登場人物&世界観紹介:第4章
第4章に登場した登場人物達や、舞台設定の紹介です。
【主要登場人物】
<アルケミス=イブン=ズィウバーク>
魔導帝国ルオス最強の魔導士と名高い、天才魔法使い。37歳。
かつて魔王マーディスを討伐した4人の勇者の一人である。自室は奇妙なオブジェで溢れており、独自の感性がうかがえる。
37歳ながら、20代の若者のまま時が止まったような顔立ち。群青色の法衣で身を包み、腰まで届く長い黒髪を、頭の後ろから鋭く一本にまとめている。背は高く、細い体つきと見える。
<カティロス>
"凍てついた風"の異名を持つ、黒騎士ウルアグワの側近。魔物陣営の中でも最たる力を持つ"魔王マーディスの遺産"と呼ばれる3匹の魔物に次いで、その名を知られる魔物軍勢の中の精鋭。
人の姿をしており、女性を彷彿させるスマートな体つきである。漆黒の胸当て、膝当てと肘当てを装備し、鼻と口元を藍色のバンダナで隠している。尖った静かな銀髪に即し、無感情な氷のような目つきが特徴。
<アジダハーカ>
"番犬"の異名を持ち、獄獣の側近と言われる異形の存在。巨大な体格に加え、首を180度回すなど、所作の数々にも異質さが現れる。
赤黒い瞳を宿した、不並びな歯を持つ奇怪な馬の仮面をかぶっている。仮面の横からはたてがみのような髪が溢れ、胴体を草葉で編んだ蓑のような衣服に包み、肩と肘、膝を金属性のプロテクターで覆う。腕と脚は極めて太く、裸足の指先は一本一本が小石のようにごつごつしている。
<ライフェン=マイン=サルファード>
ルオスの名家、サルファード家の長男にして、チータの実兄。ラルセローミのフィート教会にて、緑の教団の司祭を務めていた。24歳の好青年という人当たりのよさを思わせる表向きに反し、魔王マーディスの遺産と手を組んでいた人類の裏切り者である。魔導士としての力量もそこそこあるようで、乗り込んだ騎士団に風の魔法を放った。
白い神官服の中心を萌黄色のラインであつらえており、神官帽を身に着けたその風体は、爽やかな表向きの顔も併せ、人類を裏切った外道とは見えにくい。しかしその実態は、部下を見捨てて己の逃亡を優先させる、自己中心的な思想の持ち主。
【その他の登場人物】
<ジーナ=バウム>
砂漠を主戦場に商売を営む行商人の女性。24,5歳ほどと思われる。アユイ商団にその身を置く立場で、クロムとは少なからず縁があるようだ。いつか自分の店を持つことを目標に、お金を稼ぐ日々に明け暮れている。
タンクトップ一枚にアーミーパンツを纏う姿は活動的で、四角く荷造りされた大きな荷物を背負って駆ける活発さが第一印象。黒髪を頭の上で結っているのはそうした駆け回る日々の中で、髪が邪魔にならないための工夫ととれる。
<ヴィルヘイム=スクエア>
魔法都市ダニームの自警団の要人を務める男性。初老の練兵といった風格で、同時にガンマの育ての親でもある人物。里帰りしたガンマを鉄拳で迎えたり、表面的には乱暴な父親を思わせるが、その実ガンマのことを気遣う優しい父である。法騎士シリカと剣を交えても実力が肉薄するらしく、その強さは魔法都市でも名高い。
<ベラドンナ>
植物に支配されたピルツの村跡地に現れた、謎の存在。
ユースやアルミナと同い年ぐらいの女の子の姿をしており、地面から僅かに浮かぶ大きな蒼い花に下半身を埋め、上半身は胸元のみを花で編むように隠す服装。殆ど裸体に近く、大事な所を花と緑で隠す風貌は、大森林の精霊を彷彿とさせる。開口一番にエルアーティの名を呼んで挨拶するなど、人里の事情の一部にも通じているような口ぶりだった。人類の敵ではない、と本人は主張している。
<獣魔メラノス>
フィート教会に潜伏していた、魔王マーディス軍の残党魔物。
