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夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第1章 王立魔法学院・入学 編

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第3話◆魔法学院への入学、数奇な出会い


 ガーベラが制服のネクタイを上まで締めてくれる。


「いってらっしゃいませ、ハイディア様」


「ああ、いってくるよ。ガーベラ──」


 夏の暑さも引いた九月、今日は王立魔法学院の入学式だ。王立魔法学院には王族貴族の家から、特に魔法の才能に秀でた者が入学を許される。


 所謂エリートの登竜門と言われ、長兄であるベスギーザも、三年前に学院を卒業し、今は世継ぎの際の箔をつけるために、王国騎士団に仕官している。


 俺にとってこの四年間は、力をつけるための重要なものになる。無論、お勉強に精を出すわけではないがな。



 入学式と言っても、俺が思っていたものとは異なり、学長から簡単な挨拶があるくらいのセレモニーで、あとはオリエンテーションのような内容に終始した。


 クラス分けはアルファベット順で、概ねA組が最優クラスといった印象だ。


 F組か────まあ、埋もれて過ごすには適当そうなクラスだな。フリーで座った席の周りで、初対面同士、皆話をしている。


「よう、俺はエドワード。南部にある男爵家の次男さ、よろしくな」


 ひょろっとした金髪の少年が話しかけてくる。学生であるということで、形式的には身分はフラットに、と最初に言われている。


「ハイディアだ────田舎伯爵家のしがない三男坊さ、よろしくエドワード」


「そっちの……ガタイの良いお兄さんも、よろしくな!」


「ああ────」



 ガッ────────



「てめぇか、アルヴァン・クルーガーってのは。

ちょっとツラ貸せよ────」


 クラスのドアから入ってきた柄の悪い三人組が、挨拶途中の『ガタイの良いお兄さん』の胸ぐらを掴んで立ち上がらせる。


「……人違いだろ? 他、当たってくれや」


「嘘つけよ────。ザップさんこいつです。こいつがさっき俺を────」


「あー、わかったよ。

お前らについていけばいいんだろ……」


 アルヴァンは頭を掻きながら、男たちについていく。


「ふん、威勢のいいことだ。だが俺の……」


 ドッ──────────


 背中を見せたザップを、アルヴァンは後ろから蹴り飛ばす。


「てめぇ、何しやが────ぶッッッ」


 転がったまま振り返ったザップの顎を、回り込んだアルヴァンが軽く蹴り飛ばす。ザップはそのまま気を失ってしまった。


「ザップさん……!」


「喧嘩売りにきて背中見せるやつがあるかよ。一応聞いてやる……お前らもやるか?」


「い、いえ。すいませんでしたっ────」


「二度と来るなよ、次に来たら死ぬまで蹴るからな。返事は?」


「は、はいっ……!」


 男二人はザップを引きずると、そそくさと出ていってしまった。


「話の途中で、悪かったな。さっきの奴が言っていた通り、俺はアルヴァン・クルーガーだ。連むのは好きじゃないんだが、まあよろしくな」


「……知ってるよ。喧嘩が滅法強いって、南部じゃ知らない奴はいないんじゃないか?」


 エドワードが引きつった笑顔で返事をする。


「怖がらなくてもいいぜ、俺は手を出してきた奴しか相手にしない。入学からこんなだと、また孤立しちまうのかね」


「そんなことはないさ、よろしくアルヴァン」


 俺が手を差し出すと、アルヴァンはパシンと叩いてニッと笑う。


「おう、よろしくな。お坊ちゃん」


 思わぬ揉め事にざわつくクラスの中で、アルヴァンは机に突っ伏して寝てしまった。

 やれやれ、やはりFクラスは身を置くには丁度いい、雑多なクラスのようだ。




 早速、入学した翌日から授業が始まる。


「おいハイディア、どうやら今年は当たり年らしいぞ」


 エドワードが授業中にも関わらず話しかけてくる。


「────それはどういうことだ?」


「A組に『勇者』がいるらしい、既に国に仕えることが内定しているんだとさ。

あと『聖女』もいるってな。こっちは聖教会の息がかかっているって噂だ」


────聞き捨てならないな。


 勇者と聖女といえば、前世からの因縁だ。

前世の弟が死んだのは、俺と数日違いだ……。まさか転生して入学した訳ではあるまいな。これは確認する必要がありそうだ────。


「他にも名家の嫡男も複数いたり、有名な魔法士を親に持つやつもいるらしいぞ」


「俺たちには関係ない話だな────」


────ということにしておこう。


「ちっ、勇者か…………」


「聞いていたのかアルヴァン?」


「なんでもねえよ……」


「──────?」


 今ひとつ掴めない男だな、こいつは。



 ………………



 昼休みに、エドワードとA組を覗く。


「あいつだよ、勇者ネージュ・エトワール。侯爵家の由緒正しきお家柄だそうだ。

三男らしいが、王国と聖教会、どちらもお墨付きの勇者らしいぜ」


 キラキラとしているのに嫌味がない。あどけないようで顔立ちは整っている。

 根っからの陽キャだな、前世の弟とは別人だろう。


「同じ三男でも俺とは雲泥の差だな────。

女子を侍らせてるのも勇者パワーか?」


「ああ、そりゃモテるよな……。

あのキラキラオーラ、俺たちにはお近づきにすらなれそうもないな」


「ははは、まあな────」


「そんで、あっちの端にいるのが聖女イーナだ。ファミリーネームは非公表らしいぞ」


「なるほどな────」


────黒髪清楚な良い子ちゃんてところか。ファミリーネームを言えないほどの名家か、或いは聖教会の事情かもな。


「間違いなく美人だし、勇者・聖女のお似合いのカップルって専らの噂だ」


「エドワードよ。俺は、入学直後にも関わらず、お前の情報網の広さにびっくりしてるよ」


「まあ、俺は顔だけは広いからな……」

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