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カタラレヌ・クロニクル  作者: 河鹿 虫圭
急ノ章 終末論
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銃と札

いつもの通りに森を見渡しているとふと、世界が歪んだように見えた。疲れ目かなと思い目をこすって再度見渡すと世界が変わっていた。急いで森へ降りていくと不審な私と同い年くらいの女の子がいた。何が不審かと言えばその風貌だ。巫女風の魔法少女…はたまたその逆かそれはどちらでもいいのだが、それより私が異常だと感じたのはそれよりももっと曖昧なもので、自分でもとても理不尽かなと思っているのだが、頭の奥の方で警鐘が鳴り響き「目の前のこれを排除しろ」と言ってくるのだ。


「止まってください。」


「何かしら?」


振り向きながら目の前の少女は私に目掛けて札を投げつけられる。札が白く光ると間髪入れずに爆発した。爆発に巻き込まれまいと私は上着を脱ぎ捨てて大けがは免れた。


「何者ですか。あなた。」


「こっちのセリフよ。あんた何者?」


互いに銃口と札を向けながら睨み合う。曖昧な感覚だが、目の前の彼女は敵ではない……だが、味方でもない…何者だろうか。


「とりあえず、この山からは出て行ってもらいます。」


「……なんか気に入らないわ…あんた。」


少女は、一帯に札をばらまいて向けられている銃口を蹴り上げて私の視線を逸らして攻撃を仕掛けてくる。視線を戻すと少女は札から棒を取り出して構えており棒を突き出してくる。その突きを躱して引き金を引く。しかし、人間とは思えない動きで銃弾を躱して距離を取る。


「すごいですね…」


「あんたもね…霊力がないのにそんなに鍛錬されている身体……久しぶりに見たわ。」


霊力?そんなものは心霊系のテレビ番組か、漫画でしか聞いたことがない。


「厨二病は大概にした方がいいですよ。」


私は再び銃口をむけてしっかりと狙う。視力に全神経を集中する。


自在照準固定狙撃アンカーボルトスナイプ


よけ続ける少女に私は目を離さず引き金を引く。


「これは(わざ)ね。修行の成果かしら?」



少女はそのまま移動を始めたので私はそれを追って照準を合わせたままさらに引き金を引きながら走る。少女は避けながら走る。数メートル走っていると少女は突然私のほうへ振り向きバック走をしながら胸の前で印のようなものを組み先ほどばらまいた札を起動させた。


「鋭ノ札:槍山剣」


札が起動すると地面や木の幹から槍が飛び出てくる。先ほどの爆発といい、この槍といい。ありえないことが起こりすぎている。だが、そんなあり得ないことにもなぜか対応できている自分がいる。どこかでこんなことがあったのだろうか?いや、そんな訳はない。私は目の前の戦場に集中して引き金を引く。少女は銃弾を避けると姿を消す。静まり返った暗い森の中で私は必死に少女を探す。数分後、月明かりに重なって少女が現れ、その手には槍が握られていた。


「必ノ札:武器召喚「槍」!」


空中で止まっているのならばたやすい。私は引き金を迷いなく引く。


瞬間、第三者が間に入る。私の銃弾、彼女の槍先を何らかの力で消し去る。私はそのまま距離を取り、少女はそのまま着地して第三者の姿を確認する。白髪に緋色の瞳。どこかで見たことがあるような風貌の少年だった。


「お二人さんちょっとストップだ。」


「今度は誰ですか?」


少年は私と目を合わせると少し微笑みながら自己紹介をしてくる。


「俺はね、神様の使い…修正係(フィックス)布田(ふた) 龍兎(りゅうと)だ。よろしくな。」


どこか、いつか聞いたことのある名前……だが、思い出せない。いや、そんなことはどうでもいい。今は……


「どいてください。その子を排除しなければ……」


「まぁ、待ってくれ。それは別世界この子を見たせいで身体びっくりしているだけなんだ」


少年と目が合う。嘘はついていない。にわかには信じられないが…なぜだろうか、受け入れ始めている自分がいる。


「いいでしょう。一旦は信じます。」


龍兎さんは銃を降ろした私を見ると向こうの彼女へも同じような説明をして説得する。殺気がなくなった彼女は札を降ろし私のほうをいぶかしげに見つめてくる。


「さて、久しぶりの面々もいる中話を聞いてくれてありがとう……」


龍兎さんは私の頭に手をかざし始める……頭の中に何か記憶が流れ込んでくる。そして、思い出す。目の前の彼との一日を。自然と涙があふれてくる。完全に思い出した。


「なんで……」


なぜ、あの日突然いなくなったのか。


なぜ、お礼をさせてくれなかったのか。


言いたいことはたくさんあるがまずは、


「また世界のの危機ですか?」


「ご名答……そして、こちらの彼女も……」


向こうの彼女にも手をかざして記憶を呼び覚ます。


「……えっと……初めましてよね?」


「あぁ、君とは初めましてだ。しかし、皆無の同僚と言ったら納得するだろ?」


彼女もその文言でなんとなく察したようで納得している。


「なるほどね。アイツは別のところで戦ってるとかかしら。」


「いや、今回はあいつが渦中にいるんだ。」


何かはあまり理解できていないが、世界がピンチならば仕方がない。私は頭の中で警鐘が流れる中、彼女とも情報を交換し合った。


銃と札

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