登場人物紹介:魔王軍限定
魔王軍に属したキャラクターに情報が増えたので、
その組織の全体像も含めての再紹介です。
【魔王近衛軍】
魔王とその側近であった魔将軍、それを中心に纏まる主君のそばで仕える魔物達の集まり。基本的に魔王のお膝元に近い場所で活動するが、戦役の際には魔将軍エルドルに率いられる形で出陣する。
<魔王アルケミス>
現代における魔王軍の元帥。二度目のラエルカン崩落に伴い、百獣皇アーヴェルに葬られた大魔導士アルケミスであったはずだが、ラエルカン奪還戦争の最終局面にて突然姿を現した。
姿形は人間であった頃のアルケミスと変わらないが、絶大な魔力を伴う大魔法の矛先は人類に差し向けられ、勇者ドミトリーをその手で葬った。その後、賢者エルアーティを消滅させ、ラエルカン戦役の終了とともにコズニック山脈へと去っていった。
<魔王マーディス>
かつて人類を苦しめた、長き戦いの諸悪の根源。
無数の魔物を率い、人里を支配するための侵略戦争を仕掛け、人類と長い戦争を繰り広げてきた元帥である。11年前に討伐を果たされた存在であり、アルケミスが魔王としてこの世に顕現した現在においては、先代の魔王と呼べる存在だろうか。落命したのちも、配下であった4体の強力な側近が"魔王マーディスの遺産"と呼ばれ、それらの完全掃伐を望む人類との熾烈な争いを繰り広げていた。
<魔将軍エルドル>
魔王マーディスが最初に作った3体の魔物の一体。最も魔王に近しい思想の持ち主で、意に沿わぬ者を破壊する"支配"を体現しようとする。
火と風の魔力を操り、地獄の業火を広範囲に放つ魔法を得意とし、侵略した人里や敵対する人類を火の海で呑み込んでしまう。魔王軍の中でも最も強い破壊願望と、広い壊滅力を持っていたため、最も多くの人間を殺めた魔物といえばこの存在になるだろう。
"魔王マーディスの遺産"の一体に数えられていたが、5年前にシリカ達の手によってついに討伐。しかしウルアグワやアーヴェルの手によって現代にて復活し、ラエルカン再崩壊を強く促す一将として参戦。人類によるラエルカン奪還戦争では、やがて滅びる時間制限つきの命であることを認めつつ大暴れしたのち、勇者ベルセリウスやクロムによって討伐された。
<魔王近衛軍に属する魔物>
・悪魔属:ガーゴイル、ネビロス、バルログ
・騎人属:ケンタウルス、スフィンクス、ワーグリフォン
・小悪魔属:インプ、グレムリン
魔王のそばに仕える悪魔属と騎人属、それらに従事する小悪魔属というヒエラルキーが明確に確立していた模様。小悪魔属の方も、貴族的な種族に仕える身であることから、ある程度周りに大きな顔が出来、魔物社会全体の中においては楽を出来た方の立ち位置だった。魔王や魔将軍エルドルが共々いなくなると、最も魔王の意志を色濃く受け継ぐウルアグワを新たな主君とし、黒騎士軍に属していた。
【獄獣軍】
獄獣ディルエラを中心に纏まる、力自慢の魔物の集まり。黎明期には魔将軍エルドルや百獣王ノエルが率いていた軍勢だが、ディルエラの参入によって指揮権が移った。
<獄獣ディルエラ>
魔王を除き、魔王軍最強と呼ばれ続けた魔物。魔王マーディスが討ち果たされた後は、最強の魔物という肩書きを不動のものとした。
無比の怪力と速度を誇り、接近戦における格闘によって、あらゆる敵を葬ってきた。技も少ないながら、風向きの悪い状況を打破するものを的確に身につけており、どんな状況にも対応できる守備力を併せ持つ。また、地を響く音を非常に敏感に聞き分ける能力に長けており、地に足をつけた存在であれば、それが何か、誰か、かなり遠くの位置であっても把握できる。強き人間にばかり目をつけて仕留めようとする傾向があり、人類の大駒の多くをディルエラに削いでいく日々が、人類にとっての苦闘を長引かせた一因と言っても過言ではない。
魔王に生み出された存在ではなく、生まれも不明の流れ者であり、コズニック山脈に差しかかった際に魔王に目をつけられ、軍門に下る形で魔王軍に参入。実力を認められ、魔王からも一目おかれていた存在であったため、やがては敬語を使わずに魔王マーディスと話せた唯一の存在だったという。
<番犬アジダハーカ>
