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五十年間、誰も見ていない。――頭部を一発だけ撃ち抜く正体不明の狙撃手を追い続ける捜査記録  作者: 竜太郎


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冬の駐車場・閉じる箱

オマハの朝は低い雲に覆われていた。三か月後、資料に記された容疑者が遠い州の駐車場で死亡する。公表されていない移動先だった。 原本は再び箱へ戻される。会が渡すのは殺してほしいという願いではなく、法が届かなかった事件の事実だけになった。


殺人事件被害者会は、復讐を請け負う団体ではない。裁判への同行、生活支援、眠れない夜の電話。それが本来の仕事であり、狙撃事件は誰も望まなかった影を落としていた。


金銭を入れた封筒は送り返された。脅迫を書いた資料にも何も起きない。受け渡されるのは事件記録だけで、依頼が成立した合図さえなかった。


会員の中には標的の死で眠れるようになった者も、罪悪感で眠れなくなった者もいた。リアはどちらも否定せず、生き残った人の暮らしを優先した。


夕方、捜査板には新しい写真と古い空欄が残った。埋まったのは日付だけで、撃った者へ近づく線は一本も増えていない。


夜になっても通報は増えなかった。静けさは安全の証明ではない。次がないことを願いながら、担当者は記録を閉じずに帰った。


誰も発砲の瞬間を見ていない。音の記憶さえ証言ごとに違い、確実なのは標的が一度だけ倒れ、二発目がなかったことだった。


標的以外の負傷者はいない。偶然にしては正確で、正義と呼ぶには冷たすぎる。その矛盾が、事件を都市伝説へ近づけていった。


記録には推測と確認事項が別の色で書かれた。赤い文字ばかり増えても、それを事実へ混ぜないことが捜査側に残された最低限の規律だった。


誰も発砲の瞬間を見ていない。音の記憶さえ証言ごとに違い、確実なのは標的が一度だけ倒れ、二発目がなかったことだった。


標的以外の負傷者はいない。偶然にしては正確で、正義と呼ぶには冷たすぎる。その矛盾が、事件を都市伝説へ近づけていった。


(本文実測:734字)

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