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自滅。

作者: 木宮卓

ちょっと病んでます。苦手な方はご注意。

左手の薬指。

それが記念すべき君が初めて失ったもの。俺が、切り落とした。その指がなければ、君は、誰の物にもならないと思って。俺の物にならなくても、少なくとも、誰かの物にはならない。そうでしょ。

次に、両目。

だって、他の人を見るんだ。追いかけるんだ。しょうがないよ。こうすれば、もう誰も見ない。俺のことは見なくても、少なくとも、誰かのことは見ない。そうでしょ。

次に、両耳。

他の人の言葉は聞くなよ。誰かの言葉を受け入れるなよ。これで、大丈夫。もう誰の愛も伝わらない。俺の言葉も聞こえないけど、少なくとも、誰かの言葉は聞こえない。そうでしょ。

次に、両足。

他の人のところに行くな。俺の側に居て。君の場所はここ。ここしかないの。大丈夫。俺のところに来れなくても、俺が迎えに行ってあげる。少なくとも、他の人のところには行かない。そうでしょ。

次に、両腕。

誰かを求めないで。強請る仕草をしないで。俺なら、分かるよ。俺なら、君のことが分かるから。それなら、君のこの両腕は要らないでしょ。誰かを抱かないで。俺のことも抱けないけど、少なくとも、誰かを抱くことはない。そうでしょ。

次に、皮膚。

誰かの体温を感じないで。温もりを感じないで。大丈夫。俺なら、皮膚の無い君も、抱きしめることができるよ。だから、いいんだ。俺の体温も感じられないけど、少なくとも、誰かの体温は感じないもの。そうでしょ。


ねぇ、ここまでしたよ。ここまでしたんだよ。君のために君の為だけに。それなのに、君はまだ俺のことを愛してくれない。俺に愛の言葉を吐いてくれない。口は、残してあるよ。言えるでしょ、ほら。いつまでも冷たい君。毛布をたくさん掛けてあげても、ピクリとも反応してくれない。なんで。俺に反応してよ。


あぁ、そうか。そうだね。

最後だ。これで、最後。

最後は他のことを考えている君の頭を、グズグズに溶かしてしまおう。



後味悪いですか。どうですか。書き終わった私はすっきりしていますけれども。

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