第21話◆勇者と聖女
◇
「────よう、色男!」
アルヴァンが、勇者ネージュに接触する。
「やあ、アルヴァンじゃないか────
同じ学内にいるのに、なかなか話す機会がなくて寂しかったんだ。
話しかけてくれて嬉しいよ」
「いつぞやの学内大会で、勇者殿から魔獣の討伐でもご一緒に────と、お誘いをもらっていたのを思い出してな。
是非賜りたいから、都合のつく日程を教えてくれ」
「本当かい?
君とならきっと良いペアが組めると思っていたんだ。
そうだ……早速だけれど、今週末とかどうかな?」
「もちろん、こちらは多忙な勇者様に合わせるだけさ」
「実は最近、僕は既にペアで動くことが多くてね……
その場にもう一人居てもいいかな?
僕ら二人きりじゃなくなっちゃうんだけどさ」
「デートじゃねえんだ、別に構わねえよ。
『二人きり』とか、女を口説くときと話し方を分けてくれ。俺にその気はないぜ……?
せっかくだから、俺もツレを一人誘っていいか。
討伐に役立つとは思うんだけどな」
「────うん、もちろんさ。
ただ……何度か四人のパーティ形式を組んでみたんだけど、なかなかピンと来なくてね。
その人のことはよく分からないけれど、アルヴァンくんと同行できるのは嬉しいよ────」
アルヴァンはともかく、もう一人というところに難色を示したのを、アルヴァンは察知した。
弱いものと連む気はない、これはネージュへの誘いが多いことに起因している。
友人からの軽い誘いもあれば、王国や聖教会からの断りづらい誘いもある。誘う方からすると一回だが、ネージュとするとひっきりなしに誘われていることになる。
その一つひとつが実になるものなら良いが、どれもパッとしないものとなると、うんざりしてしまうことは誰にも責められない。
「じゃあ、そちらの相棒とすり合わせて時間や場所を指定してくれ。
無理言って悪いな、基本的にそっちの都合に合わせるぜ」
「わかった……お誘いありがとう!」
「楽しみにしてるぜ──────」
◇
「────こんなもんでどうよ?」
「ああ……まあ……自然だったと思う────」
俺は【マイ・ゴシップ・ライター】でネージュを覗いていた。
取り巻きの女達がネージュから離れないから、なかなか思うように近づけず、苛立っていたアルヴァンも見えていた────が、そのことは伏せておこう。
「『まあ』ってなんだよ。
あの野郎、女侍らせてやりたい放題のくせに、爽やかぶりやがって……
ひとまずこれで、お前の書いたシナリオ通りに進んだってことでいいな?」
「そうだな。
向こうもペアで動くと踏んでいた。
勇者ネージュ、必ず落としてやる────」
◇
アルヴァンと、勇者ネージュの約束の日になる。
「やあ、アルヴァン。今日はよろしく!
こちらはイーナ、僕のパートナーだ。
よろしく頼むよ」
「イーナです。よろしくお願いします」
「知ってるよ。勇者様とお似合いの聖女様だろ。
俺はアルヴァンだ、よろしくな」
「アルヴァン、俺のことも紹介してくれ。
今日ご一緒させていただく、ハイディア・ソルティレージュです。
勇者ネージュさん、聖女イーナさんとご一緒できるなんて光栄です。
よろしくお願いします」
猫を被った俺を、アルヴァンが鼻で笑う。
「イーナも君も、そんなに畏まらないで。
一緒に討伐に臨む仲間なんだ、遠慮なく名前を呼び捨てにしてくれ」
「オーケー、それではネージュ。
今日の動き方なんだが……」
「うん、本当は行方不明になっている、うちの学園の生徒を探せたらと思っていたんだけれどさ……」
「ねえ、ネージュ。それは…………」
「うん、わかってる。
散々探したんだが────いつまでも探していても仕方ないよな。
────今日はBランクのアスピスを討伐しようと思っている。
俊敏な蛇の魔物だ。毒があるけれど、解毒はイーナがいるから大丈夫。
君たちはハントの経験は?」
「俺はそこそこあるぜ。ハイディアは……」
「ついて行ったことくらいは────」
「うん。それじゃまずは肩慣らしだね。道中に出てくる魔獣を倒していくことにしようか。
辛くなったら遠慮なく言ってくれよ」
ネージュは渋る様子は俺に見せずに、キラキラと自信ありげに微笑んだ。
◆御礼
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◆告知
『夜の王と契約魔法』はカクヨムコンテスト11にエントリーしています。(他プラットフォームにて失礼します)
https://kakuyomu.jp/works/822139839656378427
おかげさまで、新人作家の処女作であるにも関わらず、現在競合ひしめく「異世界冒険部門」で、100〜200位/1800作品と大健闘しております。
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