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幼少期5

誤字脱字連絡ありがとうございました!滅茶苦茶助かります。

人混みに流されて、買い物始まって直ぐに迷子になりました。

迷子の基本は動かない事と言うけど、メイン通りの人混みの中に居ることが出来なくて、人混みを抜けたら既に見知らぬ場所に流されているって…。

ホテルの場所に戻れば何とかなるかなと、ホテルの場所を思い浮かべるが、馴染みの無い土地なので全く場所が分からない。ホテルの名前も聞いていなかったので、名前を言って場所を教えてもらうことも出来ない。


「絶対絶命なのかも…。」


何か手がかりになるものって何かあったかなと考えると、唯一私にも分かるものがあった。

道を歩く人に場所を聞きながら、ドンドンと歩いていく。

そうしてたどり着いたのは、お兄様が通うようになる魔法学院の玄関門だった。


立派な門構えに、その奥に佇む校舎を見ると迷子だというのにテンションが上がってくる。

門の横にある管理室に行き、家名を名乗りタウンハウスに私が学院に居る事を連絡を入れてもらうように頼んだ。

タウンハウスの家令ならどのホテルに泊まったか把握でき、お母様に連絡も取れるだろう。


これで大丈夫だと思うと、好奇心がウズウズと湧いてくる。

落ち着きのなくバタバタと足を動かす私に管理人も分かったのか、見学者用のプレートを貸してくれた。こういう時公爵家の威厳と言うか、権力を感じるが、ここはラッキーと思って見学に行く事にした。


この学院では入学時に名前を刻んだプレートを支給されて、そのプレートが学生証となるらしい。今回私が借りたのは、家族や学院見学者に貸し出されるシンプルなプレートだが、お兄様に見せて貰った個人プレートは綺麗な仕上がりの物だった。


見学プレートを首から下げて、門を通り抜けて敷地に入る。ここが憧れの魔法学院だと思うと興奮してしまう、早速探検だと思い歩き出す。


今日は在学生も休みなのか、余り人の気配がしない。自習に来ているの、かたまに歩く学生とすれ違う程度だ。

教室を見て回ると、学院に通うには幼い私が歩いているのが疑問なのか、何人か声をかけてくれたが見学プレートを見せて歩き続けた。


一通り教室を見た私は、今度は外の施設を見ようと学院の外に出て歩く。


歩き疲れてきた為、学院の裏側に噴水のある庭を見つけて、そこのベンチで一息着くため休憩する事にした。休憩にもってこいのこの場所は、お昼休みとかは生徒で賑わうのだろうと思うと、一足先に生徒になれた様な気がして気分が良い。

次はどちらに行こうかと考えて、辺りを見回すとキラキラ光る場所が目に付いた。

なんだろうと気になってベンチから立ち上がって、光の方に走り出す。


光の現れた場所に辿り着くと、そこに佇む1人の男の子が居た。

走ってきた私を見る青い瞳は冷たく睨んできて、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。


「邪魔だ、どっか行け。」


全力で拒否られているけど、先程の光が気になる前世込で長生きな私はスルーして、気になることを質問をする。


「さっきの綺麗な光は何?」


拒否を気にせずに接する私に威嚇するように舌打ちをするが、私から見ればまだ幼い子供が強がっている風にしか見えないので怖くもない。

薄い青味がかった長めの前髪に目は覆われているが、こちらを伺っているのは感じる。

視線を外さずジーっと返事を待つように見ていると、先に男の子が視線を逸らして折れた。


「お前変わっているな…、これのことか?」


男の子は答えると、上に片手を伸ばし目を瞑った。

そうすると男の子の頭上に、ピキピキと音をだしつつキラキラ光る結晶が沢山浮かび始める。結晶が増える度に辺りの気温も下がり始め、キラキラ光る結晶は氷の結晶だと分かった。


「凄い!」


お兄様とは違う魔法を見て興奮して叫んでしまった、私の叫び声にビクッっとした男の子はこちらをマジマジと見てくる。


「お前、こんな事をする俺が怖くないのか?」


「全然!凄いと思う。本当にキラキラして綺麗。」


浮かぶ氷の結晶を掴もうとはしゃぐ私を、力が抜け唖然とした表情の男の子が見ていた!


「ある意味お前が凄いよ、普通怖がって俺の傍には人が寄ってこないのに。」


「なんで?」


どうしてそんな事を言うのか疑問で男の子を見つめると、手に力を込めて握りしめて斜め下を向きながら辛そうに答えた。


「幼い頃に力が暴走して、人を凍らせて殺しかけたんだよ。貴族間では有名な話だよ…、聞いたことないのか?

みんな俺を怖がって近くに寄ってこないんだ、家族すら怖がって寄り付かない。」


こんな幼い男の子が痛みを抱えているだなんて、最初に寄るなと言ったのはこの子の優しさなのだ。

男の子に向かって歩き、握りしめた手に触れる。

信じられないとこちらを見つめてくる怯えた瞳を、なるべく穏やかな表情で真っ直ぐ見返す。

視線を外さず握りしめている手を両手で持ち上げて、小さな手のひらで握り込む。


「怖くないわ、だってとても綺麗な力だもの。こんなに沢山の結晶を出せるってことは、制御の勉強を凄く頑張った証拠だもん。」


こちらを見つめていた瞳から、涙が一筋流れ落ちた。


誤字脱字変換ミスがありましたら、ご連絡よろしくお願いします。

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