獄獣の片腕であり、ディルエラを父と仰いだ存在。怪馬のような仮面を常に身につけているが、その下の頭はまるで人間の頭を3つ、溶かして混ぜ合わせたようないびつなもの。3つの顔はそれぞれ別方向を向いており、ただれたような顔だが確かに表情を持っている。
太い筋肉を鎧のように纏う全身は、見た目どおり、あるいは見た目以上のパワーを実現し、身のこなしも巨体に似合わず素早い。さらに肉体を鋼のように硬質化させる力を持っており、身体能力と力を駆使し、獄獣の片腕として数多くの人間を接近戦のみで葬ってきた。
生まれはラエルカン、"渦巻く血潮"の技術を施行された胎児をアーヴェルが回収し、自分達の配下として誕生させたもの。よって厳密では魔物ではなく、"魔物じみた風貌を以って生まれた人間"とするのが正しい。同種の存在がいない魔王軍の中において孤独な半生を歩んでいたが、一人ぼっちにせずに近くにい続けてくれたディルエラとアーヴェルのことを親のように慕っており、戦果を求めるのも両者に報いたいがゆえの行動だった。ラエルカン魔導研究所跡の裏、墓地跡にてガンマとの決戦の末に敗れるも、同じ生まれの星を持つガンマとは最後に心を通わせ、友人に恵まれた幸福を胸に息を引き取った。
<ゼルザール>
巨人属ギガントスの一体。魔王マーディス存命の時代から名を与えられ、配下を指揮する権限を与えられた、獄獣軍の中でも知能が高い一体である。
上記の首領格とその片腕に比べればやはり劣るものの、高い格闘能力と身体能力はやはり手強く、加えて大規模な地震を起こす魔法を行使する手腕が、人類を長く苦しめてきた。指揮官となってからは、地震魔法で配下をアシストし、自分は安全な場所から指揮する立ち回りを得意としていたため、討伐どころか接近の機会すら設けることが難しかった。現代のアルム廃坑において勇者ドミトリーに討伐されるまで、非常に長い間、厄介な敵将として記憶されたまま生存していた。
<獄獣軍に属する魔物>
・ゴブリン属:ゴブリン、コボルド
・オーガ属:オーガ、オーガキング
・竜戦士属:リザードマン、ドラゴンナイト、ドラグナー
・巨人属:トロル、スプリガン、ギガントス
・ミノタウロス属:ミノタウロス、ビーストロード
・ギガース属:ヒルギガース、グラシャラボラス、エルダーゴア
共通する特徴としては、体が大きいことよりも、二本足で二本の腕、各自なんらかの武器を手にしている点の方が強い。人類を遥かに上回るパワーを持つ魔物の集まりであるという点は、その次に色の強い特徴と言えよう。その多くがコズニック山脈の各地に広く分布する魔物達であり、山脈深くを歩く際には遭遇のリスクを常に意識しなくてはならない。
【黒騎士軍】
黒騎士ウルアグワが指揮する、魔法使いや屍人を集めた軍勢。操る魔物の種族の数は少ないが、死体を再利用して作れる屍人やゾンビが大半を占めるため、兵の頭数不足に困ったことはないらしい。一度の合戦内では有限の兵力に違いないが、日を改めればすぐにまた膨大な兵力を復活させた軍勢として現れるため、迎え撃つ側にとっては先の見えなさが嫌になる集団である。
<黒騎士ウルアグワ>
魔王マーディスが最初に作った3体の魔物の一体。最も魔王に近しい思想の持ち主で、屈服させた者を意のままにする"支配"を何よりの楽しみとする。
全身を漆黒の甲冑に纏い、洗練された剣術で戦うが、甲冑の中身は空っぽで、首を刎ね飛ばそうがバラバラにしようが、やがて人類の前に再び現れる、不死の魔物として恐れられていた。それもそのはずで、甲冑だけが動く"黒騎士"とは傀儡に過ぎず、その本質は愛馬として知られていたナイトメアにあり、あちらを討伐しない限りウルアグワは決して死滅しないのだ。その秘密が人類の前に解明されてこなかったため、討伐への希望は閉ざされたままだった。
黒騎士としての能力は、重力を無視したかのような動きで素早く舞い、あらゆる角度から敵に騎士剣を迫らせる異能技が最も名高い。
<夢魔ナイトメア>
長く黒騎士ウルアグワの愛馬として知られてきた漆黒の怪馬。空を駆け、黒騎士ウルアグワの乗り物として動くことが多いが、自身も時には素早く獲物に襲い掛かり、必要以上に残忍な形で人類の命を奪う残虐性を見せる。
