魔法辞典:第151話~最終話
第10章から最終話までに披露した、魔法の数々の解説です。
※魔属性
あらゆる魔法に対応する、魔法障壁を作る防御魔法などはこれに分類される。
火の魔法を防ぐために水の魔力を上乗せするケースがあったりと、
一概に、限った色の魔力で発動するとは限らないためである。
また、要する魔力の属性が多すぎて、その定義が難しいような魔法も
ここに分類される。
※物理属性
術者が魔法の属性を指定する意識が薄く、特定の目的を叶えるための
魔法である場合、多くはこれに分類される。だいたいの場合、
自然普通の理を覆すために行使されるからである。
※合成魔法
複数の属性の魔力が発動において必須となる魔法。属性を表記する際、
主軸となる属性が頭に表記されやすい。例えば風火属性とあれば、
火の魔力より風の魔力を主軸においているというと解釈するのが一般的。
※エルアーティの魔属性魔法とアーヴェルの魔法は、最後に別個紹介です。
~第10章~
【土属性】地覆大波 …… 術者:ギガントス
津波のような土と岩石を敵に浴びせる魔法。重厚な重みを伴う多量の土が、角ばった岩石を擁して襲い掛かるこの魔法は、術者へ迫る脅威を阻むと同時、高い攻撃力を敵に迫らせる。
【風属性】強風術 …… 術者:チータ
強力な突風を起こし、敵や魔法を押し返したり、実体を持たない魂や魔力の流れを変える魔法。魔法としてはチータの兄、ライフェンが使っていた厄災風術と同じものだが、縁起の悪い文字列が好まなかったのか、同じ魔法を使うにしてもチータは魔法の名を変えたようだ。
~第11章~
【物理属性】迫幻刃 …… 術者:ルーネ
切断の魔力を手刀に纏い、打撃ではなく対象を真っ二つにする一撃を放つルーネの奥義。切断の魔力は少々大きく作ることも出来、手の届かない少し先までその威力を届かせることが出来る。シリカの勇断の太刀の参考になった技であり、ある意味ではこの術者ルーネが、シリカの魔法の師にあたる。
【雷属性】雷陣砲撃 …… 術者:エグアム
無数の稲妻を掌から放ち、敵を打ちのめす魔法。主に体が大きく、怯みにくい魔物を多角から稲妻で滅多打ちにすることで怯ませ、友軍によるとどめを促す使い方が主である。
【火属性】線熱閃 …… 術者:バルログ
非常に速い熱光線を対象に放ち、着弾場所を爆発を生じさせる魔法。光線そのものも鉄板をも焼き溶かして貫通する激熱を持ち、射程距離も長く、この魔法の使い手が敵に混ざっていると、それだけで普段以上に油断できない戦場になる。
【魔属性】無色化 …… 術者:ジャービル
常に術者の身を纏う魔力で、術者を襲うあらゆる魔法を無効化する、いわば極薄のバリアを張るような大魔法。まさに無敵と言いたいところだが、魔力そのものには術者の限界がある上、敵の魔法を退けるための魔力の色を変える精密さも要求されるため、時間制限があることと術者の比類なき魔法の腕が求められることは避けられない。
【火属性】炎弾雨 …… 術者:ダニームの魔法使い
火球を無数放つ魔法。一度の詠唱と発動で手数の多い火球魔法、という程度の認識で良いだろう。高位の魔導士が対立する戦場では、目立つ派手さほどの効果は見込めないが、無視できる魔法ではないので牽制としての効果は充分。
【火水属性】死火山の霧 …… 術者:アルケミス
可燃物なら真っ黒焦げになるほどの熱を持つ蒸気を放つ魔法。温度で言えば火に劣るが、それぐらいの熱でも生物の体を包めば充分な致死力には届くし、火の放つより遥かに広く拡散する上、攻撃範囲いっぱいが曇った蒸気に満たされるため敵の視界も妨げられる。必要な威力を確保した上で、利点も多い魔法である。
【土火属性】大地炎熱 …… 術者:エルアーティ
ひび割れた地面から溶岩を溢れさせ、足元から敵を凄まじい熱で襲う大魔法。地上の敵にしか効果をもたらせないものだが、魔力の加減次第で攻撃範囲もそれなりに広く出来、絶大な威力に比べれば投じる魔力も低いため、決定力に対し効率は良い魔法である。
~第12章~
【魔属性】魔導線 …… 術者:チータ
魔力の流動を助ける、魔力による糸を張るだけの魔法。わざわざ魔法にしなくとも、慣れた魔導士ならそれによって出来ることを自然とやっているものだが、敢えてこの魔法と今一度向き合うことで、その汎用性は再認識できる。魔力の糸を繋いだ相手との意志の疎通などに始まり、探せば探すほど応用性の高い基本魔法である。
【火属性】火龍乃舞 …… 術者:マグニス
鞭に超高温の熱を纏わせ、その鞭に敵を焼き切るほどの力を宿らせるもの。触れただけで肌を溶かされ、切り落とされる鞭を持つ人間が相手だと、魔物といえど気軽に近付くことは出来ない。
【金属性】白銀毒牙 …… 術者:エルアーティ
金属の蛇を召喚し、敵へ勢いよく迫らせる魔法。蛇の頭の形は、敵を貫きたい場合や敵を打ちのめしたい場合など状況に合わせ、尖らせたり丸めたりするのも自在である。長く伸びた蛇の体を操れば敵にとっての障害物にも出来るし、攻撃の後についてくる付加価値が見逃せない利点であろう。
【土水属性】泥塵噴 …… 術者:シェラゴ
水気を帯びた多量の砂を、凄まじい威力で放つ魔法。普通に敵にぶつけても、多量の砂の重みと勢いでダメージを与えることは出来るが、どちらかといえば土と水の魔力によって、敵の攻撃や接近を阻むことを目的に放つことが多い。
【土水属性】汚泥散弾 …… 術者:シェラゴ
大きな泥の塊を弾丸のように放つ魔法。岩石の弾丸を放つ岩石弾丸の、泥弾丸バージョンとでも言えばわかりやすいだろうか。泥の塊といえば岩石よりも威力が劣るように感じるかもしれないが、どのみちその質量が凄まじい速度でぶつかれば破壊力は充分である。むしろ水の魔力を得ているぶん、金属性の魔力に対する相性の良さを獲得し、迎え撃つ側も合成魔法が相手だと対応に適した魔力の扱いに手を焼くため、利点の方が目立つ。ちなみに土と水の魔力の両方に相性がいいのは木属性の魔力であり、この魔力の扱いを得意とする者は、術者シェラゴの相手に比較的少ない。シェラゴは空中戦を得意とする身であり、空中戦で木属性の魔法が活躍する機会はそう多くないためである。
【雷属性】雷陣包角 …… 術者:チータ
さらっと使っていたがチータの新しい切り札の一つ。4つの魔力の収束点を作り上げ、その4点を繋ぐ稲妻のラインを、四面体の各頂点を繋ぐ辺のように走らせる。その4点を不規則に動かすことで四面体の辺、稲妻のラインも大きく動くため、巡る高威力の稲妻の線が非常に読みにくい軌道で踊る。非常に広範囲を射程圏内に捉えた上で、対処の難しい稲妻を振り回すので、敵を一掃する役目とそれらの逃げ道を見失わせる役割を両立できる、戦場への影響力が非常に大きな魔法である。
