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夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第2章 夜の王 編

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第26.5話◆夢うつつ



 月曜の夜、学校をサボってルナと一日、俺にまつわる話やら魔力論やらを散々喋り倒した。そして、ガーベラと顔を合わせるのも気まずいので、こっそりと帰宅し、ガーベラに見つからないよう、風呂に向かう。

 湯もきちんと沸かしてくれている。俺は、何をこそこそしているのだと、自分が情けなくなる。気が重いが、風呂から出たらきちんと話そう────。

 しかし今日は随分と冷えたな。身体の芯まで湯が沁みるようだ。


 熱い湯に入っているはずなのに、不思議と身体が暖まらない。それどころか────いや、これは悪寒だ。普段は魔力で身体を強化しているため、風邪などひかないから忘れていた。

 あ……やばい……クラクラしてきた……

早く服を着て……よし、部屋に……ベッドに……あれれ?



「ハイディア様、ハイディア様!」


「ガーベラ……?

うっ、寒い……身体が震える……」


「廊下で倒れてしまわれたようで……慌ててお部屋までお連れしましたが……ご無事ですか……?」


「────すまない」


「何を言ってるんですか。熱もありますし、こんなに身体も震えて……」


「……違う。

昨日の夜から────君のことを避けるように逃げてしまっていた。

本当は違うって、言い訳なんかして、君に不誠実な態度を取ってしまっていた。

すごく、自分が恥ずかしいよ」


「何を言っているんですか。そんなこと、どうだって────」


「熱にうなされているこの状況では、それもまた誠実とは言えない。この風邪が治ったら、ゆっくり君に話すよ。彼女のことも、きちんと紹介する。

ただ、君に嘘をついた訳じゃないことだけ────」


 ベッドに倒れてしまった。ひどい眩暈だ。


「わかってますよ。大丈夫です。わかってます。

私こそ、ろくに話も聞かず、すみませんでした……」


────ああ、ちゃんと話せばよかったんだ。こんなに簡単なことなのになあ。これで少しは分かり合えたのかな。


「おかゆを作ってきますね。たちの悪い流行病はやりやまいかもしれません。明日にはお医者様を呼びましょう」


「ああ、頼む────」


「あと……ハイディア様、ガールフレンドの子、すっごく可愛い子だと思います。今度きちんと紹介してくださいね」


 前言撤回、分かり合えてなかった。

 光に敏感なせいか、いつもより眩しく見えるガーベラは、パタパタとキッチンに向かっていった。



 あれからどれくらい寝たのか……。ダメだなこれは……天井がぐるぐる回ってる。これは転生して以来の知らない天井だ……。心臓もバクバク言ってるぞ、動悸かこれ……。


 なんだか寒いし、なんだかすごく寂しい。

 ガーベラは……ガーベラ……ダメだ。金縛りみたいに声も出せない、指ひとつ動かせない……目も開かなくなってきた……


 ああ、ガーベラの声か……

 ほんと可愛い声してるよな、落ち着くな……


「ねえ、ハイディア様。

私、本当はすごくびっくりしたんです。

当たり前のことなんですけどね、ハイディア様のような素敵な男の子に、可愛いガールフレンドができるのなんて」


 なんだこれは、夢か……ガーベラの声が……

 右手だけが、少し暖かいような……安心感が……


「でも、少しだけ……

うん。少しだけ、複雑な気持ちだったんですよ。小さい頃から、ずっとお仕えをしていたハイディア様が、私の知らない人になってしまったみたいで……


あーあ…………


このまま………………」



 気がついたら朝だった。

 すっかり熱は下がって──なんて都合のいいことを、話題の流行病が許してくれる筈もなく、熱は更に上がっていた。ガーベラが呼んでくれた医者曰く、四、五日は熱が続くらしいそうだ。

 人が魔力で身体を強化できるなら、魔力に強いウイルスも生まれるというロジックらしい。

 向こうも生存をかけて進化をしているということか、なるほど理にかなっている。しかし、しんどいな────。



◆御礼

読了ありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、ぜひぜひブックマーク、リアクション、評価、感想/レビューをいただけたら、ものすごく励みになります。よろしくお願いいたします。


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『夜の王と契約魔法』はカクヨムコンテスト11にエントリーしています。(他プラットフォームにて失礼します)

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