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夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第1章 王立魔法学院・入学 編

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第6話◆君の心に巣食う闇が、怨恨だと言うのなら


 森での出来事の翌朝、クラスルームでアルヴァンに話しかけられる。


「ハイディア、昼休みちょっといいか」


「俺も話がある、人の来ないところで話そう」


 昨日の戦闘後にかけた治癒魔法は無事に効いているようだ。律儀に翌日から学校に来るあたり、アルヴァンのやつ、根は真面目なのかもしれない。



 しかし魔法学院に屋上というものがあることにも驚いた。だがそれ以上に、この世界でも不良生徒が屋上を好むという事実に、何か因縁めいたものを感じる。


「アルヴァンから先に話すか?」


「いや、そっちから頼む」


「わかった。

昨日の子ども達は無事だった。身元もわかって、問題なく親元に戻れるとのことだ」


「そいつは何よりだ」


「ふたりはお前に感謝していたぞ────」


「別に、目の前で起きたから、成り行きみたいなもんなんだけどな……」


「かつての俺もそうだった。

お前も俺に礼を言いたかったんだろう?

そういうことなんじゃないか────」


 アルヴァンがまんざらでもなさそうにそっぽを向く。


「あとな、昨日の魔獣の件はギルド預かりになった。新種の魔獣らしくてな」


「ずいぶん物騒だな。

そういやあいつら、言葉を話していたもんな」


「そうなんだ。他にも仲間がいると俺は踏んでる。近くギルドでも動きがあるかもな。

報酬はギルドで分析やら何やら終わった後になるそうだ、構わないか?」


「ああ、だが本当に俺がもらっていいのか?」


「どうしてだ?

お前がいなければそもそも討伐には至らなかったろう?」


「いや助かるけどよ……」


「気になっていたんだが、昨日もお前仕事中って言ってたよな。

昔誘拐された時は、名家の子息だと新聞で見た。そんなお前が学業と並行して仕事するなんて、何かあったのか────」


「…………」


 間を置いてアルヴァンが話し出した。


「……母親の実家が没落してな。

政略的に足手纏いになったってことで、母親と弟は籍を抜かれて追放されたよ。もう連絡もつかない。


俺は────魔力の器がでかく、利用価値があるかもと手元に残された。もちろん跡目としてではなく、コマとしてな。

本当は二人についていきたかったんだがな……母親にも止められた。


家は俺に必要最低限の金しか出さないし、今食うためにも、今後のためにも金が必要なんだよ」


「壮絶だな──────」


「勇者だよ」


「ん?」


「勇者が俺の母親の実家を潰した。伯父が悪事を働いていたことにかこつけて、一族全員投獄だ」


「その伯父は何をしたんだ?」


「国家転覆を目論んで、隣国と内通して内乱を引き起こそうとしたんだとよ。

真偽はわからんがな。勇者とその一味が隣国の証言だけを鵜呑みにして、状況証拠だけで伯父は処分されて、訳も分からぬままに他の親族も投獄だ。

勇者様ってのはどんだけ偉いのかって話だよ」


 俺は、勇者ネージュが同級生として入学したとエドワードがクラスルームで話していた時、忌々しそうに捨て台詞を吐いていたアルヴァンを思い出していた。


「なるほどな。真相はわからないが、勇者を忌々しく思うには充分な出来事だ」


「要らんことまで話しちまったな。忘れてくれ」


「そんなことはない、俺も──────

勇者と聖女には個人的な恨みはある。

まあ、相手の勇者はネージュではないし、かなり昔の話だがな」


「あいつら何なんだろうな。

ハイディア、お前には何があったんだ?」


「改めて話すよ、かなり長くなるしな」


「そうか。ところで俺が聞きたかったのは魔力の返済についてだ。早く返さないとお前も困るだろ?」


「アルヴァン────

お前さてはいいやつだな?」


「あ? 何がだよ」


「返済については別途協議と契約書には書いてある。常時生成される魔力の三割を返済に充ててくれれば、一週間も待たずに完済できるだろうよ」


「そうか、お前がそれで困らないならいい。貸してもらって助かったぜ」


「こちらとしては、利子を取っているから礼には及ばないよ」


「お前の固有スキルか? 魔力を借りるなんて初めてだ」


「そうだ──────

その件でアルヴァン、お前に提案がある」


「なんだよ?」


「────固有スキル、欲しくないか?」

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