【氷属性】氷塊山 …… 術者:ワーグリフォン
巨大な氷の塊を発生させ、投石器のような勢いで敵に放つ魔法。単純に物理的な破壊力が高い魔法である程度の話だが、近接戦闘を得意とするワーグリフォンのような魔物が、離れた相手にもそれだけの威力を届けられる魔法を習得していることが、術者の戦法の幅を広げる目的に非常に噛み合っている。
~第13章~
【水風属性】蒼雨の嵐 …… 術者:ルオスとダニームの魔法使い達
数名の魔法使いが魔力を集結させ、風雨と水柱で戦場を水でいっぱいにする魔法。結果的に敵を攻撃し得る状況は生じ得るが、本質的には敵の強大な火と風の魔法に抗うための魔法。魔将軍エルドルが広範囲に放つ火の魔力を一掃する目的にうってつけでもあり、何より登場と同時に焦熱の風のような魔法を当て逃げしていくアーヴェルがいる戦場においては、一刻も早く戦況を立て直すために必須の魔法であると言える。
【土属性】砕土の雪崩 …… 術者:魔物の軍勢
多数の魔物が魔力を集め、大規模な土と岩石の津波を発生させる大魔法。ラエルカンの胸壁に陣取った魔物達は、一気に守りを突き崩そうとした人類の大魔法を、この手段で迎え撃ち、相殺した。
【土属性】岩石甲殻 …… 術者:シェラゴ
卵の殻のように自らの周囲を包み込み、迫る魔法や刃など、脅威から自らを守る魔法。役目を終えた岩石の外殻は、のちに爆散させて岩石弾丸を周囲にばらまいて攻撃する役目も果たす。大将アーヴェルが好む効率性をよく模倣した魔法であると言えよう。
【物理属性】血爪斬 …… 術者:ノエル
振り抜いた爪から切断の魔力を飛ばす奥義。聖騎士グラファスの真空波斬によく似た魔法である。切れ味は同種のあらゆる魔法と比べても段違いであり、鋼鉄や岩石を傷つけるどころか貫通する威力さえ持たせ得る。生身で受けて生存できる奥義であるとは考えられない。
【物理属性】弦月血爪 …… 術者:ノエル
血爪斬と内容は同じだが、手の爪ではなく足の爪を振るって起こす、特大の三日月形の切断の魔力の巨大さから、先述のものとは区別して呼ばれる大技。大規模な切断の魔力は、地割れのような爪跡を大地に残し、建物をも真っ二つにする凄まじい破壊力を持つ。
【物理属性】正義の日出 …… 術者:ドミトリー
勇者ドミトリーの必殺剣。悪を穿つ特大の切断の魔力を、大剣を振るうと同時に放つ大技である。術者ドミトリーが邪だと定義したものに触れた時のみ魔力は切断力を得、つまりあらゆるものを真っ二つにしそうな派手さに反し、触れた魔物や悪しき魔力だけを切り裂き、それ以外はまったく傷つけない技である。勇断の太刀の威力に真空波斬の射程距離を加え、その規模を大きくした上で味方を巻き込まないという、各必殺技の利点を寄せ集めたような奥義と言えよう。
【物理属性】封魔聖剣 …… 術者:ベルセリウス
迫る脅威を退けるための魔力を騎士剣に纏う、勇者ベルセリウスの最大の切り札。その剣は、人間の力では到底逆らえないような力も緩衝し、魔力を切り裂くため、人間のベルセリウスが絶大なるパワーを持つディルエラと、剣と拳で打ち合うような光景を可能にするものである。いわば英雄の双腕の防御力を得た上で、敵の魔力も切り裂ける、盾の役割を同時に果たす剣を実現する魔法であると言える。
【氷属性】凍氷破 …… 術者:ルオスの魔導士
冷気の砲撃を放つ魔法。直撃した瞬間に敵を一気に凍らせ、その高圧の威力をそのままぶちかますため、凍らせた敵を一気に粉砕することが出来る。この手の魔法の中では、生物に対して致死力が高い魔法であると言えるかもしれない。
【魔属性】魔神復興 …… 術者:エルドル
断末魔の魔将軍エルドルが放った最後の切り札。無念と憎しみを自らの魂に込め、広大なラエルカンの都全土に降り注ぐ火の雨へと肉体と魔力を変えた大魔法である。霊魂が記憶する人類への怒りが体現するまま、降り注ぐ炎は各地の人類への爆撃となり、全土を火の海へと変えていった。
【火属性】炎竜召弾 …… 術者:ルオスの魔導士
赤き蛇の如き長い体躯を持つ、竜を模した炎を放つ魔法。高い威力だけではなく、まるで生き物のように柔軟な軌道で対象へと迫るその動きが特筆点であろう。
【雷属性】轟く空 …… 術者:リッチ
高空に雷雲を作り出し、そこから不規則に稲妻を放たせる大魔法。ある程度の狙いは絞るようだが、基本的に無差別放射の形で降り注ぐ稲妻は、狙いが非常に読みにくい。それへの対処に惑う人類に、追撃の魔法でとどめを刺す流れに繋げていく。勿論、稲妻そのものの威力も高く、牽制と高威力の攻撃を両立する危険な魔法であると言えるだろう。
【雷属性】雷岐大蛇 …… 術者:リッチ
不規則な軌道で空を駆ける、強力な雷撃を放つ魔法。まるで無数の蛇が多角から対象に迫るかのような魔法であり、逃げ場がないと一瞬でもうろたえれば、次の瞬間にはいくつもの雷撃の集中砲火を受け、全身を真っ黒焦げにされているだろう。
【炎属性】煉獄砲炎 …… 術者:リッチ
特大規模の炎の砲撃を放つ大魔法。火炎砲術などの魔法と比べ、熱量もその大きさも段違いである。威力は言わずもがな、象をも飲み込むその巨大な砲撃は、迫力だけで敵の戦意を削ぎ落とし得るほどのものである。
【土属性】地烈衝撃波 …… 術者:リッチ
地表を跳ね上げながら走る衝撃波を放つ魔法。ディルエラの列砕陣によく似たものである。接近する者を衝撃波に巻き込んで上空に跳ね上げてしまえば、狙撃手段に富む術者にとっては次の一撃で仕留めるのが容易い。
【土火属性】溶岩障壁 …… 術者:リッチ
文字通り溶岩の壁を、地表から噴き出させるような形で作る魔法。凄まじい熱を持つ壁であるため、接近してくる相手が勢いを殺しきれずに壁に触れるなら、それだけで相当なダメージを与えられよう。また、複数の属性を持つ特性上、防ぎやすい魔法属性が増えたのも大きい。木属性と金属性は火の魔力で退け、火属性と水属性は土の魔力で退けられるからだ。
【火属性】煉獄砲弾 …… 術者:リッチ
とてつもないサイズの火球を放つ魔法。火球魔法や業火球魔法といった火球を放つ魔法の最上位種と言えるだろう。上記の溶岩障壁を突き破る威力も併せ持つため、溶岩の壁に眼前を阻まれた敵に奇襲を放つには非常に適した魔法でもある。
【物理属性】優雅の翼 …… 術者:アルミナ
