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五十年間、誰も見ていない。――頭部を一発だけ撃ち抜く正体不明の狙撃手を追い続ける捜査記録  作者: 竜太郎


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外れた予測・警護の日

州境を越えた知らせがシカゴへ届いた。捜査班が次の標的候補を警護するが、狙撃は起きない。候補者が殺人犯だという証拠自体が誤っていた。 候補者の周囲を封鎖しても事件は起きない。警戒を見抜いたのか、そもそも対象ではなかったのかも分からない。


警護が厳しい時に事件が起きないことも、監視を見抜いた証拠にはならない。対象選定、延期、偶然という可能性を消さず、失敗した予測も残した。


合同班は狙撃手を一人と決めなかった。同じ人物、複数人、技術の継承、組織。どの仮説にも説明できる事件と、説明できない事件が残る。


赤いレンズ反射は一度だけ鮮明に見え、次の瞬間には消えた。距離を割り出そうとしても、窓ガラス、車灯、標識の反射が候補へ混ざった。


記事は翌朝の片隅に載った。大きな見出しにはならなくても、同じ空欄を抱えた誰かが切り抜き、遠い州の箱へ加えた。


遺族の集会では、狙撃の話をしない時間が設けられた。失った人の好きだった料理や癖を語る声が、死者を事件番号から名前へ戻した。


標的以外の負傷者はいない。偶然にしては正確で、正義と呼ぶには冷たすぎる。その矛盾が、事件を都市伝説へ近づけていった。


記録には推測と確認事項が別の色で書かれた。赤い文字ばかり増えても、それを事実へ混ぜないことが捜査側に残された最低限の規律だった。


誰も発砲の瞬間を見ていない。音の記憶さえ証言ごとに違い、確実なのは標的が一度だけ倒れ、二発目がなかったことだった。


標的以外の負傷者はいない。偶然にしては正確で、正義と呼ぶには冷たすぎる。その矛盾が、事件を都市伝説へ近づけていった。


記録には推測と確認事項が別の色で書かれた。赤い文字ばかり増えても、それを事実へ混ぜないことが捜査側に残された最低限の規律だった。


(本文実測:726字)

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