではない。息をするのさえ怖い。と言うか。
「服変えよう」
僕がスーツで紗枝が学生服なのだ、だから余裕があれば服を変えたい。やっと階段が見えてくる。これを4階まで上ればいい、そう思い慎重に歩みを進めていく。




