↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五十年間、誰も見ていない。――頭部を一発だけ撃ち抜く正体不明の狙撃手を追い続ける捜査記録  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/313

名前のない返答・閉じる箱

オマハの朝は低い雲に覆われていた。リアは偶然か依頼の受理か判断できない。会は殺害を請け負う組織ではないと確認し、資料の扱いを巡って割れる。 原本は再び箱へ戻される。会が渡すのは殺してほしいという願いではなく、法が届かなかった事件の事実だけになった。


殺人事件被害者会は、復讐を請け負う団体ではない。裁判への同行、生活支援、眠れない夜の電話。それが本来の仕事であり、狙撃事件は誰も望まなかった影を落としていた。


金銭を入れた封筒は送り返された。脅迫を書いた資料にも何も起きない。受け渡されるのは事件記録だけで、依頼が成立した合図さえなかった。


会員の中には標的の死で眠れるようになった者も、罪悪感で眠れなくなった者もいた。リアはどちらも否定せず、生き残った人の暮らしを優先した。


遺族の集会では、狙撃の話をしない時間が設けられた。失った人の好きだった料理や癖を語る声が、死者を事件番号から名前へ戻した。


夕方、捜査板には新しい写真と古い空欄が残った。埋まったのは日付だけで、撃った者へ近づく線は一本も増えていない。


誰も発砲の瞬間を見ていない。音の記憶さえ証言ごとに違い、確実なのは標的が一度だけ倒れ、二発目がなかったことだった。


標的以外の負傷者はいない。偶然にしては正確で、正義と呼ぶには冷たすぎる。その矛盾が、事件を都市伝説へ近づけていった。


記録には推測と確認事項が別の色で書かれた。赤い文字ばかり増えても、それを事実へ混ぜないことが捜査側に残された最低限の規律だった。


誰も発砲の瞬間を見ていない。音の記憶さえ証言ごとに違い、確実なのは標的が一度だけ倒れ、二発目がなかったことだった。


(本文実測:687字)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。