幼少期6
誤字脱字報告ありがとうございました!滅茶苦茶助かります。
涙を流しながら佇む少年を見上げ、握っていた手を解きハンカチを取り出して涙を拭いてあげるとこちらを見つめてきた。
さっき言っていたがまだ幼い少年が孤独を感じているというのは、とても胸が痛み寂しいことだ。
少し背の高い少年の頭に一生懸命背伸びをして、少しでも寂しさが癒える様に撫でてあげる。撫でられた事に驚いた少年は目を見開いた後、目を瞑りされるがまま大人しくなった。
撫で始めてからそれなりの時間が経過しているが、さていつまで撫でていれば良いのだろうか?背伸びして撫でているので、そろそろ足元がフラフラしてきた。
試しに手を止めると、チラっと目を開けてこちらを見てくる。
もう終わりなのかとこちらを伺う表情は寂しそうで、なんか青い髪の間に犬耳の幻覚が見えて来そうだ。キュンと鳴きそうな姿は、あざと可愛い!
「撫でるのに背伸びしてるから足疲れちゃった、あっちにベンチあったからあっちで座ってお話ししましょう。」
男の子の手を引いて、先程座っていたベンチに向かって歩き出す。男の子は抵抗せずに、私に引かれて付いてくる。
ベンチにたどり着いて座ると、横にピタっとくっついて男の子も腰掛けた。なんか妙な懐かれ方したと思っていると、男の子に手を握られた。ビックリして男の子の方を向くと、不安そうにこちらを伺う表情で見ていた。
「本当に俺の事が怖くないのか?」
こちらを見つめてくる少年の姿に、キューンという鳴き声と犬耳が付いていそうな勢いだ。仕方ないなと思い、男の子にニッコリ笑いかける。
「怖くなんてないよ。私、シャルロット・ウィステアっていうの。お兄さんのお名前は?」
「俺はイザーク・デルアドルデだ。シャルロットは新入生じゃないよな?」
「うん、お兄様が入学するから王都についてきたの。」
「シャルロットは何歳だ?」
やたらグイグイと私の情報聞いてくるな。
「私は今10歳になったところ、再来年入学出来れば入学するよ。」
「入学出来ればって貴族だろ、一体どういうことだ?」
まあ、貴族なら入学すると思うよね、私みたいなケースは稀だよね。魔法学院に魔法使えない私は、入学の許可がおりるのかな?
「私、精霊の加護が無いの。だから魔力はあるんだけど、魔法を使えないの。」
自分で言ってて悲しくなってきた…。
魔法学院通いたいけど、魔法使えないと入れないよねー。
聞いたイザークはビックリしている、当然だろう貴族で魔法が使えない者がいるとは思っていなかったのだろう。沈痛な表情でこちらを見てくるイザークに、居心地の悪さからワザと明るく話しかける。
「気にしないで、精霊に加護を貰えれば魔法は使えるようになるんだって。入学までに精霊捕まえて、絶対この学院に入学するんだ。」
ベンチから立ち上がって気合いを入れる、そしてニコッと笑いつつ手をイザークの方に差し出す。
「だから、また綺麗な魔法見せて欲しいな。」
イザークは差し出した私の手を見た後、恐る恐る手を乗せ握りしめて立ち上がった。イザークの吹っ切れた表情を見て、少しはイザークの心が軽くなっていれば良いなと思う。
「シャルロット嬢、約束する。今よりもっと修練を積んで、もっと制御を上手くなって、今よりもっと凄い魔法を君に見せると誓うよ!」
「うん、楽しみにしてるね!」
イザークに笑顔で応えて、指切りをしようと思って右手の小指を立てる。その指をイザークは、疑問顔でマジマジと見てくる。しまった、この世界には指切りをする習慣が無いのかも。
今更指を引っ込めるのも変かな。
「うちの領地で伝わってるおまじないで、約束する時にするんだよ。」
領地にこんなおまじないが、あるかどうか知らないけどね。言ったもん勝ちでしょ!
「同じ様に指を立てて。」
オズオズとイザークも右手の小指を立ててくれた、早速指を絡めてイザークの青い瞳を見つめる。指を絡められたのが恥ずかしかったのか、見つめている瞳が所在無さげに揺れ動いた。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます。指切った!」
指切りをしてイザークに笑いかけると、イザークがキョトンとしている
「おまじないにしては、おっかない事言うな。」
言われて確かにと思ってしまった、針千本とか指切りとか知らない人が聞くと驚くかも。
「じゃあイザークは約束する時は、どんな事するの?」
「制約の証文を交わしたりかな?」
ふーんと相槌を打ちながら聞いていると、イザークの顔が近ずいてきて私の頬にキスしてきた。
された事を理解した瞬間、顔が燃えるように暑くなり赤くなったのが分かった。キスされた場所を手で抑え、アワアワと声にならない声を出し慌ててしまう。慌てる私を、余裕の表情でニヤリと笑ったイザークが見てくる。
「こういう約束もあるよ。」
絶対違う!こんな約束があってたまるか!
からかわれたのが悔しくて、プクっとふくれっ面をしてイザークから距離をとった。
「じゃあね。」
言い逃げの様に…、正真正銘言い逃げで走り出すと、背後から声が聞こえた。
「シャルロット、絶対また会おうぜ。」
私は怒っているのである、その言葉に答えることをせずに走り続けた。そろそろ連絡もついて、迎えが来るのにいい時間だろうと判断して、門の方に走り続けた。
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