蒼い花弁を思わせる4枚の羽を背負い、空を舞う力を得る魔法。翼を動かして空を飛ぶと言うより、望む滑空軌道のイメージに沿って翼が動いてくれる魔法であり、慣性を除けば術者の望んだとおり、ある程度柔軟な軌道で空を舞うことが出来る。ベラドンナによる魔力の力添えあって実現する魔法であり、魔法使いとしては素人のアルミナが単身叶えるには高等すぎる魔法のようだ。
【物理木属性】翡翠色の勇断閃 …… 術者:シリカ
シリカが得意とする勇断の太刀に、大精霊の絶大なる魔力を上乗せし、途轍もなく巨大かつ絶対的な切断力を持つ刃を実現する大魔法。剣身の何倍もある巨大な切断の魔力は、振り抜いた軌道上にあるものをすべて断ち切り、翡翠色の三日月形の残影を大きく残す。
~第14章~
【物理属性】早世の使者 …… 術者:ウルアグワ
本来の所有者が既にこの世を去り、誰のものでもなくなった血を操って、敵の動きを生き物のように拘束する不定形の生物のようにする呪術。生存する者の流した血は操れないため、傷をつけた相手の体から流れる血を操り、逃げられない距離から敵を縛るということは出来ない。黒騎士ウルアグワの術と長らく信じられていたが、実はナイトメアが、つまりウルアグワの真の本体が行使する魔法である。
【火属性】火岐大蛇 …… 術者:マグニス
術者を中心に大爆発を発生させた直後、それによって押し出すかのように八本の炎の蛇を放つ奥義。蛇の操作は術者の自在であり、あらゆる角度から対象を追い詰められる。
【雷属性】監獄雷陣 …… 術者:ジャービル
術者の掌から、前方に拡散する稲妻を放つ魔法。主に一体の敵に対して行使する魔法であり、対象に向けて集まるように、しかしいくつかは対象を追い抜くようにと、あらゆる方向と角度から、対象を囲うように稲妻が走る構成になっている。
【水属性】悪穿の雫 …… 術者:ジャービル
大獅子も押し潰せるほどの水の塊を、上空から次々と降らせる魔法。発散せずに固定されたまま、超質量を携えて高空から落ちてくる水の爆弾は、着弾した瞬間に凄まじい破壊力で敵を粉砕する。
【雷属性】渦巻く雷鳴 …… 術者:ジャービル
螺旋模様を描く稲妻を放ち、結果的に前方広範囲を攻撃するため、敵の動きを制限した上で雷撃を差し向けられる魔法。攻撃範囲が広い事に浮気せず、単体の対象めがけて放つことで、その利点を最大限活かせる魔法だろう。
【雷光属性】雷魔の掌光 …… 術者:ジャービル
鳥かごのように敵を包囲する雷撃を放ち、逃げ場を失った敵を光線で撃ち抜く魔法。迫る敵を迎え撃つ魔法ではなく、自分から離れる方向に動く相手へと放つべき魔法だろう。
【雷属性】天罰 …… 術者:チータ
天然の稲妻を、たった一筋だけ召喚する魔法であり、チータの最後の切り札とも呼ぶべき大魔法。天然の稲妻は魔法で作り上げた稲妻とは比較にならないほどの速度と威力を持つため、敵に直撃させることが出来るなら、ほぼほぼ一撃必殺の威力を見込めるものである。
【火風属性】爆滅 …… 術者:アルケミス
爆発を起こす魔法の最高位に位置する大魔法。ただただ凄まじい大爆発を起こすだけの魔法ではあるが、その規模も破壊力も他の追随を許さぬものであり、発動したが最後、爆心地周辺のあらゆるものは消し飛んでいる。
【金属性】貫骨針 …… 術者:アルケミス
太い金属の針を放ち、敵の肉体を貫くだけの魔法。単純明快な殺傷能力を持つ魔法であり、恐らく魔王が使う金術の中では最も初歩的な魔法なのだろう。
【金属性】血塗られた獄 …… 術者:アルケミス
術者の指から鉄線のような弦が生じ、それらを操ることで多くを叶える魔法。数本を構えて盾のように扱うことも出来れば、半無限的に伸びる長さを利用して、檻のように張り巡らせることで敵の逃げ道を封じることも出来る。弦は細い糸に見え、触れたものを切断する切れ味を纏っているらしく、一度それに包囲されると脱出は極めて困難である。
【魔属性】終末の光 …… 術者:アルケミス
爆発魔法の究極形。火や風や光の属性の魔力のみならず、あらゆる色の魔力を混ぜ合わせることで、敵に対処される可能性を極力潰した上で、正しく絶大なる威力の大爆発を実現させる大魔法である。爆破圏内にいた者を跡形も無く消す凄まじい破壊力は、初見では賢者エルアーティですら対抗手段に辿り着くことが出来なかった。
~第15章~
【物理属性】地雷針 …… 術者:ルーネ
第11章でも使われていたものだが、第15章でその効果が明確になった魔法。跳躍し、両足で着地すると同時、その一点から地表をめくり上げて走る衝撃波を放つ奥義である。その気になれば地面を殴りつけることで発動させることも可能であるため、ディルエラの列砕陣とほぼ同型の奥義である。
【物理属性】華絶滅砕掌 …… 術者:ルーネ
賢者ルーネの最終奥義。敵に叩き込んだ破壊の魔力は、対象の体内を駆け巡り、内からずたずたに破壊していく。いかに表面上を堅固に固めようとも、鍛えようのない体内を次々に崩壊されてはどうにもならないため、生物が相手なら一撃必殺の奥義であると言えるだろう。
【物理属性】神獣復興 …… 術者:ディルエラ
ルーネとの最終決戦でディルエラが掴み取った切り札。要するに身体能力強化を実現する魔法なのだが、もとがすでに最強の肉体を持つディルエラが、それを叶えたシナジーは例えようもなく大きい。それはもはや、何者にも手がつけられない超獣の誕生と言っても過言ではないだろう。
【物理属性】撃滅裂衝破 …… 術者:ディルエラ
獄獣ディルエラの最終奥義。魔力を纏った掌で敵を攻撃するが、たとえそれが何らかの手段で防がれても、魔力だけが敵の守りを貫通していき、獄獣のパワーがダイレクトに敵の肉体を破壊するに等しい結果を導く。いわばこの掌に触れたが最後、生身の体をディルエラに殴り潰されるのと同じこととなり、人間相手なら間違いなく、誇張抜きの必殺の一撃となるだろう。
【魔属性】呪術穿ち …… 術者:ダニームの魔法使い
あらかじめ張り巡らせた魔力の糸を起点に、自分達周囲を取り巻く敵の魔力を打ち消す結界を作り上げる。ナイトメアが黒い霧で人類軍を包み込もうとした際も、黒い霧を抑圧して撃退するという高い効力を見せた。
【魔属性】夢魔復興 …… 術者:ウルアグワ
夢魔ウルアグワの秘奥義。自らの肉体を黒い霧に変えて、対象を呑み込み、夢魔の世界に引きずり込む。引きずり込んだ対象は肉体を失わされ、霊魂だけの存在となってウルアグワの暗黒空間に囚われる。その魂を、黒騎士としてのウルアグワの姿でなぶり殺しにすることを楽しむのだ。
【魔属性】運命超過 …… 術者:チータ
