表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第1章 王立魔法学院・入学 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/62

第14話◆交渉II


 【モンタージュ・カタログ】でハイドの姿となったハイディアは、マダガルの屋敷に到着し、メイドと執事が二人を出迎える。


「こちらが我が屋敷──とはいえ、在学中の生活のために、父が買い上げたもの。

仮初の邸で恐れ入るが、どうぞお上がりください」


「いえいえ、素敵なお屋敷です。それではお邪魔いたします」


(さすがに遊び部屋は閉鎖し、取り巻きも呼んでいないか────。最初から屋敷にハイドを招く想定でいたのだろうな)


 通された応接室で、メイドが茶を淹れる。


「お前たち、これから私は客人と大事な話がある。何人もこの部屋に近づかぬようにな」


「畏まりました、ご主人様」


 メイドが退室する。


「それでは念のために……」


 ハイドは防音魔法を展開する。マダガルはその流麗さに驚いた様子で称える。


「いやはや、これは見事な防音魔法……。

さすがにSランクハンターは伊達じゃないですな」


「ふふ、そんなに褒めていただくほどのことでもありません。それよりも早速本題に入りましょう」


「小耳に挟んだのですが────報酬に拘りのないパーティをお探しとか?」


「その通りです。

ですが、そんな酔狂なパーティや、ソロハンターはそうそう居ないもので……」


「まあ、そうでしょうな」


「聞けば、貴方はパーティとしての実績を欲しがっていらっしゃるとか?」


「有り体に言うとその通り。先日、Bランクのイーヴィルアイの群れを、デビュー戦で討伐しましてな」


「ほう、それは素晴らしい────。

私も初めての討伐はBランクのオークの変異種でした。まるで同じ道を辿っているようで、親近感が湧きますね」


 マダガルは誇らしげに頷く。


「学生なのでハンターに専念はできないものの、パーティとしては更なる箔が欲しい。

パーティ全員が固有スキルを持っているとはいえ、クローズドの高ランクの討伐依頼なんてそうそう貰えないという、困った状況でしてな」


「互いにとって都合がいいということですね。

家柄も良く、有り余る富をお持ちの貴方には、討伐報酬はおまけのようなものでしょうから」


「その通り──────」


「それなら話は早い。討伐は私一人でやります。居ていただくだけで結構なので、即席パーティとして手を組みましょう」


「ハイドさん、あなたを疑うわけではない。

だが、討伐確度はそんなに高いのかね」


「ふふふ、ご心配には及びません────。

確度は百パーセント、それ以上でもそれ以下でもありませんよ。

何故かは、当日わかりましょう────」


 マダガルは、ハイドが纏う魔力が研ぎ澄まされるのを感じる。


「ハイドさん、貴方は金が目的か?

もしそうなら、俺様……いや、私が貴方を個人的に雇う。無論ハンターギルドよりも色をつける」


「有難いお誘いですが、私は人に仕えるのが苦手なのです。だからこうして、王国からの士官命令を無視して、ソロハンターでいるんです」


「────本当に味方につけたい相手こそ、なかなか思う通りにいかないものだな」


「『協力』であれば惜しまずにいたしましょう。

例えば、今回のケルベロスの討伐、すべて貴方たちの手柄にしても良い」


「何だと……」


「生憎、私は名声に一切の興味がない。互いに欲する物が真逆ということです。

報酬に貴方が個人的に上乗せをしてくれるのならば、私は陰に徹してもいい────」


「……本当か?」


 まさかの提案にマダガルが前のめりになる。


「一点問題があるとすれば────

ケルベロスの討伐をお譲りしたとしても、万が一、貴方のパーティの実力が追いついていなければ、メッキはやがて剥がれてしまうことでしょう」


「うむ。私はともかくパーティメンバーの実力には不安がないこともない」


「では、こうしましょう。貴方たちの討伐を私が見守ります。誰か一人でも危険が迫った場合は、私が助け舟を出すというのはいかがでしょう」


「是非もないこと。だがこの取り決めを交わす前にどうしても聞きたいことがある」


「何なりとどうぞ────」


「失礼を承知で、改めて問おう……

なぜ、そこまでケルベロス討伐に自信がある?

もとより自身以外のパーティは人数合わせで構わないと仰っていたようだが、

Sランクの魔獣を、貴方がそこまで軽視する理由を教えてはくれないか」


「────当然の疑問ですね。ここからは他言無用でお願いします」


 ハイドは人差し指を立て、唇に当てる。


「今回のケルベロス──実は幼体なんです。

成体は三つ首だが、今回の個体は双頭しか持っていない────」


「なんだと……?」


「とはいえ、固有スキルを持っていないような並のパーティには、到底敵わない相手であることには違いありません。

しかし貴方たちは全員固有スキルを持っているという。前衛、後衛、支援、回復といった連携が取れていれば充分に勝機はあります」


「それはいい……!

報酬は倍出す! その方向で進めよう」


「私としても報酬に足して、上乗せ分まで入る。願ってもない話です。

では、討伐依頼に対しては、私とマダガルさん達のユニットパーティで申請を出しておきます。

当日は私抜きで討伐したということにすれば良い、理由はいくらでも後付けできます。

ご安心ください、討伐成果に幼体という記載はされませんから」


「よし、必ずやケルベロスは私のパーティで討伐する。ハイドさんには、サポートと、万一の保険として立ち会ってもらうと言うことだな?」


「その通りです。マダガルさんこそ、よほど自信をお持ちじゃないですか。しかし、いずれ上に立つ人間としてはそうでなくてはいけない────。

貴方の野心、私は好きですよ」


 ハイドは薄目を開けたまま笑う。


「もし叶えば、学院でも前代未聞の快挙になるな……ケルベロス狩りの二つ名も……」


「ケルベロスへの致命傷をマダガルさんにつけてもらえれば、後からギルドが何と言ってきても問題ありません。

あとは、老婆心ながら、ケルベロスを討伐したパーティの戦術をお伝えしましょう」


 ハイドは、以前幼きハイディアがケルベロスの幼体と出会い救出した時、一度はケルベロスの捕獲に成功した英雄パーティのことを話す。


「基本構成は私のパーティと変わらんな。

あとは連携だけ、抜かりなく取れるようにしておかねばな……」


「幼体とはいえ、あくまでSランク────

そのことだけは、くれぐれもお忘れなきようお願いします」


「もちろんだ」


「では、また改めて────」


………………


 ハイドが帰った後、マダガルは一人ほくそ笑む。


「全てが上手く回り始めた。

あのハイド・ムスブルグを味方につける日が来るとはな……

小癪な勇者ネージュを出し抜き、学院の頂点に立つのは俺様だ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