その正体は、黒騎士ウルアグワに忠実な愛馬という認識とは逆、"黒騎士という傀儡を操るウルアグワの本体"である。その本質を踏まえてこの存在を語るなら、"夢魔ウルアグワ"と形容した方が適切と言えるかもしれない。自らを黒い霧に変えて飛散させ、突如別の場所に姿を現したり、それと同じ霧を吐き出し獲物を取り込もうとする傾向が見られた。
また、既に絶命した者が流した血を操り、まるで奇怪な生物のように敵に絡みつかせ、動きを封じる技も持つ。これは長らく黒騎士ウルアグワの魔法と信じられてきたが、その魔法を行使していたのは黒騎士ではなく、その際常にそばにいたこちら、ウルアグワの本体である夢魔である。
<凍てついた風カティロス>
かつては法騎士スズの名を馳せた人物だったが、部下の裏切りによって黒騎士ウルアグワの前で落命した人物。その後、ウルアグワの手によって再び蘇り、その後は人間を見限る思想から黒騎士の片腕となった。人類に対する失望と憎しみの記憶を深く抱いたままの魂、それを基盤に蘇生させられたため、人類に対する殺意は本能レベルで失われることがない。彼女が絶対に裏切らないことを、ウルアグワが強く確信していたのは、それが根拠である。
法騎士であった頃と同じく、風のように素早く駆け、両手に握った短剣で敵を仕留める技術に秀でる。武器のリーチが短いぶん小回りは利くので、卓越した武器捌きで人類相手には防御力も高く、相手の懐に飛び込んでしまえばこちらのもの、という戦法を得意とする。暗殺者という異名で恐れられた時期も長かったが、それは戦闘に従事する際に雑念を捨て、無心で敵に迫れる法騎士スズの精神力が礎にある。殺気すらも相手に悟られぬまま素早く近付き、気付いた時には脈を断たれて絶命させられた人類の兵が多かったことに、暗殺者という二つ名の所以があった。
ゼーレの街、城砦都市レナリックにおいてシリカと二度交戦したが、ラエルカンで彼女との決戦を迎えかけた時、かつて憧れた法騎士スズとシリカが戦うことを阻むマグニスが割って入り、彼との戦いがカティロスにとっての最後の一戦となった。
<サイデル>
アルム廃坑の奥地に封印されていた大怪物。ウルアグワに作られた存在だったが、見境なく魔物達をも食い漁り、自らを構成する骨の一部に変えてしまうため、アルム廃坑の地下深くに隔離されていた。
無数の骨を操り、獲物をその刃や牙で仕留めるのが基本的な攻撃手段。また、燃えるものがない岩石の地面にも燃え立つ、地獄の炎を放つことも出来る。特筆すべきはそのしぶとい生存力で、自らを構成する骨は一つ一つが本体であり、たったひとつでも破壊されていない骨があると、それが促す再生能力によって、やがて元の巨大な骨が組み合わさった化け物の姿を取り戻してしまうことにある。完全に討伐するには、すべての骨を一つ残らず破壊するしかない。さらに、殺した獲物の骨をも自分の体の一部に取り込んでしまうため、犠牲者を生み出せば生み出すほどに無限に育っていく、恐ろしい怪物であると言えよう。
友軍の魔物さえをも取り込もうとする見境のなさが、魔物達にとっても厄介な要素であり、長くアルム廃坑の奥深くに封印されていたのだが、進軍してきた人類を迎え撃つ切り札として解き放たれた。シリカとユース、ディルエラの短期同盟によって討伐は果たされたが、間違いなくシリカとユースの二人だけでは討伐出来なかったであろう怪物である。
<ウルリクルミ>
数年前に既に討伐されていた魔物。ゴーレム属のサイクロプスを指揮していた魔物であり、魔物としての特徴もそれに近かったらしい。種族としては、サイクロプスの上位種"タロス"と分類されていた。三階建ての建物相当の巨大な体躯は鈍重そうに見えて、動きは素早く、大きな岩石の塊のゴーレム達を指揮し、自らも単眼から放つ魔力で人類を苦しめた存在だったという。討伐したのは当時の法騎士、現在の勇騎士であるベルセリウス。
<黒騎士軍に属する魔物>
・屍人属:デッドプリズナー、ソードダンサー
・魔術師属:ジェスター、ダークメイジ、リッチ
・ゴーレム属:サイクロプス、タロス、ゴグマゴグ