夢魔の世界に引きずり込まれたユースの魂を、最後の最後で現界に帰還させた大魔法。どういった理屈でユースの魂を引き寄せたなど定義されておらず、魔力線で繋がったユースの魂を、現界に取り戻すことだけをただただ漠然と願い抜いた末、それを実現させられた魔法である。チータ自身も、この魔法がどのような理屈で発動したのかはっきりとイメージすることが出来ておらず、今後再び発動させる機会は無いと思われる。なお、"ドゥーム"とは"運命"を意味する言葉の中で、特に"不運"を指す言葉である。
~第16章~
【地属性】地滅獣牙 …… 術者:ダニームの魔法使い
無数の岩石の槍、それも巨大なものを地表から乱立させ、大きな体躯を持つ魔物さえをも串刺しにする大魔法。迫り来る多数の怪物を最小の犠牲で打ち破るため、余力を残すことなど関係ない魔法使い達が、力を合わせて敵の兵力を削ぐために発動させた魔法である。
【火木属性】密林の火 …… 術者:アルケミス
対象の周辺空間上に無数の鬼火を出現させ、それらを対象めがけて蜂の集団のように向かわせる魔法。鬼火は着弾と同時に小爆発を起こす爆弾のようなものであり、多角から濃い密度で襲い掛かるそれらから逃げ切ることが出来なければ、跡形もなく体を炭にされてしまうだろう。
【金水土属性】水銀の隆盛 …… 術者:アルケミス
鉄砲水のように敵に襲い掛かる水銀を放つ魔法。敵を捉えた水銀はすぐに固まり、がっちりと捕まえた上でさらに強く食い込み、人の体を貫き圧殺してしまう。捕まってしまった場合、即座にその魔力を撃退することが出来なければ一巻の終わりである。
【魔属性】雷車獄 …… 術者:アルケミス
5つの雷撃発射点を超高速で回転させながら、対象へと多方向から稲妻を集中砲火する魔法。稲妻を構成する魔力の色が、発射点の数だけそれぞれ僅かに異なっており、しかもそれらが目にも止まらぬほどの速さで発射点を変えるため、対処するのに最も適した属性を用意して撃退することが非常に難しい。
【光属性】光魔の手 …… 術者:エルアーティ
やや珍しい、光属性単色の魔法。敵を焼き貫き、あるいは魔力と衝突すれば爆発する光線を多数放つ魔法。軌道は直線ではなく、まるで生き物のように流麗な弧を描くのが、光線を放つ多くの魔法とは異なる点である。
【火木水金土属性】雷滅炎 …… 術者:エルアーティ
豪華と稲妻が混ざった魔力の塊を放ち、触れた対象を消し炭に変える強力な大魔法。普通は火雷属性と表記されるものだが、エルアーティは火水木金土の5属性の魔力しか扱わないので、稲妻の魔力を生み出す際、あらゆる色の魔力を混ぜて実現させている。結果的に、対応した魔力を用意して防ぐのは、単なる火雷魔法よりも困難なものになっている。
【魔属性】絶対防御 …… 術者:アルケミス
魔法障壁を生み出すだけの魔法だが、アルケミスが作り上げたそれは術者の圧倒的な魔力によって非常に堅固に構成され、ありとあらゆる魔法を防ぎきる。大げさな名前に恥じぬ、まさに最強の防御魔法であろう。
【魔属性】抹消 …… 術者:アルケミス
自分周囲を取り巻く敵の魔力を吹き飛ばし、一掃する魔法。ある種、敵の魔法を打ち消す類の魔法に似ていると言えるかもしれない。アーヴェルやエルアーティのそれと同じで、しっかり周りの魔力を消し飛ばすに適した魔力を用意して実現させているようだ。
【物理属性】黒滅球 …… 術者:アルケミス
凄まじい引力を持つ真っ黒な魔力の塊を空間上に留まらせる大魔法。その黒い球体は引き寄せて触れたものを、たとえ白金のような物質であろうと粉々に粉砕する。黒い球体は一定以上のものを食い潰すまで消えず、意図的に飽和させない限りは理論上いつまでも戦場に残り続ける。
【金属性】飽和召喚 …… 術者:エルアーティ
アルケミスの黒滅球に対し、エルアーティが思いつきで唱えた魔法。とにかく多量の鉄屑を大量生産するだけの魔法であり、それらを黒滅球に大量に食わせて息切れ消滅を促した。それ以外の使い道があるのかはむしろ不明。
【金属性】黄金郷 …… 術者:魔王の魂
対象の足元の地表から、太く巨大な金属の牙を大量に突き立たせる魔法。圧倒的なパワーで対象を下から串刺しにするという、魔王の魔法の中ではシンプルなもの。
【金属性】倒壊 …… 術者:魔王の魂
術者の眼前に鉄の塊の壁を召喚する魔法。それは物理的に壁の役割を果たすと同時、直後には前方の敵に向かって倒れる。厚く頑丈、かつ目の前いっぱいに広がる幅広い大きな鉄壁が倒れてくる光景は、シンプルながら回避も撃退も難しい。
【火属性】炎熱斬 …… 術者:エルアーティ
燃え立つ刃を望む座標上に召喚し、振り下ろす軌道を描かせる魔法。単純に不意打ち気味に敵を焼き切ることも出来るため、エルアーティにしては珍しい攻撃的な魔法であるが、大掛かりな金属性魔法や木属性魔法を真っ二つにして撃退する使い方の方が、術者エルアーティにとってはしっくりくるようだ。
【金属性】白金大蛇 …… 術者:アルケミス
白金の塊を発射し、それは対象に届くより早く爆散、散った白金は水銀のようにひと繋がりの形を保ったまま、対象をあらゆる角度から突き崩す金属の蛇の頭となる。敵の前方視界を塞いだ上で、全包囲からの打撃を浴びせる魔法である。
【金属性】万力鋏 …… 術者:魔王の魂
術者の両サイドに城壁のような鉄の壁を召喚し、それを眼前で打ち鳴らすように勢いよく閉じ、前方広範囲内をまとめて叩き潰す魔法。鉄の壁の巨大さに伴い、非常に広い範囲を射程内に捉えられる魔法である。
【金属性】金界の征服 …… 術者:アルケミス
足元に地割れのようなひび割れを走らせ、割れた大地を島ごとに隆起、沈降させて地形を大きく作りかえる大魔法。大地の征服と酷似した魔法だが、名前が変わったのは戦場が、足元まで白金に染められたレフリコス城内であったからだろう。
【金水属性】水銀刃 …… 術者:魔王の魂
水銀の刃を操る魔法。柔軟な動きを為す刃はそれだけでも脅威的だが、水の魔力が僅かに含まれているのも特徴であり、金属性の魔力が最も苦手とする、炎属性の魔力にも強く抗えることが何よりも大きい。
【魔属性】世界破綻 …… 術者:魔王の魂とアルケミス
大魔導士アルケミスの切り札であった大魔法、終末の光にさらなる魔王の魔力を上乗せした、世界を揺るがすほどの爆発を起こす大魔法である。発動のために魔王はアルケミスの肉体を犠牲にし、その肉体に宿る精神と霊魂から溢れる魔力もすべてつぎ込んだため、まさしく魔王とアルケミスの全力を注いだ大魔法であったと言えるだろう。
【物理木火属性】紅玉色の勇断閃 …… 術者:シリカ
シリカの勇断の太刀に大精霊の絶大な木の魔力を上乗せすることで威力を大幅に強化、さらにそこへエルアーティが火の魔力を足すことで、木属性が不得意とする金属性の魔力に打ち勝つ力を得たもの。真っ赤な残影を描く巨大な一太刀の残影は、絶大なる魔力を持つ魔王の守りをも貫き、すべてを断ち切る力を持つ。
