登場人物&世界観紹介:第3章
第3章に登場した登場人物達や、舞台設定の紹介です。
【主要登場人物】
<ジャービル=シエル=ソルティシア>
魔導帝国皇帝の近衛兵であり、かつて魔王マーディスを討伐した4人の勇者の一人である。50歳過ぎとのこと。帝国随一の魔法剣士として名高いが、その実力は未知数。
黒い軍服と帽子を身に付け、腰に下げたサーベルを見る限りではまさしく軍人といった風貌である。年相応に落ち着いた顔立ちと黒い口髭、彫りの深い顔つきは、皇帝の隣に立っていても色褪せない、歴戦の戦士たる威圧感を放っている。一方で、アルミナが勇気をもって話しかけた際には、老紳士のような優しい笑みを見せてくれた。
<アイゼン>
エレム王国騎士団第26中隊に所属する騎士。19歳。
騎士見習い時代からのユースの同期で、当時は同じ小隊に属していた。彼は第26中隊に、ユースは第14小隊に移ったことで、今は別の師の下それぞれの道を歩んでいるが、今でも互いを頭の片隅に置く親友同士。騎士としての手腕は確かなもので、ユースより先に騎士に昇格していた。
軽装の鎧と一本の騎士剣を携えて戦場を駆けるという、極めてシンプルな少年騎士としての風貌。短い黒髪がクセで一部はねているのは見習い騎士以来ずっとで、ユースもそれを見るたび相変わらずだと感じるらしい。
<聖騎士クロード>
エレム王国騎士団の精鋭。
かつて魔王マーディスに一度滅ぼされた、皇国ラエルカンの生き残りらしく、年齢は50半ばを過ぎている模様。フラスコをそのまま巨大化したような、鉄球を棒の先につけたような武器を振り回して戦うという、とんでもない怪力の持ち主。
11歳の子供にも劣るような身長、つんつんとんがった茶髪に少年のような童顔、会戦前にはお菓子を貪るという、出で立ちだけなら完全に子供のそれである。しかし戦場を駆ければ、黒く重々しい鉄鎧と鉄球棒を携えて大暴れし、魔物の軍勢を乱暴に打ち破っていく。かつてシリカが苦戦したヒルギガースを相手にしても、全く苦にしていなかった。
<精霊バーダント>
大森林アルボルに住まう精霊様。森を愛し、それと良き関係でいてくれる人間達に好意を抱いており、森を訪れた人間に土産を差し出してくれるなど、態度も非常に友好的である。ただし、その気になれば人里ひとつを遠くから滅ぼせる力を持つ存在でもあり、その絶大な魔力は他の追随を許さない。
小顔、長身、豊満な一部、絞られたウエスト、スレンダーな曲線美と、何拍子も揃った扇情的な体型。さらに胸周りを萌黄色のチューブトップで、腰周りを花や葉で編んだような装飾で隠しただけで、健康的な色の肌の殆どが晒された姿は実に不健全。宙に浮かぶ体からはふくらはぎまで届く翡翠色の長い髪が伸び、女性でさえも見惚れるほどの美しい風貌である。
<黒騎士ウルアグワ>
今は亡き魔王マーディスの率いた魔物の軍勢の中、筆頭であるとされた4匹の魔物、"魔王マーディスの遺産"の一角。全身を真っ黒な甲冑に包んでいる。戦闘時はまるで物理法則を無視するかのように宙を舞い、自身の軌道を自由自在に操って敵を翻弄し、相対する人間の首を刈る。残忍な性格と高い実力ゆえに恐れられ、プラタ鉱山でも数名の騎士の命を奪って去っていった。高い魔力の掌握も匂わせ、その手の内の底はまだ見せていない。
【その他の登場人物】
<ドラージュ=ハイヤーン=ルオス>
魔導帝国ルオスを治める皇帝。
70を超える高齢ながら賢政で帝国を統治する偉人であり、若き日には勇猛なる魔導士として戦場を駆けたこともあるという。群青色を基調とした王族の服を身に纏い、紫のマントを羽織っている。ルオスの象徴石であるジルコニアの大宝石を先端にあつらえた杖を所持。年老いて真っ白になった頭髪や口周りの長い髭は老いを如実に現すが、若者との語らいの場では気さくに笑う、好老人といった風格である。
<法騎士タムサート>
エレム王国騎士団第19大隊隊長。30代半ば。
