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(17) ヒロシ、地図を探す

この世界に来て、ずっと考えているのがこの世界の地図が見てみたいということだ。


ジンクに聞けば、この国は島国で、この100年ほどは大きな戦争はないが、かつては外国との大きな戦争があったらしい。

アントンセンが王都になったのは、300年ほど前の外国から仕掛けられた戦争がきっかけになる。当時、激戦区から距離的に近いアントンセンに指令本部を置き、島中の国々から優秀な指揮官が集結し敵を撃退した。それを機に「一つの国」として名乗りを上げたのがきっかけだったと言う。


それ以来、詳しい地図は敵国の手に渡る可能性を考慮し、当時は軍事機密とされ、それが今も続いているという。

だから地図は今も公式に出版はされないし、民間配布されているものも方角や距離はいい加減なものが多く、冒険者なども自作地図で冒険を続けている者も少なくないらしい。


ちなみに初代国王に選ばれたのは、大戦争でカリスマ性を発揮したジャスティン・カルドウェル。

以降、カルドウェル家から王位が続いている。



王都から西、8時の方向にこの村はある。

徒歩なら2日はかかる距離というが、そもそも徒歩とは1日何キロ歩く計算なんだろうか。

整備の行き届いた道なら時速5キロとして、そんな道ばかりじゃないだろうから時速2〜3キロ。

1日13時間歩いたとしたら、距離にして1日26〜39キロメートルくらいか?


日時計調査でこの国(惑星)の1日は地球時間で約27時間。太陽が一番高い時間から翌日の同時刻まで、俺の腕時計(地球製)は毎日だいたい3時間くらい進む。

まだ日時計では数えるほどしか記録してないので正確な数字は断定できない。



この村から5時の方向に海辺の町カイゼンがあるという。王都までの距離の約半分くらい。

外国との交易も盛んでそれなりに栄えているらしい。

フローデリヒ氏が元気な頃はよく魚介類の食材を買い出しに行っていたという。


魚介類の食材に反応して、思わず、

「行ってみたい!」と声に出してしまった。


「今日は無理だな」


確かにもう日が暮れてしまっている。


「私も行きたいです」

話を聞いていたチハルも割り込んできた。


「私も行こうかな」

イレーヌさんも参戦してきた。

「魚介類なんて王都じゃ高級食材だから、うちみたいな庶民食堂じゃ扱えなかったからねぇ」


もちろん、2人の参入は大歓迎である。

そこでハッと気付いた。で、どうやって行く?


「ゲートならあるぞ。向こう側で取り壊されてなければ、だけどな」



さすがに今日は無理なので、地図の続きを聞くことにした。


王都とこの村をつなぐルート上には3つの町と村がある。

厳密には村とをつなぐ道ではなく、王都とカイゼンを結ぶ輸送ルートに途中から乗っかる形だ。


一つはパメラの町。畜産や農業が盛んで人口もそれなりに多い。

町か村かは一般的に冒険者ギルドのあるなしで認識されるが、例外もある。



次に王都中心に視点を移すと、


王都の東には「ラノブレス」という街がある。

アントンセンが王都となってから造られた街。

貴族中心の街で非常にムナクソ悪い街だとジンクは言う。


ラノブレスから南に下ったところに「ネムラン」という軍港がある。海軍の駐屯地であり民間人はほとんど住んでない。

主にこの国の海域をパトロールしている。

ここを都市と呼ぶかは微妙。どちらかと言えば軍事施設。


王都の北には「ガルビン」という職人の街。

この国の鉄製品やガラス製品のほとんどはこの街で作られている。近くの山でガラスの材料となる鉱石などが豊富に採取できるのが大きな要因。

鉄やガラス以外にも、紙、革、布、綿、など様々な生産工場があり、この国の経済的大黒柱になっている。


ガルビンのすぐ横には「レーゼ」という学問衛星都市もある。


王都から馬車利用で移動2日以内で行ける範囲の大きな都市となるとそのくらいになる。


旧アントンセン領(俗に「アントンセン」と呼ばれるのはこちらで、王都のことは「王都」と一般的に呼ばれる)には、大都市級が2つ、中規模都市が6つある。



そこまで聞いたところで、

「ありがとう、ジンク。今日はこのくらいで…」

必死にメモを取っていたが、どこまで続くか分からないので、中断することにした。


町クラスになるとジンクでもいちいち覚えてないようだし、村クラスだと王都でさえ把握できてないらしい。

遊牧民的な暮らし方をしている部族もいるし、役人が来れば別の土地へ逃げていく部族もいるからだそうだ。



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