~エルアーティの魔属性魔法~
似て非なる魔法が多いため、並べる形で纏めて紹介です。
【魔属性】聖戦域 …… 初公開:第13章
エルアーティの代名詞とも言える大魔法。戦場いっぱいに張り巡らせた魔力の糸で、敵の魔力のはたらきを制限したり、罠のように仕掛けた魔力の糸に触れた敵を攻撃したりする。戦場いっぱいを敵にとって自由に出来ぬ状況にし、友軍を同時に守る環境に変えるという、"要塞のエルアーティ"と呼ばれた術者の名を最も体現させた魔法だろう。
【魔属性】取消 …… 初公開:第13章
エルアーティが最も得意とする魔法の一つ。自らに迫る魔法に触れた瞬間、その魔法を構成する魔力を解析、同時にその魔法を相殺する魔力を注ぎ込み、敵の魔法を打ち消すものである。初見でない、かつ自分を対象に放たれた魔法であれば、だいたいこの魔法で打ち消せる。ただし、この魔法の種を知る魔法使いであれば、魔力模様を悟られぬよう自らの魔法を工夫するため、相手の賢さ次第では上手くいかないこともある。
【魔属性】遅延 …… 初公開:第11章
敵の魔法を構成する魔力に介入し、発動を、あるいは進行を遅らせる魔法。無論それだけでは一時凌ぎにしかならないが、止めた魔法を回避してその行く先に別の対象が来る形を作れば、敵軍の同士討ちを誘発することも出来る。完全に打ち消す必要がないため、取消に比べて必要な魔力量が低く、エルアーティが比較的気楽に使っている魔法である。
【魔属性】捕捉 …… 初公開:第12章
エルアーティが攻撃魔法を放つ時、その対象を捕捉の魔力で纏わせる魔法。そのエルアーティが放った魔法は、捕捉した対象を追うように迫って逃がさない。
【魔属性】剥奪 …… 初公開:第13章
敵の魔力をせき止め、抑圧して押さえ込み、やがては敵に投げ返す魔法。せき止めるまでは遅延と一緒で魔力の消費量が少ないが、そこから捉えた魔法の術者の精神力で構成された魔力に反し、矛先を変えるために必要な魔力は打ち消す以上に必要となるため、総合的には取消以上の魔力を要する魔法である。エルアーティ目線でたいしたことのない魔法、それを相手にしか使いたがらない、疲れる類の魔法である。
【魔属性】丸め込み …… 初公開:第13章
網のようにまとめた捕縛の魔力で敵の魔法を捕まえる魔法。剥奪と比べて広範囲の捕獲が可能で、多数の魔法を同時捕縛することが可能なぶん、必要とする魔力量も、その精密さも格段に上がる。疲れるのでエルアーティも好んで使う魔法ではないが、敵の魔力を捕えてじっくり観察、解析したい時には、疲れを惜しまず行使する。
【魔属性】抑制 …… 初公開:第14章
聖戦域の一端であり、張り巡らせた魔力の糸から発した抑制の魔力で、敵が戦場に広く及ぼす類の魔力を鎮め、発動させないようにするもの。詠唱しなくとも常にそれは意識していることなのだが、この魔法の名を口にする時というのは、その抑圧に意識を強く傾けたことの表れである。
【魔属性】抵抗 …… 初公開:第14章
魔法に対する対策魔法ではなく、物理的な力を撃退する魔力障壁を生み出す魔法。触れた障壁に与えられた物理的な破壊力に対し、同じだけの力を返す障壁なので、与えられた衝撃以上のものを返すことは出来ないが、綺麗に敵の攻撃を相殺して無傷を叶えることが出来る。受けたダメージ以上の衝撃を返す魔法障壁も作ることは出来るようだが、そもそも接近戦なんかしないエルアーティなので、わざわざそこまでする機会がない。反撃手段なら別途用意した方が楽である。
【魔属性】濃霧 …… 初公開:第14章
濃い霧を発生させる魔法であり、包んだ対象の視界を塞ぐ。同時にその霧を構成する複雑な魔力が、霧に包まれた者が魔力に察する直感を遮り、そばに仕掛けた魔力の罠に気付きにくくする。そうして罠を踏む流れへと誘導するのだ。
【魔属性】発火 …… 初公開:第14章
聖戦域の一端。仕掛けた魔力に獲物が触れた瞬間、何もない空間から突然に発生する炎で焼く、いわばトラップ魔法である。あくまで自然爆破するものではなく、獲物が触れた瞬間に自分で起爆させねばならないものだが、自らの操る魔力の糸や罠は自らの肉体と同じほどに感覚を共有するエルアーティは、起爆のタイミングを見誤らない。自動起爆式にすることも出来るようだが、そうすると合戦場では味方に誤爆する可能性が高いので控えている。
【魔属性】解消 …… 初公開:第14章
取消が触れたものを打ち消す魔法であるのに対し、これは自分周囲を広く取り巻く魔力をまとめて打ち消すもの。発動範囲が広いため、取消と比べてより難易度が高そうに見えるが、結局は相手の魔法を相殺するに最適の魔力を用意できるかが根本的な課題なので、それが出来る限りは取消と難易度はそこまで変わらないらしい。
【魔属性】抗魔侵蝕 …… 初公開:第16章
敵の発動させた魔法に対し、自らの阻害用魔力を注ぎ込み、あるべき正しいバランスを崩す魔法。普通に打ち消してゼロにするのが難しい大魔法を、こうして不完全なものにし、あとは防御の魔力を展開することで難を逃れることに繋げる。
【魔属性】一掃 …… 初公開:第16章
戦場に残った、敵の残留魔力を一掃するための魔法。広義では取消や解消のような打ち消し魔法と同じものだが、現在進行形で発動している魔法ではなく、残った魔力を消し飛ばす時はこの詠唱で叶える。そうした使い分けで魔法の名を呼び分けることで、目的を叶えたい自らの精神が、より目的達成のために適した魔力を生み出すことを、エルアーティは知っている。
【魔属性】不落 …… 初公開:第16章
初見で未解析の魔法を凌ぐため、魔法障壁を作る魔法。名前が術者特有のもので、普通の魔導士が展開する魔法障壁と比べ、堅固さを除けばそんなに変わらない。二度目以降目にする魔法はそれ以外の方法で対処する手段を用意することが多いため、年をとるにつれて使用機会が減っていく魔法である。
【魔属性】魔壕 …… 初公開:第16章
自分以外の離れた味方の周りを、魔法障壁で包み込む魔法。上記の不落と異なるのは、守るものが自分か他人かというだけである。
【魔属性】排斥 …… 初公開:第16章
防御の魔力を展開するのは不落と変わらないが、これは敵の魔法の破壊力を受け流すことに重きをおいた魔法。自らに敵の魔法を届かせぬ守備力に、剥奪のような敵の魔法の流れを変える魔力を乗せたものと言えよう。解析はある程度進んでいるが打ち消すのが難しい、という魔法から、最効率で自らを守る目的で発動させる目的で使う。