頑強なゴーレム属、数にものを言わせて相手を困らせる屍人属を並べて突撃させ、そこに後衛の魔法や、他軍勢の波状攻撃をかぶせる形で敵対陣営を包囲、圧殺する戦術を得意とした。
魔物をゾンビ化させた存在もいくらか混じっており、ギガース属の魔物を歩く屍に変えたギガースゾンビなどが顕著な例。また、アルム廃坑に侵入した人類を熱病に侵す創造寄生生物のクロリィや、それによって操られたイビルスネイルなど、時として黒騎士の意志のもとに動く魔物が足されることはある。
【百獣軍】
魔王軍の中でも最も多くの種族を、頭数を束ねた軍勢であり、一兵ごとの決定力は他の軍に比べて劣る点が目立つものの、数にものを言わせて敵を押し潰す戦い方が脅威的な軍勢。
<百獣皇アーヴェル>
小さな体で百獣軍を束ねていた大将格。
自由自在に空を駆け、絶大なる魔力をもとにあらゆる大魔法を唱える、魔王軍において最強の魔導士である。風の魔法を最も得意とするが、あらゆる属性の魔法を自由自在に行使でき、人類と交戦するたび新魔法を披露し、初見の魔法に対処しきれず命を落とす人類を多く生み出してきた。自らを狙い撃つ魔法は打ち消し、広い状況把握能力と魔法で友軍をアシストし、迫る脅威は舌打ちしながら返り討ちにする。指揮官としても一兵としても、この上なく優秀な存在であると言えよう。
戦闘能力以外にも、創造生物を作り上げる技術の開発、蘇生魔法の実現、膨大な兵の数を持つ百獣軍をしっかり束ねていた手腕、気難しいエルドルをなだめる役目など、魔王軍という組織への貢献度は非常に高かった。魔王マーディスに生み出された魔物ではなく、流れ者としてコズニック山脈に差し当たったところ、半ば強引に魔王の軍門に下らされた存在だったが、結果的にこの人材の確保は、魔王軍にとって大きな利であった。
<百獣王ノエル>
魔王マーディスが最初に作った3体の魔物の一体。最も魔王に近しい思想の持ち主で、自らに劣る者を従えさせる"支配"を最も体現していた。
屈強な肉体と獅子面の頭を併せ持つ怪物であり、数の多い百獣軍を長期に渡って
統制し続けた優秀な一将。アーヴェルが百獣軍の指揮官に任命されて以降は、アーヴェルの片腕として動くことになり、子猫のようなアーヴェルが自分の上に立つことに長く憤慨していた。しかし長い歳月の中でアーヴェルを無意識下で認めたのか、その怒りや憎しみも薄れ、しばらくはアーヴェルな従順な部下として在った。人類がラエルカン奪還戦争を仕掛ける前々日、野心を失ったノエルを激しく糾弾するアーヴェルにより、支配こそすべてという魂を蘇らせ、かつて百獣王と呼ばれて恐れられた強さを取り戻した。
そもそもの格闘能力、総合的な実力が疑いようもない強者のそれであり、二度目のラエルカン崩落の際にも、人類を制圧する強力な一兵として猛威を振るえるほどの強さを発揮していた。本来の心魂を取り戻した最後のラエルカン戦役では、アーヴェルの陰に名を忘れられかけていた屈辱を返上するかの如く、縦横無尽に戦場を駆けて人類を圧倒した。ユースやアルミナ、キャルの手によって最後は討伐されたが、近衛騎士ドミトリーとの戦いでノエルが手負いであったことや、妖精ベラドンナやマナガルムという本来以上の加護があったなど、いくつもの幸運が積み重なった上での勝利でしかなかったと言える。
<アズネオン>
アルム廃坑の奥地に封印されていた切り札の一つ。体を大きくしたような赤ん坊のような外観だが、頭は人間の頭を溶かして二つ混ぜ合わせたような異形であり、白い肌にもむき出しの血管が絡み付いているという、陰惨さを思わせる全体像である。
対象の無意識と記憶の底から、"自分を恨んでいるであろう者"の存在を掘り出し、それを具現化し亡霊としてこの世に召喚する魔法を使う。歴戦の者であればあるほど、それによって討ち取られた存在の強さも高くなるため、相手の強さに依存して脅威度が変化する魔法であり、どんな相手でも苦しめることが出来る力であると言えよう。自身は浮遊能力と魔法障壁によって脅威から逃れ、呼び出した亡霊を高みから攻撃手段として用いる戦い方が主戦術。
