表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第0章 転生×暗躍×無双 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/62

第20話◆感情の矛先 【第1章 終話】


 ギルドから街の外れに向かい、徒歩十分ほど。屠殺場のような、魔物の解体所に到着した。


「思ったよりも広くないですが、ここに素材を出してしまって本当によろしいですか?」


「おいおい、失礼しちゃうぜ。

構わねえよ、兄ちゃん。

俺らが片っ端から捌いて行くからよ」


 ここのリーダーみたいなおじさんがそういうのなら──────


「では、遠慮なく……」


 俺が【どこでもポケット】に命じると、昨日討伐したニュートウルフがゴロゴロと出てくる。


 リーダー的おじさんの顔がみるみる曇っていく。


「おい、思ったよりも一体一体がでかいな……」



「量もすげえな……」


………………


「おい、あとどんだけあるんだよ兄ちゃん」


………………


「ストップ、ストップ!

わかった、俺の負けだ! 降参だ!」



「これで終わりですよ────

こいつが討伐依頼対象です」


 最後に一体、群れの長の遺体を出す。

 おじさんが漏らす溜息には、気づかないふりをしておこう。

 俺はオールムに討伐対象のことを話す。


「サンダーライガーとの混血のようです。

討伐した中には幼体もいましたが、特性の遺伝はしていない様子でした」


「ふむ、それならひとまずは心配いらないか。まさに変異種、だったのだな」


 オールムは遺体を持ち上げ、特徴などを確認する。


「こいつの魔核と討伐証明だけは自分で取っておきました。お渡しします。

それで────できればこの魔核は自分で持っていたいのですが、よろしいですか?」


「わかった──────。

もろもろ解析した後になるが、返却するように言っておこう。だが……何に使うんだ?」


「いえ、特に理由はないのですが────

珍しいものなので、何か使い道があるかと思いまして」


「────そのくらいの理由なら売却を勧めたい。

魔核はそのままで魔法エネルギーの塊だ。

…………テロに使われることもある」


「おや、それは知りませんでした。

では、他の魔核と合わせて全売却でお願いします」


「そんなにあっさりと……いいのか?」


「ええ、あらぬ疑いは懲り懲りですからね────」


「うむ……」


 ハタシンの一件もあり、少々嫌味な物言いかも知れないが、リスクを冒してまでこれ以上食い下がる必要もないだろう。

 魔核の使い道は、魔王としては無限にありそうなものだが仕方ない。


「では、報酬と売却した金額は、明日取りに伺います」


「明日はロザリアは休みだが、代理の者でいいか?」


「いえ、それなら明後日伺います。

ロザリアさんにまた午後三時頃に行くとお伝えください。

解体等、お手数ですがよろしくお願いします」


「任せておけ。ロザリアには俺から伝えておこう」




────ハイドが去ったあとのこと。


 バリーが魔物の解体をしながらオールムに話しかける。


「ハイドの奴、掴み所がありませんね……」


「ああ、魔核を急に欲しがったり、かと思えばあっさり諦めたりな────」


「俺は固有スキルで分かるんですけどね……

魔核をテロリストが使うのを知らないなんて……あれで嘘はついてないんですよ。

知っていて当たり前の常識じゃないですか?」


「異国から来たと言っていたからな。

俺たちの常識が通じないのかもしれない」


「しかし随分と、ロザリアちゃんにご執心ですね」


「そうだな。ロザリアはああ見えて優秀なサポーターだ。

若くて見た目も良いが、ハンターの中には純粋にロザリアのサポートに対するファンも多い」


「俺は、ハイドも所詮は男ってところだと思いますけどね」


「下世話な邪推はよせ。

だが、ハイドがロザリアのことを買っているのは事実。

ハイドとギルドの距離を縮めるのに、ロザリアが一役買ってくれるかも知れんな……」


「くっつけちゃうのが一番だと思いますけどね」


「まったくお前は──────

ん? どうした、グラスフィア」


 解体には参加していなかったグラスフィアは、黙って二人の元を離れると、ハイドの去った方向に走り出した。



────オールムとバリーのやりとりが不快だった。

 ハイドがロザリアのことを気にかけている様子なのも、ロザリアにだけ冗談を言ったのも、次に会う予定を入れたのも、ずっと不快だった。


 だから、追った先にハイドの姿を見つけたとき、自分の感情の矛先を何処に向けて良いかわからなかった。




「追ってきてくれる気がしました。

君と二人で話す機会がなかったから……

待っていて良かった────」


 グラスフィアは何も言わず、抱きついてきた。

 往来する人の目も憚らず、俺の胸に額をぐりぐりと擦り付ける。

 だから俺も────それ以上は何も語らず、グラスフィアの細い身体を抱き締めた。



 三年後────十五歳になった俺は、王立魔法学院に入学することになる。

 その頃、ハイド・ムスブルグはSランクとしてギルドの筆頭ハンターとなっていた。


 グラスフィアとロザリアとの物語は、また別の話────。

◆御礼

第0章読了、ありがとうございます。

PVを見て、読んでいただいた足跡もきちんと認識しています。その一歩が、何よりの励みになっています。


第0章完は、

いわば【手札のカードが揃った状態】です。

ここから、手にしたカードをハイディアがどう切るかの【知略パート】に突入します。

学園でどんな出会いや思惑があり、魔王としてどう暗躍し、その裏でサブアカ・ハイドがどう立ち回るのか────。


第1章、第2章では複数ヒロインの登場、仲間との共闘、同級生の勇者登場など、ストーリーは段違いに加速していきます。

どうかお付き合いいただければ幸いです。


面白いと思っていただけたら、ぜひぜひブックマーク、リアクション、評価、感想/レビューをいただけたら、ものすごく励みになります。よろしくお願いいたします。


◆告知

『夜の王と契約魔法』はカクヨムコンテスト11にエントリーしています。(他プラットフォームにて失礼します)

https://kakuyomu.jp/works/822139839656378427

おかげさまで、新人作家の処女作であるにも関わらず、現在競合ひしめく「異世界冒険部門」で、100〜200位/1800作品と大健闘しております。

あなたの一票で、大きな支えを得られます。ログイン、フォロー/評価というお手間をかけてしまいますが、是非あなたの手で作品を育てていただけると、嬉しいです。何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
手札が揃った、という言葉がすごくしっくり来ますね! ハイドの「掴めなさ」と、周囲がそれを測りかねている空気感が印象的でした。そして、魔王として、今後何をしていくのか? 終盤のグラスフィア視点、感情の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