【魔属性】暴露 …… 初公開:第16章
本来では視認できない対象、たとえば魔王の魂などに魔力の風を絡みつかせ、味方の目にもそうした存在が視認できるようにするための魔法。視認しづらい攻撃魔法も世の中には存在するため、それを警戒する戦場では、この魔法の魔力を戦場いっぱいに拡散させることで、見えにくい敵の魔法を味方に見えやすくすることもある。
【魔属性】撃退 …… 初公開:第16章
初見で未解析の魔法に対し、多量の抗魔の魔力を投じて、半ば力技で押し返す防御魔法。自分を守るためならば普通に魔力障壁を生み出せばいいだけだが、広範囲の味方をまとめて薙ぎ払うような魔法が初披露された際などは、これによって強引に守りにいくこともある。
【魔属性】均整 …… 初公開:第16章
敵の魔法によって、本来と違う形に変えられた周囲を、そうたらしめる魔力を打ち消すと同時、元の状態に戻す魔力でゼロの状態に立ち返らせる高等魔法。一掃の発展形であり、敵の魔力を一掃した後元の形に戻す魔力を注ぎ込む点が大きく異なる。
【魔属性】救出 …… 初公開:第16章
この魔法によって何が起こるか、というのを明確に定めていない魔法。詠唱は、危機的状況を打破するために何が必要かという結論が出るより前に口にすることで、自分や友軍の救出を願う精神により火をつける意義を持つ。その直後、ほぼ思いつきの突発的な救出方法を叶えるための魔力を注いだとしても、最も良い形でそのための魔法が実現するという仕組みになっている。
【魔属性】想起 …… 初公開:第16章
エルアーティのいたずら用魔法。賢蘭祭のおばけ屋敷で、客を怖がらせる仕掛けの一つとして採用された。対象の心の奥底のトラウマを探り当て、おばけ屋敷を包む自らの残留魔力にはたらきかけることで、対象にとって最も恐ろしかった経験を再現するというものである。
【魔属性】運命超過 …… 初公開:第14章
発動時点では何が起こるのか、エルアーティも全く定めていなかったという珍しい魔法である。どうしようとも逃げ場の無い、確実な死を迎えるであろう自らの運命を悟ったエルアーティが、その運命を超えられますように、と、半ば祈るような形で膨大な魔力を注いで発動させたものである。結果的にそれは彼女に異界への門を開かせる結果を作り出し、死を避けられぬはずの運命から彼女を救い出す魔法を実現した。なお、"フェイト"とは"運命"を意味する言葉の中で、特に"悲運"を指す言葉である。
【魔属性】聖地開拓 …… 初公開:第16章
運命超過が魔界への入り口を開いたことに対し、あくまで偶発的に起こったその事象を、今度は意図的に再現しようとしたエルアーティの新魔法。魔界レフリコスと現界を行き来する道を作ることに使われたとおり、異界への門を開くための魔法である。なお、"ロット"とは"運命"を意味する言葉の中で、特に"偶然的な運命"を指す言葉である。
【魔属性】崩界 …… 初公開:第16章
隔絶された空間に現存し続け、現界の魂を呼び寄せ、やがて再び魔王を生み出すであろう魔界レフリコスを不全の状態に封印した大魔法。魔界の定義とその本質に手をかけたエルアーティは、魔界レフリコスを構成するすべての存在を阻害する魔力を拡散させ、封印した。滅びたに等しい魔界とて、長い歳月を経ればまた再びその姿を取り戻すであろうが、それは魔界レフリコスが生まれるまでの、気の遠くなるような時間を要するだろう。少なくとも向こう千年、人類は魔界レフリコスを恐れる必要はないはずだ。
【魔属性】蘇生魔法 …… 初成功:第16章
現代においてエルアーティが人類初の成功を果たした、死者を蘇らせる奇跡の魔法。現世に残存したユースの霊魂を再び肉体に戻し、急速に治癒を促す魔力を注ぎ込むことで、魂が記憶する生存可能なユースの肉体を取り戻させ、蘇らせた。蘇らせたい対象の霊魂が、この世に留まっていることが成功の前提条件であったりと、賢者とてどうしようもない運の要素もまた強い魔法であるが、それも含めてまだ死ぬべきではなかったユースの運命力が強かったと、後のエルアーティは語っている。
~百獣皇アーヴェルの魔法~
あまりにも多すぎたので別個紹介です。
【風水属性】百渦狂嵐 …… 初公開:第13章
百獣皇アーヴェル最大の切り札の一つ。戦場いっぱいを魔力の嵐と雨で支配することで、敵に自由に動かせない空中戦を叶える。強く吹き荒れる風は魔力を伴うため、敵の魔法の軌道にも介し、自らを狙い撃つ魔法さえにも悪影響を及ぼしてしまう。術者は風の流れを好き放題に操れることから、風は邪魔になるどころか時には追い風にさえ変えられるため、風雨に晒され苦労する敵陣営に対し、自分自身はより動きやすく逃げやすくなるという最高のアドバンテージを戦場にもたらすことが出来る。気がかりなのは風雨によって味方も動きづらくなることだが、それは敵対陣営も同じことなので、不利益を招くものではない。むしろ種を知っている味方は心構えをあらかじめ持つことが出来るから、最も困るのは不意の嵐に晒される敵の方だろう。
【風属性】風神の掌 …… 初公開:第11章
掌に纏った巨大な風の塊を振るい、団扇のように広範囲を薙ぎ払う大魔法。敵だろうが魔法だろうが、力任せに振り払ってしまうため、攻撃用としてだけではなく危機回避用に汎用性が高く、アーヴェルがよく使う魔法の一つに数えられる。
【魔土属性】地属性結界 …… 初公開:第11章
その名の通り、土属性の魔力に大きく偏らせた魔力の結界を張る。土属性の魔力は火と水の魔力に対して相性が良く、その属性の魔法なら、どんな高威力でもどんなに対処しづらいほど拡散していても、遮り無力化することが比較的容易である。
【風属性】思念の渦 …… 初公開:第11章
敵の魔力が戦場に広く拡散している際、状況を上向きにするため、それらの魔力を吹き飛ばす風をまき起こす魔法。いわば敵が作った有利な状況を打ち消す、リセット用の魔法であり、生じる風により気流を乱す効果はおまけ程度のもの。もとは天敵エルアーティが戦場に張り巡らせた、聖戦域を一掃するために作られた魔法であり、昨今もエルアーティと同時に戦場に立てば使用頻度が高くなる魔法である。消してもやがては張り直される聖戦域ではあるが、一時一掃しただけでも、それを恐れずに済む時間はかなり楽が出来るらしい。
【水属性】積乱雲爆弾 …… 初公開:第11章
天高くに積乱雲を形成し、水蒸気の超集合体であるそれらを、水の塊に変えて高空から叩き落す魔法。水の塊は落下に伴い発散するものだが、それを魔力で縛りつけ、超重量の水の塊を無数降らせる形である。高空から速度を得た、重い水の塊の直撃は、受けたものを一瞬で粉砕する破壊力を擁している。
