2 行動方針
私は現在フードデリバリーの仕事をしている。
いわゆるテイクアウト用の食事をただ運ぶだけの仕事だ。
そういった仕事を提供している会社に登録しスマートフォンに専用アプリをインストールする。
働きたいときにアプリにログインすればそれだけで業務開始となり、終わりたいタイミングでログアウトすればよい。
シフト等に縛られず自分のタイミングで働けるので都合がいい。
私には個人事業主として別に本業があるが、案件が少なくそれだけでは現在生活できない。
ただ、案件が入るとすぐに動く必要があるし、ひと段落しても急に修正のような即対応が求められる職でもあるためフードデリバリーの仕事は予定の組み辛い本業の収入的補助としてとても都合が良い。
また、ソロでの活動というところも良い。
余談ではあるが、フードデリバリーの仕事は冒険者として活動していた時とよく似ていると思う。
依頼が掲示板に貼り出されそれを受託し依頼を遂行することと、アプリに配達の案件が表示されそれを受託して配達を行うところが気持ちとしてとてもよく似ていると思った。
ただ、フードデリバリーの仕事は前世ではF級冒険者が受けるランクの仕事と報酬額である。
兎に角ひたすら頑張れば生活は出来るだろうというレベルだ。
前世と違うのはどれだけ実績を積んでもランクアップしないことだろう。
そういった所はC級まで上り詰めた私にとっては、ややモチベーションの低下に影響していると思う。
それはさておき、余談までして何が言いたいかというと時間的、体力的、金銭的に余裕がないということである。
そんな状況でとれる行動は限られている。
私はしがらみを嫌うという性分から頼れる知人も多くない。
いきなり本題となるが、まず最初に最終目標は政治と法律を正しいものにするということだ。そして絶対目標として私の生活が豊かになることである。
私が認識するなかで現状は政治は腐敗し法律は歪められている。
ただ、誰が悪いという絶対的な悪者がいるわけではない。
誰もがお金は欲しいし、悪いことをしなくてお金が手に入るならわざわざ悪いことをしたい訳でもない。
しかし、現実として政治家は貴族化し都合の良い法律の中で私腹を肥やし御用商人に相当する会社や個人が儲けている。
なぜそうなったかはあまり重要ではない。
それを正すにはどうすればいいかである。
私が選挙に出馬し当選して法律を正せばいいなんてものは私が言うのも変だがファンタジーな話であろう。
だが、本来はそれが夢物語ではない状況が正しい状況ではあるはずである。
それが出来ることが本来の選挙制であり日本の国民主権の根本であると思う。
なぜそれが出来ないのか。
一言でいえば「しがらみ」である。
選挙特番などで良く耳にする地盤というものがあり、それを多く持つものが有利であるというものだ。
一人一票という平等の権利ではあるが、その実、団体票というものが存在する。
農協や漁協を例にすると分かりやすいかもしれないが、農協や漁協に都合の良い政策や法律を作りますよと約束して農協や漁協で働く人たちの票をまとめて得ることが出来るという考え方である。
そういった団体票を持つ組織との繋がりを多く持つ人が当選する。
それ自体は悪い様には思えない。
ただ、他の人が同じことを言っても表は割れない。
様々な「しがらみ」が存在するためである。
ただその「しがらみ」があるが故に、当選したとしても正しい政治を行えなくなるというスパイラルに陥っていく。
単純な多数決ではなく、見えない力が作用し暗黙のルールが存在する多数決というのが現在の選挙である。
そのため、より多くの人が幸せになるためには団体票をくれた組織が少し不利になる法律が必要がある状況でもそれを行えないのである。
当選をしなければ何も変えられないなら多少の「しがらみ」を許容してでも当選したいということは悪ではない。
「しがらみ」のない当選をするためにはどうすればよいか。
ここで「しがらみ」の話をしたい。
芸能界を例にとって考える。
有名になるというだけで「しがらみ」ができ、また良くない人たちも何食わぬ顔で近寄ってきて気づけば悪い世界に浸かってしまっていたということがよくある。
有名になる前は薬や裏カジノなんてものには耳にする機会すらない状況だったのに、有名になったとたんにそういったことが身近になる。
そういったことをしている人は近づき方も上手く自然でなおかつ誘い方も上手い。
最初は合法。次に、咎めるにも値しないほどの白に近いグレーのところの話で様子を伺い徐々に黒の世界へと誘っていく。
気づけば言いなりになるしかない「しがらみ」に雁字搦めにされている。
「しがらみ」というものに形はなく様々なものがあるが、「しがらみ」があると正しいことが行えなくなるという例である。
他人とのつながりがすべて「しがらみ」という訳ではない。
助け合い協力し合う関係は「しがらみ」とは呼ばない。
ただ、正しいことが出来なくなったときにそのつながりが急に「しがらみ」となるのである。
すぐに関係を断つことが出来れば「しがらみ」にはならない。
しかし情に厚い人ほど関係を断つことが薄情だと思う気持ちからか関係を断てずにいる。
相手も関係を断つほどではないという程度のところから誘ってくることもありそもそもが関係を断つことが難しい。
最初に「しがらみ」を嫌い友人が少ないという話をしたが、こういった考えからである。
友人が急に「しがらみ」なるからである。
冒険者としてパーティーを組まなかったのも組んでも一時的というのもこのためだ。
誰かと繋がりを持つ場合は簡単に関係を断てる距離感でいるようにしている。
さて、行動方針であるが、正しいことを行う為には「しがらみ」を避けなければならないと考える。
しかし、時間的、体力的、金銭的に余裕がないため仲間は必要である。距離感を保った仲間が必要だ。
そして将来的に有名になってしまうと「しがらみ」が近寄ってくる。近寄ってこれない様に身を隠すことも必要だ。
だから私は「R」となった。
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