登場人物&世界観紹介:第9章&第10章
第9章と第10章に登場した、登場人物達や舞台設定の紹介です。
【第9章・主な登場人物】
<魔導士エグアム>
魔導帝国ルオスの宮廷老魔導士。
ラエルカンから西に攻め込もうとする魔物達を撃退するため、イーロック山地のゲリラ戦に参加した。イーロック山地では相手がアーヴェルという最強の刺客だったため、その足止めに全力を費やす形で見せ場が無かったが、相手がそうでなければもっと活躍していたはずの熟達者。
<スフィンクス>
テネメールの村を襲撃した魔物達の将の一体。
獅子の下半身と逞しい人間の上半身を持つ魔物で、長尺の杖を振るい、氷の魔法を駆使して相手を追い詰める。筋力も凄まじく、杖による殴打は人間を絶命させるには充分な威力を持ち、ケンタウルス達の上位種と呼べる存在。
ルーネやクロムの暴れぶりを見たことで、勝機なしと見て一度身を隠したが、手ぶらで帰れぬプライドからか、村から離れるユース達を追いかけてきた。ユースの闘志とクロムの意向により、ユースと一対一の形を迎えたが、返り討ちに遭って逃亡した。
【第9章・舞台設定】
<イーロック山地>
ラエルカンの都の西に位置する山。
その山頂からは遠方にラエルカンの都を一望することが出来、ラエルカンにてお祭りが行なわれる際には、そこから眺める花火が絶景であると定評であった。ラエルカンが魔物達に占拠されると一転、その地を出立して西のエレムに攻め込む魔物達を迎え撃つ、第一戦場となる。
<リリューの砦跡>
魔法都市ダニームの南に位置する、かつては堅固さを誇った砦の残骸。
町としての機能も果たしており、人々が最も安心して暮らせる街の一つだった。しかしほんの少し前、大挙を率いて強襲してきた黒騎士率いる魔物の一団に抗えず、滅ぼされる結末を迎えた。無念の魂は今も無数に漂い続けており、戦乱の時代ではそれらの魂を鎮める手も割くことが出来ず、土地そのものの復興が追いついていないのが現状である。
<アーティサーブの村>
エレム王都の西に位置する小さな村。
差しあたって大きな特徴はないが、陸運は必要程度に栄えており、西の王都と東の町を繋ぐ役割を果たしている。こうした小さな人里の点在が、広い国土に散る大きな町や都を強く結びつける日々を、すべからく叶えているのだ。
<エルスローマの町>
エレム王国と皇国ラエルカンの国境近くにある町。
遥か昔、エレムとラエルカンが険悪であった時代には、この町がエレムにおける国境の砦として存在した歴史を持つ。ラエルカンとの関係が良好になった今、砦としての機能は名残程度に残るものだが、ラエルカンが乗っ取られた現在の現代においては、普通の町よりも防衛力のある町色が、奇しくも人々にとっては心強い要素となった。一度砦として栄えた時代を経たことによって、王都からの遠さとは裏腹、町個体としても大きな部類に入る。
<城砦都市レナリック>
ラエルカンの都から西のイーロック山地を超えれば辿り着く、ラエルカン地方の中でも最大の都市の一つ。
立ち位置上、本来はラエルカンを西から攻め込む軍に対する防衛線であるが、皇国が魔物達に乗っ取られたこの時代においては、魔物達を西に侵攻することを防ぐための防衛線として有力である。過去に一度魔王マーディスがラエルカンを占拠した経緯もあり、その際も魔物達の西への進軍を防ぐためにかなり補強されたので、魔王討伐後の時代においても、殊更強い防衛力が残っていた。幾度も魔物達の侵攻を食い止めた名高さと、山越えを経てラエルカンとの陸運を繋ぐ経済ラインも併せ持つため人口も多く、王都や帝都を除く中では最も大きな都市の一つ。
【第10章・主な登場人物】
<大精霊バーダント・聖樹ユグドラシル>
かつてある魔王と人類の抗争に巻き込まれ、大森林アルボルが焦土と化した時、もっと長く生きたかったという無念の魂が森の跡地に集まり、長い歳月を経てひとつの存在を生み出した。それは後にユグドラシルと呼ばれる大樹として顕現し、一度滅んだ大森林を蘇らせるはじまりの聖樹となり、時にユグドラシルが精霊としての姿で人前に姿を出すのがバーダントと呼ばれる存在である。つまり、聖樹と大精霊は同一。
無数の魂を己の存在そのものに擁するため、その手で生み出せる魔力は質量ともに圧倒的で、あらゆる木属性の魔法を行使できる。木属性魔力を容易に飲み込む相性を持つ火属性の魔力さえ、木の魔力で封じきってしまうほど、その魔力は強い。人類に対しては非常に友好的で、非常に長い間人類と語らってきた立場なので、人の価値観を理解しており、話のわかる精霊様である。
<ベラドンナ>
情報が増えたので再紹介。
