登場人物&世界観紹介:第11章
第11章に登場した登場人物達や、舞台設定の紹介です。
【この章で初登場の人物】
<シア>
ラエルカンにおけるルーネの後輩の女性。
ルーネとともにラエルカンの魔導研究所で働いており、非常にルーネのことを慕っていた後輩である。ラエルカン崩落に際して落命しているため、故人。
<ニコラ=ファクトリア>
ラエルカンの戦士の一人であり、かつてのルーネの夫。
ルーネとの間に一子を儲けるも、獄獣ディルエラとの交戦の末、ルーネの眼前で命を落とすことになる。死の間際、ディルエラに一言添えられていたあたり、あれとしばらく交戦して保っていたのが伺えるので、戦士としての実力もそこそこに高かったと思われる。
<イネーブ=アイラーマン>
エレム生まれの商人。
長くはルオスで商売を営んでいたらしく、そちらで名を馳せたが、老いて里帰りし、妻と共にエレムで酒場を開いて人生を全うするつもりであった。しかし過去、きつい労働を強いられていたキャルの身柄を金銭で買い取ったことが法に触れており、それが発覚した後年、エレムとルオスで商売を営む権利を剥奪された。彼が起訴されるにあたり、エレムでもルオスでも多くの商人が減刑嘆願を唱えたことからも、人格者として愛されていたことが伺える人物である。
キャルにとっては、身柄を引き取って育ててくれた恩人にあたり、クロムにとっても付き合いの深い人物であったようだ。なお、イネーブを告発したのは当時の高騎士ダイアンであり、そのせいもあってクロムとダイアンは今も折り合いが悪い。
<ウルリクルミ>
名前そのものは第1章でも出ていたが再紹介。
黒騎士ウルアグワの配下で、岩石の巨体を持つゴーレム属の親玉だった。それらの指揮権を任されていたことからも、ゴーレム属の強さに知能を併せ持っていたことが伺える。当時の法騎士ベルセリウスに討伐されたことにより、彼がその功績を以って聖騎士に昇格したことなどから、人類にとって相当厄介な魔物であったということだろう。
<魔王マーディス>
人類を苦しめた諸悪の根源。長きに渡って人類を支配するために戦争を仕掛け、やがては一度、大国ラエルカンを壊滅させ、国土を占領するまで至った存在である。殆ど姿を現さず王座から配下を指揮するだけの存在であったが、討伐した勇者達が語るには、今まで戦ってきたどんな魔物よりも確かに強かったらしい。
かつて討伐されたその時は、漆黒のローブを身に纏う、紫の肌と縦開きの第三の目を持つ人間の姿だった。白金の兜と鎌を携え、金術とその得物で戦う。
【再紹介の登場人物】
<ルーネ=ファクトリア>
ラエルカン生まれの魔法使い。
"信愛の戦乙女"の異名を持つ闘士の一人で、身体能力強化の魔法によって生み出すパワーとスピードで、無数の魔物達を撃退してきた実績を持つ。また、ラエルカンの魔導研究所における主要人物でもあった。
ラエルカン崩落に際して生き残った数少ない一人であり、魔法都市ダニームに移り住んでからは"凪の賢者"と呼ばれる大魔法使いとして名高い存在となっていく。魔導学者、戦乙女、魔法学者、大魔法使い、賢者と、立場の変遷に伴って肩書きが非常に多い。
<クロード=トーレ=ルイベール>
ラエルカン生まれの闘士。
"渦巻く血潮"の技術をその身に施され、子供のような体躯に縮んでしまった一方で、無双の怪力を持つ。ラエルカンでも指揮官を務めていたようで、人を導く側の人物だった。
ラエルカン崩落に際して生き延びた数少ない一人であり、後にエレム王国に身を移して騎士団入り、やがては聖騎士の地位まで上り詰める実力者である。近年では鉄球棒を得物としているが、ラエルカン軍に属していた頃は斧を使っていた模様。
<ラヴォアス組>
騎士ラヴォアス、騎士ゲイル、騎士グラファスの3人は共に行動することが多く、その組み合わせがこう呼ばれていた。ラエルカンとの共同戦線ではクロードとの繋がりも多く、騎士団入りしたクロードもこの輪に入っていくことになる。階級ではラヴォアスが一番下、ゲイルが一番上なのだが、実力でものを言うなら4人の間に大きな差はないらしい。
余談だが、後年この輪には騎士ボルモードも加わっていた。
<ナトーム=ネヴェリー>
後年の聖騎士ナトームである。
ソーディアムの村で自警団に属していたが、魔将軍エルドル率いる魔物の軍勢に襲撃を受け、両親や妹、故郷を失った。魔物達への憎しみから騎士団入りしたが、彼を迎えた騎士もびびるほど、当時から既にかなり棘があった模様。
騎士団入り後は騎士ハンフリーに育てられた身であり、後年にはカリウスやタムサート、ダイアンやスズと、後年名を馳せる多くの騎士を育てる立場になる。
【舞台設定】
<こころのゆりかご>
かつてエレム王国に存在した酒場。
アイラーマン夫妻の経営する酒場であり、固定客も多く愛された店だったが、アイラーマン夫妻の過去の罪状が明るみになり、商業を営めなくなったことで惜しまれつつ閉店。現在は店としての機能を失い、アイラーマン夫妻の住まう大きな一軒家としてある。夫妻に育てられたキャルにとっては、現在の実家と言える場所。
<ソーディアムの町>
かつて存在したエレム王国領土内の町。
魔王に乗っ取られたラエルカンに比較的近い位置にあったのが災いしてか、魔将軍エルドルを主とする軍勢によって滅ぼされた。現在の聖騎士ナトームの故郷であり、魔将軍エルドルは彼にとって、故郷と家族を奪った不倶戴天の仇である。
<ニジェーヌの村>
かつて存在したエレム王国領土内の田舎村。アルミナの故郷であったのだが、百獣皇アーヴェルが率いる魔物の軍勢によって滅ぼされてしまった。
人口も少なく、落としても人類陣営に大きな傷とならないこの村をアーヴェルが襲ったのは、難敵の少ない人里を安全に落とすことをアーヴェルが好んでいたためである。弱い者虐めを彷彿とさせる発想だが、一方でアーヴェルは、人間は早く成長するものであるという認識が強く、幼い子供や子を生む母をしらみ潰しに滅し、未来の勇者の誕生を未然に阻んでいたという側面が強い。事実、もしもこの村の崩落でアルミナが命を落としていたなら、後年魔王軍残党の数々を討ち果たす、傭兵アルミナの姿はなかったはずである。




