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夜の王と契約魔法〜ルールで縛り、契約で奪う──契約魔法で成り上がる【無双×暗躍】譚〜  作者: 皆月いつか
第0章 転生×暗躍×無双 編

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第12話◆オーク


「さて、せっかくハンターに仮登録したのだから、今回は魔物狩りに行くとしよう」


 夜中に家を抜け出し森に入ると、茂みの中で「モンタージュ・カタログ」を発動し変身する。そして、魔力錬成でスーツ姿の衣服を作って身につける。

 魔力素材となるため、衣服よりもこちらの方が耐久性が高いくらいだ。


 さて、お目当てのBランクの魔物は────ここから三十キロメートルほどか、散歩だな。


 月灯りの下、夜の森を駆ける。


 魔力を霧状に展開してセンサーのように付近の索敵を行う。目的地付近で獲物を探ると、程なくして見つけることができた。


 ターゲットはオークの変異種だった。

 七体の手下のオークを引き連れ、群れを成していた。

 恐らくは連れ去られた民間人であろう、人間の死肉を貪っていることを確認し、討伐を開始する。


 音もなく接近し、不意打ちでオークの一匹を殴りつける。成人男性の身体だけあって、リーチが長く、ダメージも入りやすい。

 モンタージュで作った身体を試す意味で、一通り体技を試したあと、魔弾の連射で蜂の巣にする。


 作った身体でも戦闘に支障はないな────。

 体感で言うと、元の身体の六割くらいか、慣れればもう少し精度も上げられるだろう。


 変異種であるボスのオークは、戦闘中にデバフを使ってきたが、以前の英雄パーティのそれに比べれば、圧倒的に低レベルだ。こちらも魔力で打ち消す。


 ボスは、身体も頑丈で打撃が入りづらく、ただの魔弾では貫通しない。ならばと爆発効果を付与した魔弾を使い、顔を狙い撃ちにする。視覚を奪うとボスはパニックに陥る。


「デバフまで解除されているぞ。追い詰められたときほど平常心───まあ、魔獣に説いたところで、か」


 隙を見つけて間合いに踏み込むと、魔力の刃で思い切り首を刎ねる。これで討伐完了だ。


 討伐部位の右耳を全て切り取り、ひときわ強い魔力反応のある魔核を探り当て、魔力で引っこ抜く。これを【どこでもポケット】に仕舞って終わりである。


 満月ということもあってか、いつもよりも力が漲っていたとはいえ、これで討伐完了か。あっけないな。

 魔力で土に穴を開け、人間とオークの遺体を別々に土に埋める。殺された相手と一緒に埋められては堪らないだろうからな。

 その際、人間が身につけていたであろう装飾品を回収する。遺品として遺族に渡してもらうためだ。


 しかし魔物を狩るよりも、誘拐犯や強盗犯など、悪しき人間を狩る方が罪悪感がないような気がするのは何故だろうか。

 人間の考える悪の基準は分かりやすい。倫理観の基準を理解しているからな。それに対して、魔物の善悪の基準が曖昧だから、そう思うのか。


 人間に害を為したから悪という理屈であれば、この間のケルベロスの例もある。

────人間が襲ってくるから反撃し、その結果人間を殺めてしまい、討伐対象になる。

 自分からは襲っていないのにだ。どうにも理不尽な気がしてならない。


 ともあれ今回の変異オーク達は、快楽のために人や他生物を殺めているような奴だったからいいが、討伐する相手はきちんと見極めたいものだな。



 道すがら襲ってくるモンスターを狩りながら歩いていると、不意に金色の風に包まれる。


 エルフだな。



 しかも──────



 こいつは強いぞ。



 小柄な女性エルフと相対する。目を奪われるような美貌だ。


「────この辺りでは見かけない顔ですね」


「こんばんは。私は名もなきハンターです。

ここを通していただけますか」


 敵愾心は今のところ感じないが、威圧感はビリビリと感じる。


 俺も魔力を霧化させ、相手が放つ金色の風と膠着状態にする。しばらくの沈黙の後、エルフが問いかけてくる。


「失礼を承知でお伺いします。

あなた、この辺りで人の子────男の子に心当たりはありませんか?」


「いいえ、存じ上げません。

もしかして、私が関与しているとお疑いでしょうか。

私はこの先で変異種のオーク──他生物を快楽で殺めていた個体を討伐してきたところです。

被害者もいましたが、その中に子どものものはなかったようです」


「ほう…………」


「私は駆け出しのハンターですが、理由なく人も魔物も殺めたりはしない。

あなたのことも同様です。

相当強いようにお見受けましたが、それとは関係なく、理由なしに戦いたくはない」


「私も同じです。無礼をお許しください。

あなたの言葉は信じられます────」


「それではこれで──────」


 緊迫した魔力のぶつかり合いが解除される。


 さっきのオークをランク付けするとしたら、今のエルフはそれを遥かに凌駕するであろう。こんなに強いエルフがいるか……?


 俺は夜明け前に家に戻ると、モンタージュを解いてベッドに潜り込む。討伐部位は明日ギルドに持ち込むとしよう。




「ハイディア様、起きてください。

学校に遅刻してしまいますよ」


 ガーベラに肩を揺すられ起こされる。


「んん……もうそんな時間…………?」


 うっかり寝てしまった。いつもなら帰宅してそのままエレメンタリーに行って、授業中に寝るのに……

 寝惚けまなこを擦りながら起き上がる。


「ガーベラ、着替えさせて────」


「はいはい、失礼しますね。おや……」


「ん──────?」


「髪に金色の粉が付いていますよ。

なんですか? これ……」


 一瞬で覚醒する。


「あ────気にしなくていいよ。

目も覚めたし、やっぱり自分で着替えるね」


「そうですか……?」


 そんなはずはないんだけどな────。

 あのエルフの魔力がモンタージュを解いても残っていたってことか?


……気をつけないといけないな。


 魔力で打ち消して痕跡を消す。


「あ、ハイディア様……」


 ガーベラに呼び止められる。

 何か怪しまれたか……?


「今夜はご家族全員で夕食をとられるそうです。お帰りが遅くならないよう、お気をつけくださいね」


 ガーベラの笑顔には敵わない。


 あのエルフ、邪悪な感じには見えなかったが、子探しの件も含め、警戒した方が良さそうだな。

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