七十年代の紙
ノアは地方図書館で一九七〇年代の小さな死亡記事を見つける。頭部の一創と紛失した弾丸以外に、現在と結ぶ証拠はない。 朝、州警察と連邦記録の番号をそろえる。名前が一致しても同じ人物とは限らず、生年月日と指紋が確認できるまで線を結ばない。
サムは州ごとに異なる検視表を同じ項目へ移した。空欄をゼロとして扱わず、調べられなかったのか、存在しなかったのかまで分ける。
情報公開請求へ応じる資料からは、遺族と未起訴者の住所を伏せた。透明性を名目に新しい標的を作らないことも、捜査の責任だった。
発砲音を聞いたという証言は毎回あるが、方向は一致しない。都市の反響、車の破裂音、後から得た情報が記憶へ混ざる可能性を班は除けなかった。
名簿を作れば救いが来るという噂が広がるほど、会へ偽の資料が増えた。リアは一件ずつ警察番号を確かめ、存在しない被害者を作らせない。
夜になっても新しい通報はなかった。何も起きない静けさを安全と呼ばず、当直は予定どおり交代する。
夜勤者は窓を閉め、屋上扉の封印を確かめた。手順が射手を止める保証はなくても、確認しなかった空白を翌朝へ残さない。
マーラは会議の最後に反例を読み上げた。条件へ合うのに撃たれない者がいる。その存在を無視しない限り、選定規則はまだ仮説だった。
標的以外の負傷者がいないという記録は、射手を善と呼ぶ材料にはならない。誰にも裁かれず一人を殺せる事実が、捜査側には最も重かった。
現場へ残らないものを想像で補えば、どんな武器もどんな人物も作れてしまう。合同班は空欄を空欄のまま保存し、可能と確認済みを分けた。
一件ごとの担当者は変わっても、記録形式だけは統一された。次に別の州で起きた時、最初の数時間を過去の照合へ使えるようにするためだった。
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