【魔火属性】螺旋溶炉 …… 初公開:第12章
炎の渦で術者を包み込み、敵からの魔法を呑み込み鎮圧する魔法。火属性の防御魔力は、木属性魔法や金属性魔法と相性がよく、その属性の魔法であればスマートに防ぎきることが出来る。また、防衛を果たした炎の渦は、爆散させることで周囲の敵を襲う火術に変えられるため、攻防一体の魔法としても優秀である。
【雷属性】黄銀の太陽 …… 初公開:第13章
鈍色の魔法球体を敵軍の集合地に投げつけ、それをはじけさせた瞬間に強烈な電磁波を撒き散らす魔法。隙間なく拡散する電磁波は敵軍すべての肉体を貫き、魔法で防いでも全身を痺れさせるほどの威力を持つ。そうして敵の動きを束縛した隙へ、空裂断裁のような致命的な魔法を放ち、とどめを刺すのがアーヴェルの常套手段である。
【風土火属性】噴煙弾幕 …… 初公開:第13章
自らを発射点に、粉塵を伴う熱風を四方八方に撒き散らし、敵の視界を防ぐと同時に熱を相手に襲い掛からせる魔法。熱風とともに火山灰を浴びせるようなもので、威力よりも窮地から逃れるアーヴェルを叶えさせることが厄介な魔法。ちなみに浮いて混ざっている土属性の魔力は、灰を生み出す役目に用いられている。
【物理属性】逆重力波 …… 初公開:第13章
地表ある一点を広範囲に渡って大爆発させ、その範囲内に立っていた敵を上空に吹っ飛ばす魔法。そのまま地面に叩きつけさせるだけでも充分な威力にはなるが、空中で身動きを取れない相手を狙撃したり、呼び寄せた魔物に落ちてくる人間を捕食させるなどして、決定打に繋げる使い方をアーヴェルは好む。
【光属性】閃光身 …… 初公開:第13章
術者から強烈な光を発し、敵の目をくらませるというもの。逃亡力に秀でるアーヴェルにすれば、そうして敵の動きをまとめて止められた数秒だけで、比較的安全な位置取りを作れる。暗い環境下であればその効果は高く、嵐を起こせば自ずと空は暗くなるため、百渦狂嵐を発動させた空においては、環境とよく噛み合った魔法となる。
【風属性】昇斬流 …… 初公開:第13章
真空の刃を伴う竜巻を自分周囲に発生させ、自らの肉体を真上に素早く逃がすと同時、真空の刃をばらまいて近距離の敵を切り裂く。迎撃と逃亡を一度の魔法で叶える効率を併せ持つ、合理性重視のアーヴェルらしい魔法である。
【風属性】神の息吹 …… 初公開:第13章
岩石も形を歪めて割れるような、超高圧の風を上空から地上広範囲に放ち、敵をまとめて押し潰す大魔法。人体など一気に腰砕けに地面へと叩き潰すことが出来る威力であり、まともに受けては再起不能は必至である。
【木属性】毬玉爆弾 …… 初公開:第14章
人間大のサイズを持つ、無数のトゲを携えた木の実を敵の密集地に放り込み、炸裂させて針を爆散させる魔法。自らの魔力を擁する雨の中で行使する場合、水の魔力が木の魔力を増幅させるため、状況を整えて放てばその強襲性はさらに増す。
【土水属性】泥波 …… 初公開:第14章
突如空中に生じた特大の泥の塊を、対象めがけて浴びせかけ、呑み込んで地上まで叩き落とす魔法。性質上、空中戦向きの魔法だろう。高空で泥に全身を呑み込まれ、身動きすらとれずに地面に叩きつけられた者は、ほぼ間違いなく肉体を粉々にされ即死に至る。
【氷属性】極光幕 …… 初公開:第14章
急冷凍の魔力を虹色のカーテンのように召喚し、触れた敵を一瞬で凍らせることの出来る魔法。それで相手を仕留めるのは、見えた種に敵が突っ込んでくれる期待が出来ないためあまり現実的ではないが、大粒の雨が吹き荒れる嵐の中で発動させれば、虹のカーテンに触れた雨が氷の弾丸に変わるため、天候任せに氷の弾丸を降らせる起点を作り出すことが出来る。
【雷属性】昇雷陣 …… 初公開:第14章
雷撃球体を地上に向けて放ち、着弾した地点から上空に向けて無数の稲妻を放つ魔法。そもそも稲妻の魔法は上からか、あるいは狙撃的に術者から放たれるのが常識の範疇なので、真下から放たれる稲妻は意識の外から来る広範囲攻撃となり、咄嗟に対処するのが難しい魔法として有力。
【土属性】弾岩頭蛇 …… 初公開:第14章
人をまるまる呑み込めそうな巨大な大蛇、それを模した岩石の塊を対象に向けて放つ魔法。蛇の岩石頭で対象を粉砕することが最初の狙いであり、それを終えれば蛇の長く太く重い体をのたうたせ、広範囲を薙ぎ払う効果をその後に続けていくことが出来る。
【光属性】矢如し光陰 …… 初公開:第14章
術者から全方位に向け、着弾した対象を焼き切って貫く光の矢を放つ魔法。矢の速度も相まって、そもそもの回避や対処が難しい魔法だが、何より発射の瞬間に術者がまばゆい光を放つせいで、目をやられた側の対応が余計に遅れてしまう。
【光属性】陰陽の虹 …… 初公開:第14章
上記の矢如し光陰が術者から光の矢を放つのに対し、こちらは光弾をばらまく魔力球体を作り出し、そこから全方位に射撃をばらまく作り。光弾が空を駆けた後には箒星のように光の残影が残り、空を光と陰の縞模様に染める。また、遠方に投げたその砲台に、アーヴェルが接近してそれを背後に構える形で、望む位置取りを取れる。光弾をばらまく危険な砲台に、大き過ぎるリスクを背負って近づける者がいなく、誰もアーヴェルを追いかけられないからだ。
【雷属性】空の怒り …… 初公開:第14章
術者から全方位に、逃げ場無き電磁波を放つ魔法。まるで一瞬空を揺るがすかのような衝撃とともに、すべての敵に回避させぬ痺れを与える。ほぼ確実に全ての敵に必中、ただし攻撃力は皆無に近い魔法である。ただし先述の陰陽の虹のような砲台を先に設置しておけば、怯ませた敵を間髪入れず、隙だらけのところを撃ち抜ける。
【氷属性】氷河決壊 …… 初公開:第14章
敵の放った魔法を抑制、さらに凍らせ、それが敵の術者の手元などから伸びる魔法であれば、一気に敵のもとまで辿るように氷を迫らせる。炎の魔力ですらも例外ではなく、術者と接点を持ったまま放たれる魔法に対しては、逆に手痛いカウンターを返すための魔法となる。
【氷属性】氷結星 …… 初公開:第14章
空中座標上に無数の氷の弾丸を召喚し、対象へと四方八方に集中砲火する魔法。雨が降っているなら、雨粒を凍らせるだけで弾丸が作れるので、魔力の消費も抑えられる。多角から対象に突き刺さった氷の弾丸は、対象の体温を奪うどころか、術者の氷の魔力を受け取って肥大化し、やがては対象を氷漬けに近い形にしてしまう。空中で体を氷漬けにされてしまったら、もはや為すすべなく地上に真っ逆さまとなり、その後の運命は言わずもがなである。