魔王マーディスの遺産の一角、百獣皇アーヴェルの配下の一匹であり、鰐のような頭部を持つ、神官服に身を包んだ人型の魔物である。親和性の高い錫杖を片手に数多くの魔法を使いこなし、その牙は捕らえた敵に致命傷を負わせるには充分なものという高い攻撃力、さらには知恵と魔法を活かした守備力も併せ持つ、隙の少ない実力を持つ恐るべき魔物だった。聖騎士クロードとガンマの底力に敗れ去ったものの、魔王マーディス存命の頃から長く生き延びてきた魔物達の底知れなさを、象徴するような存在だった。
【舞台設定】
<ラムル砂漠>
皇国ラエルカンの南に位置する大きな砂漠。西にはかつて魔王マーディスの拠点とも言えたコズニック山脈が位置しており、それらとの出入りがあるのか魔物の出没率も高い場所である。砂漠の各地には遺跡が散見し、古代遺産や知識の数々を発掘することでの一攫千金が夢見られる一等地でもある。
<アレナの集落地>
ラムル砂漠の最北地に位置する、砂漠の玄関口とも言える人里。小さなオアシスのそばに作られたこの場所には住まう人も多く、石造りの建物や露天商が立ち並ぶ、小さな村と言える形を見せている。集落の一角にある、南国植物を思わせるような大木が、この集落で落ち合う人々にとっては大きな目印となるようだ。砂漠に立ち入る者達には、親しみの多い地。
<アモス遺跡>
ラムル砂漠の浅い場所に位置する遺跡。かつて数多くの冒険者や学者が足を踏み入れ、価値あるものは概ね採掘済みかと思われていた遺跡だったが、この遺跡の仕掛けに目をつけたジーナが足を踏み入れることになる。砂漠の魔物達の巣窟にもなっており、他の地に比べて危険な魔物ではないにせよ、武力なしに足を踏み入れるのはいささか危険と言える場所である。
<ピルツの村跡地>
綿の雨が降り注ぎ、一日にして壊滅した、魔法都市ダニームの北に位置する村。穏やかかつ平穏であった風景から一転、奇怪な模様と大きさを持つキノコの数々が村の至るところから乱立する、異世界のような死地へと変えられてしまった。この村を襲った綿の雨の本質を探るためにシリカ達が訪れたところ、その力の源は人為的なものであるという結論に至り、後の捜査につながっていくこととなる。
<港町ラルセローミ>
エレム王都からエルピア海を超えた先にある、エレム王国とも交易が盛んな町。北国の文化に、エレムやダニームの文化も取り入れて共存させる柔軟な町で、かつてこの地を訪れたクロム達がユースにしてくれた土産話からも、過ごしやすい良き町であることはうかがえるようだ。
<フィート教会>
港町ラルセローミに置かれた、緑の教団支部。かつて町の役所であった建物を改装して作られたもので、大きな建物であると同時に、有事の際には町の外へ逃げ出すための地下通路も擁する。表向きは善良な宗教建築物を装っていたが、管轄するライフェンの指導のもと、教団の権威をかさに着て悪行を重ねる、悪人宗教家達の隠れ家となっていた。
<緑の教団>
大森林アルボルを信仰する人々の集い。魔導帝国ルオスにその総本山を置き、森を崇める思想を肯定する教団である。活動範囲は非常に広く、教団そのものは帝国も認める優良な振る舞いが特徴であるため、世界じゅうに支部を持つ。しかしごく一部では、その名の高さを利用して儲けを得ようとする者も教団内にいるようで、綿の雨を巡る騒動の中でそうした存在が浮き彫りになっていく。サルファード家が繋がりの深い団体でもあり、その繋がりにも焦点が当てられる。
<アユイ商団>
世界有数の巨大商売組織。旧ラエルカン地方一帯を主戦場とし、経済的な流れを一手に掌握することも出来る大きな商団であり、その気になれば小国家よりも大きな力を持つと言われる。図体の大きさゆえに表裏問わずに市場に関わるため、決して白い噂ばかりが立つ組織ではないが、長年に渡って特に問題を起こすこともなく人々の暮らしや滅んだ町の復興に努めてきた、優良な商団であると明言できる。




