似ていない死・閉じない記録
次の朝、「似ていない死」の未確定事項が引き継がれた。サムは外れた予測も削除しない。失敗した警護、起きなかった日、誤認した反射まで残して、次の班が同じ推測を繰り返さないようにする。
掲示板には次の標的を投票する欄が作られた。運営会社が削除しても写しは残る。FBIは投稿者より先に、名前を載せられた家族を保護した。
配信者たちは地図上へ射線を引き、あり得ない距離を競った。合同班は反論に捜査資料を漏らさず、誤って晒された住民へ先に連絡する。
警護計画は射線候補を減らせても、未知の手段を塞いだとは言えない。起きなかった日は成功として祝い、理論の証明には使わなかった。
発砲音を聞いたという証言は毎回あるが、方向は一致しない。都市の反響、車の破裂音、後から得た情報が記憶へ混ざる可能性を班は除けなかった。
分解された金属片が排水溝から見つかった。市販器具の一部で、銃器との関係も年代も定まらず、証拠袋には疑問符付きで収められる。
地図には州境を越えた点が増えた。線は何本も引けるが、中心を決める根拠はどこにもなかった。
マーラは会議の最後に反例を読み上げた。条件へ合うのに撃たれない者がいる。その存在を無視しない限り、選定規則はまだ仮説だった。
標的以外の負傷者がいないという記録は、射手を善と呼ぶ材料にはならない。誰にも裁かれず一人を殺せる事実が、捜査側には最も重かった。
現場へ残らないものを想像で補えば、どんな武器もどんな人物も作れてしまう。合同班は空欄を空欄のまま保存し、可能と確認済みを分けた。
一件ごとの担当者は変わっても、記録形式だけは統一された。次に別の州で起きた時、最初の数時間を過去の照合へ使えるようにするためだった。
(本文実測:706字)