【風土属性】風籠 …… 初公開:第14章
空中に多数の岩石の壁を作り出すことに始まる魔法。それらを一気に自分へと引き寄せることにより、その軌道上にいる敵を軒並み叩きのめすことが出来る。さらに自分まで到達した岩石の壁は、今度ははね返すように全方向に発射し、往復二度の岩石の壁で周囲を乱射する形を取る。
【風雷属性】接空の風 …… 初公開:第14章
自らの周囲を特別な魔力の風で纏う魔法。その風は術者に触れた稲妻を受け流し、大気へと逃がしていくというもので、この魔力を纏う限り一切の稲妻によるダメージを受けない。完全なる雷属性魔法のみに対する対策魔法で、他の属性の魔法には何の効果も無いが、雷属性魔法に対してのみならばほぼ完全な耐性を得ることが出来る。
【水属性】天海乃使 …… 初公開:第14章
巨大な水の蛇を作り上げ、それを突撃させる魔法。あるいはその長く太い体を振り回させ、質量を持つ巨大な尾で敵を薙ぎ払うことが出来る。水属性であることを活かすなら、金属の蛇とは異なり火属性の魔力に耐性が強いことや、敵の水の魔力さえも取り込んで蛇が肥大化させられることに留意するべきだろう。まして激しい雨の中で唱えようものなら、蛇は自ずと注いだ魔力以上に肥大化してくれる。
【水氷属性】雲魔覚醒 …… 初公開:第14章
大気中に氷晶を生み出し、結集させ、交戦空域すべてを呑み込むほどの、巨大な高密度の雲を生成する。雲の中は尖った氷晶の点在する危険な空域だが、中を舞う者に無数の障害物をもたらす程度のものでしかない。生み出した高密度の雲を利用できる、次の魔法に繋げるといった使い方が最も有用だろう。
【光属性】万華鏡獄 …… 初公開:第14章
術者から全包囲に、被弾対象を焼き切る光線を放つ。特にこの魔法で放つ光線は、光が本来持つ性質に近いものを持っており、条件が揃えば反射も屈折もするものである。これを上記の雲魔覚醒で生み出した高密度の大雲の中で発動すれば、氷晶を通過した光線は不規則に軌道を曲げる上に、術者の放つ光が氷晶で乱反射され、至る所がまぶしく光り、目くらましの役割も果たせるようになる。ほぼほぼそういった併せ技でこそ真価を発揮する魔法だろう。
【木風属性】強襲樹針 …… 初公開:第14章
空中座標上に無数の枝の矢を召喚し、さらに吹かせる風で空域を舞う危険な矢とする魔法。軽い枝は風の影響を受けやすく、重みは岩石に劣るものの、人体に突き刺さる威力は確保した上で軌道を操りやすいものである。嵐の中で唱えるなら、風を自分で生成する必要がないため、魔力の消費も抑えられるだろう。
【火属性】空域侵略 …… 初公開:第14章
触れれば大爆発を起こす、機雷相当の魔力をばらまく魔法。熟達の魔法使いや魔導士がみすみすこれらに触れてくれる期待はしづらいため、自らを追う者に対する道を塞ぐ用途で使われることが殆ど。起爆は自分の意志で好きな時に出来るため、ばらまいた魔力も一応無駄にはならない作りになっている。
【土属性】岩獣牙 …… 初公開:第14章
両手に一枚ずつ、巨大な一枚岩を装着し、それで敵をばちんと挟み込んで圧殺する、見た目には力任せに敵を破壊する魔法。アーヴェルらしからぬ魔法に見えるが、魔力で操る一枚岩は術者にとっては軽々と扱うことが出来、挟み込むだけでなく自在に振り回すことも出来る。ただ、そういう使い方をするなら、風神の掌のようにより巨大かつ形状も柔軟な魔法の方がいいだろう。
【風属性】鷹風刃 …… 初公開:第14章
鷹の形を模した、真空の刃が渦巻く塊を放つ魔法。その真空の刃の塊には、狙い澄ました対象を視認する能力を与えており、一度発動させれば最後、魔力の続く限り、あるいは相殺されない限り、定めた対象を自立して追いかける。対象に届けば、無数の真空の刃で構成された全体像に取り込んで細切れにしてしまう。
【火水木金土属性】五行走陣 …… 初公開:第14章
大型火球、水の砲撃、イガだらけの巨大な殻つき果実、黄金の刃、泥を纏った石槍をあらゆる方向に放つ、見た目にも非常に派手な魔法。あらゆる属性の魔法が飛び交うため、ひとつを防いでも別角度から別の属性の魔法を受ければ、防ぐに最適な魔力の色を練るのが間に合わず、不完全な魔法障壁を突き破られてしまう。各個の属性弾丸がアーヴェルの高い魔力によって、非常に高い威力を擁していることが、その対応の難しさを一層実現させている。
【光火水属性】輝く反色 …… 初公開:第14章
自らの周囲に火と水の魔力を展開し、幕のように防御を叶えた後、光とともにそれを広げ、水と炎のしなる鞭のようにして敵へと襲い掛かる。目くらましの光とともに焼き切る炎の鞭と重量のある水の鞭で広範囲を薙ぎ払うため、防御から一転かなりの強襲性を実現する魔法である。
【物理属性】重災 …… 初公開:第14章
重力波を放ち、敵を地上へと叩き落す魔法。上昇する中、下方から追いかけてくる相手を撃退するには絶好の魔法である。重力波に支配された空間を作り上げることで、その空域を飛行不可能にしてしまう、という使い方も出来る。
【雷属性】空の裁き …… 初公開:第14章
百獣皇アーヴェルの魔法の中でも特に強力な大魔法。上空へと投げた魔力の塊により、雷雲を刺激し、魔法ではなく天然の稲妻を降り注がせる。自然発生する稲妻の速度はとても目で追えるものではなく、気まぐれな雷雲の歯牙にかかれば抗う暇もなく、真っ黒焦げにされてしまうだろう。術者のアーヴェルにも危険が及び得る魔法であるはずだが、そもそも稲妻を発生させる段階である程度の制限をかけており、稲妻が駆けない空域を知るアーヴェルは、その位置取りに逃げ込む形で自らへの被雷を回避する。
【風火金属性】金爆風炎 …… 初公開:第14章
自らの位置を爆心地とする大爆発を起こし、風と炎を全方位に放つに加え、熱を帯びた鋼の刃を飛散させる。爆風と熱のみならず実弾を伴うその爆発は、近づいてきた者に手痛く危険なカウンターを放つと同時、自らの肉体を爆風に乗せて逃す目的を果たすことが出来る。
【魔属性】羅刹復興 …… 初公開:第14章
百獣皇アーヴェルの最後の切り札。自らの筋力と魔力を最大限まで高め、風貌も猫のそれから小さな獅子に近い、たてがみを擁する姿へと変わる。発動したが最後、発動前よりも凄まじい魔力とパワーを持つことが出来るが、この姿でなお追い詰められたらもう後に切り札はなく、それこそ命の危機が真に迫るため、発動後のアーヴェルは敵の殲滅ではなく、逃亡の実現のために全力を注ぐようになる。




