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夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第2章 夜の王 編

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第36話◆学院大会トーナメント【団体戦】


 ウィンターホリデー(ふゆやすみ)を目前に控え、流行病の影響で何度も延期されていた学院トーナメントが、ようやく開催されることとなった。

 勇者パーティ【誓いの夜明け】で参加する俺とアルヴァンは、一回戦のために寒空の下、学院に向かう。


「はぁ……だりぃな。試験と追試が終わった後、何もホリデー前に強行しなくてもいいのにな」


「そういうな────。今回は一般客も入るし、王立なんだから、国が興行収入を見込んでるんだ。ホリデー前の開催は、逆に災い転じて福となすといったところなんだろう」


「観客席でビール売ってきていいか?」


「慎んどけ────。俺たちは優勝候補筆頭なんだぞ」


「けっ、旨みがねぇな」


 …………



「旨み、あるじゃねーかよ……」


 開会セレモニーが終わり、闘技場から控室に集まった学生の中、運営局長の説明に、アルヴァンが思わず声を漏らす。


「────という訳で、改めてまとめます。

今大会の戦績に応じて、上位パーティには実地訓練による『成績補填』という名目で、ハントや調査にかかる成績の優遇と、単位の補填を行います。平たくいうと、長期ハントに出てもその功績に応じて、成績が保証されます。

さらに、地元商会から見込まれる興行収入を学生へ還元するため、優勝したパーティには商品券と記念品が贈呈されます。表彰の場にて授与を行いますが、これは学院は通さず、商会から直接の寄贈となりますのでご理解ください」


 辺りが沸き立つ中、ネージュとイーナは冷静である。さすが実家が太い二人。


「時期がズレたことで、地元貢献にもなるなんて素敵ね。来年からもこの時期にしたら、学院も学生も地域も皆が喜びそうな気がするわ」


 聖女イーナは、地域経済を含めた三方よしのような相乗効果を語り────


「そうだね。長期ハントが認められるのも僕たちにとっては大きい。

学生のうちから、より国や世界のために動ける大義になる。素晴らしい制度だよ。

英断した国にも、先生方にも、商会にも、尊敬の念を禁じ得ない」


 勇者ネージュは、学業と勇者パーティとしての活動の両立を考え────


「商品券の換金率……四人で分割しても大金だ。副賞も売っ払えるものならいいな……」


 アルヴァンは商品券の皮算用だ。民度の格差がえぐい。ここは、俺がまとめた方が良さそうだな。


「三人とも────まずは堅実に実力を出すことに集中しないか?

周囲を見ると、明らかに浮き足立っているパーティが多い。こういう時こそ番狂わせは起きると考えていい。

俺たちもそうだ。対魔獣と対人戦では勝手が違う。普段の俺たちを出せるか、それだけに注力すべきだ」


「ハイディア────君は本当に地に足がついた視点をもっているね。

君と組んで本当に良かったと思うよ。ハイディアの言うとおり、普段の僕たちを出すことに専念しよう」


 まあ、ギフテッドのネージュにブレーキを掛けられる奴なんてそういないだろうがな。

 賞金はどうでもいいが、【誓いの夜明け】としては、ここは通過点でないといけない。


 ドッ────────────


 控室まで震えるほどに、会場が沸き立つ。


「なんだ──────?」



「一回戦、第一試合────

【誓いの夜明け】vs.【ライジング・サン】」


 抽選の初っ端から観客席のどよめきは収まらない。


「おいおい、優勝候補がまさかの第一試合で潰し合うか?」


「大丈夫、ネージュ様は負けたりしないよ」


「だが【ライジング・サン】は二大会連覇の四年生の筆頭パーティだ。経験値が違う。これはどう展開するか分からんぞ」


 その後の抽選の発表が話題にものぼらないほど、ざわめきが止まない。



「おい、ハイディア──────」


 闘技場に向かう途中、随分と聞き馴染みのある声がする。嫌悪感が顔に出ないよう無表情を貫く────。


「ご無沙汰しております、ベスギーザお兄様」


 警備で来ている様子の、長兄ベスギーザと思わぬ形で再会する。


「相変わらず、小判鮫のように上手くやっているようだな。魔力の器の小さきお前が、エリート揃いの学院に通い、勇者とパーティを組むなどと、ご機嫌取りも極めれば立派な武器になる好例だな」


「お兄様と違い、わたくしにはそれしかありませんゆえ。これからも家名に泥を塗らぬよう、くれぐれも気をつけて参ります」


「ハイディア、どうかしたのかい?」


 ネージュがこちらに気づいて近寄る。


「これはこれは、勇者ネージュ殿。

王国騎士団、第四部隊所属ベスギーザ・ソルティレージュと申します。愚弟が大変世話になっております」


「ハイディアのお兄様かい?」


「ああ────長兄にあたる」


「ハイディア、言葉を慎め。身の丈を弁えろ。勇者殿に対する口の利き方に気をつけるんだ。

ネージュ殿、とんだご無礼を」


「そんな……僕たちは同級生ですから、そこまで畏まる必要はないですよ。それより、こちらこそ良くできた弟さんで、助けられています。

ハイディア、王国騎士団所属のお兄様がいるなんてすごいじゃないか」


「勿体無いお言葉でございます。それでは私は警備に戻ります。ネージュ殿、ご挨拶ができて光栄です。ご活躍、心よりお祈りしています。

ハイディア、くれぐれもネージュ殿の足を引っ張ることだけはないようにな」


「はい。ご忠告ありがとうございます、お兄様」


 うむ、通常運転だな。永遠にさようなら。


「随分と厳しいお兄様だね、ハイディア」


「ああ、()()()()()()()()厳しい、敬愛する兄君だよ────」


 怒る気にもならん。まあ、より一層目立たぬよう、こちらも通常運転をしていこう。





◆御礼

読了ありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、ぜひぜひブックマーク、リアクション、評価、感想/レビューをいただけたら、ものすごく励みになります。よろしくお願いいたします。


◆告知

『夜の王と契約魔法』はカクヨムコンテスト11にエントリーしています。(他プラットフォームにて失礼します)

https://kakuyomu.jp/works/822139839656378427

おかげさまで、新人作家の処女作であるにも関わらず、現在競合ひしめく「異世界冒険部門」で、100〜200位/1800作品と大健闘しております。

あなたの一票で、大きな支えを得られます。ログイン、フォロー/評価というお手間をかけてしまいますが、是非あなたの手で作品を育てていただけると、嬉しいです。何卒、よろしくお願いいたします!

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