ラエルカンにて、生まれる前から"渦巻く血潮"の技術を施された胎児をアーヴェルが手中に収め、歳月をかけて我が手の中で誕生させた存在の一つ。よって魔物と形容するより、"魔物じみた外観を持つだけの人間"と形容する方が正しいだろう。醜い姿ゆえ、魔物達の中でも相容れる者に恵まれず、自らの生まれと世界そのものを恨む想いが生み出したのが上記の魔法である。おぞましき力ゆえにさらに孤立し、厄介者として地下深くに封印された挙句、人類との戦いに駆り出される形で解放され、やがて戦いの末、涙を流してその命を散らしていった。人として生まれるはずだった始まりから既に歪められ、救ってくれる誰かもそばにおらず、長い魔物達との戦いの歴史の中でも、これほどまでに哀れな存在はいなかっただろう。
<獣魔メラノス>
鰐の頭に全身を包む黒い鱗、神官服に身を纏う魔導士の姿。魔王マーディス存命の頃から存在する古参の魔物であり、過去の人類との抗争の歴史の中では、高い知能を活かして指揮官を務めたこともある。
人間の頭も容易に噛み砕く顎の力も特筆点だが、何よりも脅威的なのは多彩な水の魔法を行使する手腕であろう。一方で、決して近接戦闘が苦手というわけではなく、人間離れした筋力を活かし、手にした錫杖で近付いた者を白兵戦にて迎え撃つ手腕もある。ガンマとチータ、聖騎士クロードによって、現代ようやく討伐された。なお、アルム廃坑においても、アズネオンに召喚された亡霊の一体として再登場を果たしている。
<獣魔シェラゴ>
コウモリ人間のような外観であり、老獪な口調が表すかのように、魔王マーディス存命の頃から百獣軍で、長く活躍してきた仕えてきた魔物である。
空を自在に舞い、土と水の魔法で攻防を両立する手腕も見事だが、何より隠遁した上で配下を正しく指揮する能力に秀でており、統制力を失うリスクを低めた立ち回りを得意とするため、兵としてより指揮官としてこそ真価を発揮するタイプ。エクネイスではチータやマグニスによって所在を突き止められ、しばらくの攻防の末に逃亡したが、ラエルカン戦役においてはしぶといチータを討ち取ろうとした際、奇襲的に突如放たれたキャルの矢を被弾、駄目押しのチータの雷撃魔法でとどめを刺された。
<サピュラーグ>
名を与えられていない一体のスフィンクスだったものが、テネメールの村のはずれでユースに敗れた無念からアーヴェルに強化改造を嘆願し、ワーグリフォンとして生まれ変わった存在。その後の初陣、エクネイス侵略作戦においては魔物達を束ねる指揮官の役目を預かり、際してサピュラーグの名を与えられた。スフィンクスとしての主君は黒騎士ウルアグワであったが、ワーグリフォンとなって以降は、アーヴェルの配下として今後を過ごしていくはずだったと思われる。
テネメールの村のはずれで、ユースと一騎打ちにて敗れた時は命からがら逃げ延びたが、エクネイスにおけるユースとの勝負では、二度と負けられぬという自尊心から深手を負っても戦い続けた。しかしそれが災いし、成長したユースの手によって討伐される。高い指揮力、身体能力、強力な氷の魔法など、魔物達の佐官格を任されるだけの実力はあったと言えたので、敗れたのは相手が悪かったということだろう。
<百獣軍に属する魔物>
・獣人属:ワータイガー、ワーウルフ
・亀属:ランドタートル、ヒュージタートル
・狼属:ジャッカル、ヘルハウンド、サイコウルフ
・コウモリ属:ウェアバット、デビルフライヤー
・怪鳥属:ヴァルチャー、コカトリス
・ドラゴン属:ブレイザー、ワイバーン
・ムカデ属:センチペタ、ゴールドスコーピオン
・サソリ属:アラクラン、シャークピード
・芋虫属:クロウラー、ジャイアントリーチ
・蜘蛛属:タランテラ、ビッグスパイダー
・蛇属:ヴァイパー、キングコブラ、アースヒドラ
・熊属:グリズリー、アウルベアー、グレイマーダー
・創造生物種:メデューサやケルベロス、マンティコア
とにかく数が多い。ただし、上位種と呼ばれるものではない下位種にはとりわけ手強い魔物が少なく、全体の比率で言えば、強力な魔物が少ない軍勢であるとも言える。この軍勢の恐ろしいところは、やはり数に任せて敵を押し切る勢いにあると言え、それに襲われ弱った人類に、他軍の強力な兵がたたみかけてくるのを危惧するべきだろう。




