第18話◆懇願の君
◇
バリーの転移魔法で、一瞬にしてギルドのホールに移動する。
(定点回帰形の能力か。
ホームに帰るには便利だが、その反面、待ち伏せには滅法弱そうだ。
バリーには嘘を見破る能力もあるから、そっちが本命っぽいな)
「じゃあな、二人とも。
俺は事後処理もあるし、ギルドに泊まる。
グラスフィアも今日は帰って休め。
────ハイドは本当にお疲れさまだったな。
Bランク昇進はまず間違いない。
俺としては、Aランク昇進を強く推薦しておくよ」
「バリーさん、ありがとうございました。
何もなければ、午後三時頃に顔を出します」
「ハイド……」
「グラスフィアさん、大丈夫ですか?
家の近くまで送りますよ」
「方向が一緒ならそうしてやってくれ────
気を遣わせてすまんな、ハイド」
(若手一番のホープ、勝気なグラスフィアの嬢ちゃんが、あそこまでヘコむなんてな……)
バリーはギルドに入っていき、俺とグラスフィアは帰路につく。
◇
グラスフィアの家はギルドの近くだった。
「ここで大丈夫、ありがとう……」
ドアの前でふらつくグラスフィアを支える。
「何処が大丈夫なものか────やれやれ」
仕方ないな……
家の中まで連れていき、グラスフィアをベッドに横たえる。
開け放して帰るわけにもいかず、内から鍵をかけて欲しいのだが、どうやら寝てしまったようだ。無防備にも程がある。
まあ、日が昇るまでに帰れたらいいか。
「まったく……
A級ハンターならもっと心を鍛えた方が良い。
フィジカルとメンタルは掛け算だからな。
君は群れのニュートウルフとたまたま相性が悪かった、それだけの話だ────」
眠った彼女の髪を撫で、慰める。
「ねぇ────────」
「起きましたか? グラスフィアさん。
では、私は帰るので鍵をかけて────」
「抱いて────────」
彼女は俺の首に手をまわして、抱き寄せる。
重ねた唇の熱で灯した炎が、
夜更けの闇に、微かに揺らめいた────。