"闘弓のタムサート"の異名を持ち、弓や銃の名手を多く擁する隊の長として、剣術と射手としての腕を等しく高く持つ人物。前衛を走る仲間をサポートする魔法も僅かながら扱え、前に立っても後ろに立っても戦える戦士である。
軽装の鎧で体と肩、草摺で腰を守り、後ろで黒い長髪をくくっている。弓を背負い、腰元に騎士剣を携えて戦場を駆け、ふたつの武器を状況に応じて自在に使い分ける戦い方を得意とする。
<プロン>
エレム王国騎士団第19大隊に所属する少女。18歳。
銃を武器に扱い、プラタ鉱山の戦役では、シリカも手を焼く難敵との戦いに援護射撃を実行する勇気を見せた。その後、短期異動期間内において、一ヶ月ほど第14小隊に身を置いたが、その際アルミナと仲を築いた。ひとつ年上のアルミナを先輩と呼び、髪型を真似るほど敬愛している。
初登場時は黒髪をツインテールに纏めていたが、先述の理由からのちにポニーテールに変更。白いアンダーウェアの上、赤のノースリーブジャケットを纏った姿は、腰下のスパッツ姿と併せて、動きやすさを重視していると思われる。アルミナよりちょっと背が低いらしく、恐らく女の子の中では平均的な身長。
<バルト>
エレム王国騎士団第26中隊に所属する少騎士。18歳。
第26中隊に短期移籍したユースと出会い、先輩後輩としての関係を築く。ユースにとっては、第14小隊入隊以来の初めての後輩。
ユースよりも少し背が高く、恰幅のある体格。周りからはその自重を活かした戦い方が良いと言われつつ、尊敬する隊長のような流麗な戦い方に憧れていた。ユースに出会い、そうした動きと腕力を活かした戦い方を両立する手法を教わり、今までとこれからの自分に自信を持つことに繋がる形となった。
【舞台設定】
<魔導帝国ルオス>
エレム王国からは距離のある、北方の大国。巨大な騎士団を擁するエレム王国にも劣らない軍隊を擁し、武器の扱いだけでなく魔法の扱いにも長けた戦士、あるいは魔導士の多くを擁する非常に安定した武力を持つ国家である。その一方で、王都は花と水に満ち溢れた美しい光景いっぱいで満ちており、強さと優しさを併せ持つ国家の在り方を、形にもよく表した魅力溢れる国と言える。魔王マーディス討伐にエレム王国が乗り出した際には、魔法都市ダニームに並び、遥か遠き国の窮地にも惜しみない助力を添えてくれた国家である。ゆえにこそエレムとダニーム、ルオス三国の絆は今も非常に強い。
<大森林アルボル>
ルオスの南東に位置する、果てを知らぬといわれるほどに巨大な森林。精霊バーダントが住まうという地でもあり、森の恵みを信仰する者達にとっては聖地と呼ばれる場所である。森林内には魔物と言える存在も散布しているが、浅い地では森に危害を加えぬ限り、それらも人間に危害を加えることはないよう精霊が手なずけている模様。
<アルボルの火>
一般には"綿雨"の名で知られる、世界有数の恐ろしき生物災害。
人里に突然、タンポポの種のような綿が降り注ぎ、それらが地面や家屋に着地したその瞬間、まるで早送りしたかのように植物が急成長して根を張る。そんな種が無数に人里に大量に降り注ぎ、木々と緑で呑み込んで滅ぼしてしまうという災害である。大森林アルボルの怒りに触れた人間達に対する、精霊の裁きであると言い伝えられてきたが、ここ最近は精霊の身に覚えのない範囲でそんなことが起こっていることも少なくない模様。そうした側面も手伝って、近年では注目を強く集める単語である。
<プラタ鉱山>
コズニック山脈の深いところにある鉱山。ミスリル鉱などの武鉱石に加え、銀や亜鉛や鉄などの便利な鉱物が未だに採取できる、今なお愛される大きな鉱脈一帯である。この鉱山に、魔王マーディスの遺産という人類の怨敵が潜んでいるという情報をもとに、エレム王国騎士団の軍勢が、この地に進軍することになった。戦役時には、鉱山内部にも山肌にも多数の強力な魔物が溢れ返り、兵力と精鋭を揃えた騎士団でもなお、苦しい戦いを強いられる形となる。