森に迷い込み、自らの命に悲観した魂を救済し、森の一部へと優しくいざなうロートスの樹の妖精であり、自尽を望んだキャルを善意にて、森の命へと生まれ変わらせようとした。彼女の存在理由を鑑みても、それが彼女にとっては揺るがぬ正義であったが、家族を奪われた認識でしかない第14小隊とは、激しく対立する形になる。
<マナガルム>
魔界アルボルに住まう太古の命。獅子のような巨体を持つ狼の姿であり、風と水を操る強力な魔法を行使することが出来る。飛び道具や防衛手段に魔法を使う一方、巨体に見合ったパワーと見合わぬ速度も圧巻で、接近戦も得意とする。
はぐれた我が子を保護してくれたキャルのことを恩人と認識しており、彼女の願ったことを叶えて報いることに迷いがない。だが、アルボルにおいてキャルが望んだのは自らの消滅であり、マナガルムはその意志を後押しする形であったため、それを阻みたいシリカ達と対立する形になる。
<グレイマーダー>
魔界アルボルに住まう太古の命。ねずみ色の体毛を持つ巨大な熊のような風貌。人の言葉を理解でき、口を利くほどの知能も併せ持つ。
特に技はなく、圧倒的なパワーとスピードで戦うが、熟練の格闘家も顔負けの体捌きが生み出す戦闘能力は凄まじく、小細工が通用しない実力者タイプの魔物。
【第10章・舞台設定】
<大森林アルボル・魔界アルボル>
一度滅んだ太古の大森林アルボルは、聖樹ユグドラシルを中心として蘇ったが、それは滅びた魂に元の姿を取り戻させる形で実現されたため、滅びた古代の姿そのままで現代にあるという、時を超えた森の姿として顕現している。その空間はユグドラシルを中心とした、現世とは隔絶された世界であり、太古の森が蘇った"魔界アルボル"と定義することが適切である。魔界とは異なり、現世に現世たる姿で広がり生きる大きな森が"大森林アルボル"として認識されている。
大森林アルボルにおいては、人類と友好的な精霊の計らいにより、人間に危害を加える存在はいないが、魔界アルボルは異なり、侵入者に対する魔物達の襲撃に制限が無い。
<綿雨>
人々に広く恐れられる大災害。ある日人里に、タンポポの綿のような雨が無数に降り注ぎ、その綿についた種が大地に根差した瞬間急成長し、あっという間に無数の植物が人里を飲み込んでしまうというもの。
大精霊の怒りを買ったものを襲う災害と言われており、バーダントによるその雨の遂行はアルボルの火という別称でも呼ばれる。近年では、人為的に綿の雨を降らせる事例も実在したため、人の手で降らせた綿の雨は緑色の狐火と呼ばれ、バーダントの降らせた綿の雨とは区別されている。
<ザックームの大木>
魔界アルボルに点在する"繁茂"の魔樹。
魔界の外まで綿雨を撒き、多くの命を絶命させ、その魂が持つ生への未練をこの世界にとどめて、引きずり込もうとする魔性の木。下記のロートスの樹と大きく異なるのは、自分発信で取り込む対象の魂を積極的に奪いに行くところで、攻撃的であるとさえ言える。大森林アルボルの復元期間においては、大精霊にとっても大きな助けになった魔樹であったが、人類と友好的な関係を結んだ今となってはその積極性は危険であり、現在は魔界外には綿の雨を振り撒かないようバーダントによって統制されている。ただし、魔界内では気まぐれに綿の雨を振り撒くため、魔界内においては注意が必要。
<ロートスの樹>
魔界アルボルに点在する"救済"の魔樹。
上記のザックームの大木などによって命を落とした魂を含め、生への未練ありし魂を引き寄せて、森の命として生まれ変わらせる力を持つ。提携関係にあるように見えるほどそのはたらきは密接だが、両者に疎通はなく、行動原理が噛み合っているだけである。
自分から魂の持ち主を死にいざなうようなことは本来しないが、キャルのように自らの魂で自尽を望んだ魂を見つければ、魂を救済する意図から、肉体を奪取し霊魂を取り出すこともある。それがロートスの樹の妖精、ベラドンナの行動原理そのものだった。
<ゼリオーニの町>
ルオス領土の南部に位置する、大森林アルボルへの入り口を目の前に控えた村。森に向かいたい者にとっては、ちょうどいい休憩地点となる。南のラエルカンが魔物に制圧された昨今、国境に近いこの町にも帝都から帝国兵が派遣されているが、緊張の解けない町民はやや不安な日々を送っているようだ。
<イフリート族>
放浪する戦闘民族として知られる、あまり友好的でない人間達。
一族に伝わる特別な術法により、成人する頃には誰もが火術のエキスパートとなっている、特殊な民族である。積極的に戦闘を好む、極めて粗暴な血族であり、イフリート族の生まれであったマグニスも、明るい外界を求めて血族を離れた今、元身内に対して何の未練も抱いていない。




